アーティスト プロフィール

トーマス・アデス(作曲家/2020年度武満徹作曲賞審査員)
Thomas Adès, composer/judge of Toru Takemitsu Composition Award 2020

© Brian Voce

1971年3月1日、ロンドン生まれ。12歳からギルドホール音楽演劇学校でピアノと作曲を学び、その後ケンブリッジ大学キングス・カレッジでアレクサンダー・ゲールとロビン・ホロウェイに師事。
初のオペラ『パウダー・ハー・フェイス』(1995)の成功に続き、第二作『テンペスト』(2003)は英国ロイヤル・オペラの委嘱により作曲、自身の指揮による初演の後も様々な場所で再演されており、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場でのライヴを収録したDVDは2013年のグラミー賞に輝いたほか、2015年にはウィーン国立歌劇場でも再演されている。2016年には、ルイス・ブニュエルの映画を基にした三作目のオペラ『皆殺しの天使』がザルツブルク音楽祭で初演され、その後メトロポリタン歌劇場、ロイヤル・オペラでも再演され、2017年オペラ・アワードの最優秀初演作品に選ばれた。
アデスの作品を積極的に取り上げている演奏家の中でも、特にサー・サイモン・ラトルは、バーミンガム市交響楽団の音楽監督として最後の演奏会と、ベルリン・フィルの芸術監督として最初の演奏会で《アサイラ》(1997)を取り上げ、2007年には《テイヴォット》をベルリン・フィルと初演している。またマイケル・ティルソン・トーマスは《ポラリス(北極星)》(2010)をニュー・ワールド交響楽団で初演、同曲は現在クリスタル・パイトの振り付けによるコンテンポラリー・ダンスでも知られている。ほかにも代表的な作品として、ヴァイオリン協奏曲《同心軌道》(2005)、天地創造に題を取ったピアノ協奏曲《イン・セブン・デイズ》(2008)、メゾ・ソプラノ、混声合唱とオーケストラのための《America-A Prophecy》(1999)、メゾ・ソプラノ、バリトンと管弦楽のための《死の舞踏》(2013)、室内アンサンブルのための《リヴィング・トイズ》(1993)、弦楽四重奏曲《アルカディアナ》(1994)、《フォー・クォーターズ》(2011)、《ピアノ五重奏曲》(2001)、チェロとピアノのための《Lieux retrouvés》(2010)、ピアノ独奏曲《ダークネス・ヴィジブル》(1992)、《トレースド・オーバーヘッド》(1996)、《マズルカ》(2010)、ケンブリッジ・キングス・カレッジ合唱団初演の合唱曲《The Fayrfax Carol》(1997)などがある。
指揮者としてニューヨーク・フィル、ロサンゼルス・フィル、ボストン響、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ロンドン響など多くの世界的なオーケストラを指揮するほか、ピアニストとしてもニューヨーク・フィルなどと協奏曲を共演、イアン・ボストリッジとの《冬の旅》や、カーネギーホールやバービカンセンターなどでリサイタルを行っている。
《アサイラ》で2000年にグロマイヤー賞を史上最年少で受賞、同曲と『テンペスト』、《テイヴォット》はロイヤル・フィルハーモニック協会大規模作品作曲賞を受賞。《アルカディアナ》で1999年シーメンス音楽賞、《フォー・クォーターズ》で2012年英国作曲家賞、2015年にはレオニー・ソニング音楽賞を受賞するなど数多くの賞を受賞している。また、2016年からボストン交響楽団初のアーティスティック・パートナーをつとめている。
作品はFaber Musicから出版されている。

[オフィシャルサイト]
http://thomasades.com

沼尻竜典(指揮)
Ryusuke Numajiri, conductor

「トーマス・アデスの音楽」

沼尻竜典(指揮)写真

びわ湖ホール芸術監督、トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア音楽監督。2022年4月より神奈川フィルハーモニー管弦楽団音楽監督に就任。ベルリン留学中の1990年、ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。以来、ロンドン響、モントリオール響、ベルリン・ドイツ響、フランス放送フィル、ミラノ・ヴェルディ響、シドニー響、チャイナ・フィル等世界各国のオーケストラに客演を重ねる。国内ではNHK交響楽団を指揮してのデビュー以来、新星日本響、東京フィル、名古屋フィル、日本フィル、群馬響、日本センチュリー響のポストを歴任。2011年夏にはサイトウ・キネン・オーケストラにデビュー、バルトーク『中国の不思議な役人』で成功を収めた。ドイツではリューベック歌劇場音楽総監督を務め、オペラ公演、リューベック・フィルとのコンサートの双方において数々の名演を残した。ケルン歌劇場、バイエルン州立歌劇場、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、バーゼル歌劇場、シドニー歌劇場等へも客演、びわ湖ホールでは、2017年より4年間かけてミヒャエル・ハンペの新演出による「びわ湖リング」を上演、空前の成功を収めた。14年にはオペラ『竹取物語』を作曲・初演、国内外で再演されている。CD録音も多く、数万枚を販売するベストセラーとなった東京都響との『日本管弦楽名曲集』、芸術選奨新人賞を受けた『武満徹・ARC』をはじめとする現代音楽の他、日本センチュリー響とのメンデルスゾーン交響曲全集も名盤として名高い。トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア(旧トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ)とはベートーヴェンの交響曲全集をリリース後、定期的にレコーディングを重ねている。17年紫綬褒章受章。

