イントロダクション
Introduction

2024年に101歳の生涯を閉じた染色家、柚木沙弥郎(ゆのき さみろう)
型染の世界に新風を吹き込んだ柚木の作品は、自由でユーモラスな形態と美しい色彩が心地よく調和しつつ生命力にあふれ、見る人を惹きつけてやみません。
柳宗悦らによる民藝運動に出会い、芹沢銈介(せりざわ けいすけ)のもとで染色家としての道を歩みはじめた柚木は、挿絵やコラージュなどジャンルの垣根を超え、創作世界を豊かに広げました。
本展では75年にわたる活動を振り返るとともにゆかりのあった都市や地域をテーマに加え、柚木をめぐる旅へと誘います。身の回りの「もの」に対する愛着や、日々のくらしに見出した喜びから作品を紡ぎだす柚木の仕事は、変化の時代にこそ、大切に慈しみたい「いま」を私たちに示してくれます。
民藝を出発点に、人生を愛し楽しんだ柚木沙弥郎の創作活動の全貌をご堪能ください。

《幕》
1961年
型染、木綿
坂本善三美術館蔵
《小鳥》
1992年
型染、紬
坂本善三美術館蔵