柚木沙弥郎について
About Yunoki Samiro

ポートレート
撮影:木寺紀雄

柚木沙弥郎(1922─2024年)

1922年、洋画家・柚木久太の次男として東京に生まれた柚木沙弥郎は、東京帝国大学美学・美術史学科在学中に学徒出陣し、戦後は父の生家のある倉敷へ復員しました。
就職した大原美術館で、柳宗悦らの民藝の思想と芹沢銈介の型染カレンダーに出会い、染色を志します。芹沢のもとで染色の基礎を学んだ後、日本民藝館展や国画会、個展などを通じて、自由でのびやかな形と豊かな色彩の染色作品を数多く世に送り出しました。
1950年からは、女子美術大学工芸科で長らく教育にも携わり、1987年から1991年までは学長を務めるなど後進の育成にも尽力しました。1980年代以降は染色を主軸にしながらも、版画やコラージュ、絵本、立体作品、ガラス絵など、その創作はジャンルを超えて広がりを見せ、2000年代に入ると、インテリアショップ、イデー(IDÉE)での展覧会や、カフェやホテル内のアートワーク、企業との協働による製品づくりなど、現代のくらしと結びついた活動でも知られるようになる一方、実用を離れた自由な表現としての染色作品を制作し続けました。