成田達輝(ヴァイオリン)
Tatsuki Narita, violin

「トーマス・アデスの音楽」

© Marco Borggreve

1992年生まれ。札幌で3歳よりヴァイオリンを始める。2010年ローム ミュージック ファンデーション奨学生に選ばれる。ロン=ティボー国際コンクール(2010)、エリザベート王妃国際音楽コンクール(2012)、仙台国際音楽コンクール(2013)でそれぞれ第2位受賞。これまでに、ペトル・アルトリヒテル、オーギュスタン・デュメイ、ピエタリ・インキネンなど著名指揮者および国内外のオーケストラと多数共演している。現代の作曲家とのコラボレーションも積極的に行っており、特に酒井健治とは関係が深く、ヴァイオリンとピアノのためのCHASMを委嘱したほか、サントリー芸術財団サマーフェスティバルで成田が演奏した酒井健治作曲のヴァイオリン協奏曲《G線上で》は芥川作曲賞を受賞した。
2017年11月には一柳慧作曲のヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲を世界初演(チェロ:堤剛)。これまでに澤田まさ子、市川映子、藤原浜雄、ジャン=ジャック・カントロフ、スヴェトリン・ルセフ、フローリン・シゲティ、田中綾子の各氏に師事。リリースしたCDは『成田達輝デビュー!サン=サーンス、フランク、フォーレ、パガニーニ』(ピアノ:テオ・フシュヌレ)。
海外での演奏活動も積極的に行っており、2018年8月と2019年2月には韓国平昌で行われた音楽祭に参加し、ソン・ヨルム、スヴェトリン・ルセフらと共演。2018年にはミンスクで行われたユーリ・バシュメット音楽祭にも参加している。
使用楽器はアントニオ・ストラディヴァリ黄金期の“Tartini”1711年製。(宗次コレクションより貸与)。

杉山洋一(指揮)
Yoichi Sugiyama, conductor

「2020年度武満徹作曲賞本選演奏会」

© 山之上 雅信

1969年生まれ。桐朋学園大学作曲科卒業。95年イタリアに留学。指揮をエミリオ・ポマリコ、岡部守弘に、作曲を三善晃、フランコ・ドナトーニ、サンドロ・ゴルリに師事。2000年、アンサンブル・モデルンを皮切りに、ウィーン・モデルン、オーケストラ・ミラノ・ムジカ、クラングフォーラム・ウィーンを、日本では都響、新日本フィル、東響、東フィル、仙台フィル、東京混声合唱団を指揮。オペラではカザーレ「チョムスキーとの対話」(ボローニャ)メルキオーレ「碁の名人」初演(ヴェローナ)、「ファルスタッフ」(高松)、「魔笛」(仙台、白河)、細川俊夫「大鴉」(ボルツァーノ)等を指揮。作曲家としても国の内外から多数の委嘱を受けていて、「東京現音計画#01」で第13回佐治敬三賞を、ミュージック・フロム・ジャパン委嘱の「杜甫二首」で第2回一柳慧コンテンポラリー賞を、また指揮者としてはここ数年の「サントリー芥川也寸志作曲賞選考演奏会」等の指揮が評価され平成29年度芸術選奨文部科学大臣賞新人賞を受賞。近年は高橋悠治作品演奏会「歌垣」(2018)/「般若波羅蜜多」(2019)、松平賴暁のオペラ〈The Povocators~挑発者たち〉等の公演のオルガナイザーとしても活躍している。

東京フィルハーモニー交響楽団
Tokyo Philharmonic Orchestra

「トーマス・アデスの音楽」
「2020年度武満徹作曲賞本選演奏会」

© 上野隆文

1911年創立。2011年に日本のオーケストラとして最初の100年を迎えた、日本で最古の歴史をもつオーケストラ。約130名のメンバーをもち、シンフォニーオーケストラと劇場オーケストラの両機能を併せもつ。「定期演奏会」や「午後のコンサート」などの自主公演の他、新国立劇場のレギュラーオーケストラとしてオペラ・バレエ演奏、NHKにおける「名曲アルバム」やFM「ブラボー!オーケストラ」の他、「題名のない音楽会」などにより全国の音楽ファンに親しまれる存在として、高水準の演奏活動とさまざまな教育的活動を展開し、クラシック音楽の広い普及に努めている。

[オフィシャルサイト]
https://www.tpo.or.jp/