B→C バッハからコンテンポラリーへ
214 藤元高輝(ギター)

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日時:
2019年9月10日[火]19:00
会場:
リサイタルホール     ホールへの行き方

一本のギターで楽しむ、様々な時代の多彩な表現。
更なる進化をつづける、若き精鋭のB→C。

[出演]

藤元高輝(ギター)

[曲目]

  • ヘンツェ:《王宮の冬の音楽 ─ ソナタ第1番》から「グロスター」(1975〜76)
  • J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV1005
  • アセンシオ:内なる想い(1965)
  • カステルヌオーヴォ=テデスコ:悪魔の奇想曲 op.85
  • ソル:グランド・ソナタ第2番 op.25
  • 伊左治 直:夜の黄金(2019、藤元高輝委嘱作品、世界初演)

  • チケット情報
  • 公演について
  • 出演者プロフィール
  • インタビュー

チケット情報

[料金]全席自由
¥3,000(税込)
[チケット発売日]
Arts友の会優先発売:5月11日[土](特典:10%割引)
「インターネット予約」会員優先発売:5月16日[木]
一般発売:5月18日[土]
[チケット取り扱い]

公演について


© Hasumi Yamato

2011年の東京国際ギターコンクール優勝者、藤元高輝は10代の頃から卓越した技巧で存在感を見せ、コンテンポラリーの演奏にも定評ある若き精鋭。見通しのよい明晰な音楽づくりと多彩な音のパレットから紡がれる彼の演奏は、ギタリストという枠組みにとらわれず作曲や指揮も学んできたことで、より良いシナジー効果も得られているようです。
「クラシック音楽は時代精神に合わせて変わっていくものであり、それが良さ」と語る彼は、今回、後世の作曲家たちに今なお強い影響を与え続けているバッハを基点に、時代によってギターがどのような使われ方をされているか?を意識しました。
シェイクスピア戯曲の登場人物が題材となっているヘンツェ作品から、明るく神聖な雰囲気が漂うバッハへ。巨匠イエペスの師としても知られるアセンシオの《内なる想い》は、スペインの国民楽派、印象主義的な香り漂う小品。イエペスによって開発されたギターテクニックが余すところなく使われ、“いわばギタリストにとっての宝石箱”のような組曲です。パガニーニ作品の引用がいくつか現れ、ヴィルトゥオージティ溢れる《悪魔の奇想曲》。“ギターのベートーヴェン”の異名をもち、クラシックギター黄金期を代表するソルの大作ソナタ。そして藤元にとって作曲の師であり、ファンと明言する伊左治直の新作と、19〜21世紀の作品までまんべんなく並びました。一本のギターで様々な時代の、多彩な表現を味わえる一夜です。

出演者プロフィール

藤元高輝(ギター)

Koki Fujimoto, guitar
© Hasumi Yamato
1992年東京都出身。3歳より父からギターの手ほどきを受ける。これまでに村治昇、新井伴典、荘村清志、江間常夫の各氏に師事。同時に国内外のギタリストのマスタークラスを多数受講。作曲を塩崎美幸、植田彰、伊左治直の各氏に師事。指揮を本多優之氏に師事。フォンテックより、2007年にCD『バルトーク/ルーマニア民族舞曲』を、2016年に『武満徹/ギター作品集』を発表している。2008年ドイツ3都市(ボン、ケルン、デュッセルドルフ)にてソロコンサートを行う。2014年作曲家今村俊博とのパフォーマンスデュオ「s.b.r.」結成。
2008年ヴァイカースハイム国際ギターフェスティバルコンクール部門第1位(ドイツ)、2009年ハインスベルグ国際ギターコンクール第2位(ドイツ)、2010年アジア国際ギターフェスティバルコンクール部門第1位(タイ)、2011年東京国際ギターコンクール第1位、2012年日本ギター重奏コンクール優勝(小暮浩史とのデュオ「こーき&ひろし」として)、2018年コブレンツ国際ギターコンクール第2位(ドイツ)受賞。

インタビュー


© Hasumi Yamato
藤元高輝

2011年の東京国際ギターコンクール優勝者で、10代の頃から卓越した技巧で存在感を見せ、コンテンポラリーの演奏にも定評のある藤元高輝。「いま絶対に聴いてほしい若手ギタリストの一人」といっても過言ではありません。高校では副科で作曲を学び、当時はギターよりも作曲をメインに活動したいと考えていたという彼ならではの「好きな作曲家」や、現在も留学中のケルンでの印象深い体験、そしてこだわり抜いた今回のプログラムについてなど、メールインタビューで語っていただきました。

ギターを始めたのはいつ頃?

3歳から父の手ほどきで始め、気づいたらギターを持っていたという感じですね。小学生の頃は村治昇先生に、その後は新井伴典先生、さらに東京音大付属高校から東京音大卒業までは江間常夫先生と荘村清志先生に習っていました。いまはケルン音楽大学でアンスガー・クラウゼ先生に師事しています。

10代半ばから国際コンクールでも優秀な成績を収め、2011年には東京国際ギターコンクールで、また今年6月にはハインツベルク国際ギターコンクールでも優勝されました。小さい頃からプロのギタリストをめざしていたのですか?

高校時代は副科で作曲を習っていて、当時は作曲をメインに活動したいと思っていました。プロのギタリストを目指そうと思ったのは高校を卒業する前くらいだったかもしれません。今はギターがほぼメインですね。チャンスがあれば自作自演はどんどんやっていきたいと思っています。

ちなみにどんな作曲家が好きですか?

作曲をする者として好きな現代作曲家はナンカロウ、ウストヴォーリスカヤ、フェルドマンですが、ギタリストとして好きな作曲家となるとヘンツェや少し遡りますがブリテン辺りになります。

ケルン留学はもう5年近くなるそうですね。現地での印象深い体験などはありますか?

3つあります。1つはアンサンブル・アンテルコンタンポランの演奏で、グリゼーの《限界を超えるための4つの歌》を聴いた時。当時スペクトル楽派の音楽はちょっと苦手だったのですが、初めて涙が出ました。言語を超えた体験をしたような、あの不思議な感覚は今でもはっきりと覚えています。
2つめも演奏会で一昨年ごろ、ケルンで聴いたマーラー・チェンバー・オーケストラ。イザベル・ファウストの独奏でベルク《ヴァイオリン協奏曲》、休憩後にマーラーの「巨人」でした。こちらはグリゼーとは別の意味で印象的で、曲の完璧な分析力に圧倒されました。
3つめはラッヘンマンの《コードウェルの為の祝砲》を初演したヴィルヘルム・ブルック氏に会った事です。友達と室内楽の授業でラッヘンマンを部分的に弾いていたのですが、先生が個人的にブルック氏を知っていたので彼を招聘して、簡単なレッスンとレクチャーをやって頂く事になりました。戦後から作曲された当時までドイツ人が政府に対して持っていた感情、そしてそれがどのように曲と関連があるかについて語って下さいました。その時、ノイズだらけの抽象的な音楽にもかかわらず、頭で考えるのではなく体感することのできるプリミティブな要素を持っている事に気付かされました。これは後から考えると当たり前の事なのですが、それを本で読んで知るのではなく体で感じる事ができたというのはとても貴重だったと思います。

ところで藤元さんは囲碁が趣味とか…。ドイツでも続けているのですか?

囲碁は小学校の時に習って、それ以降はあまり打っていなかったのですが、数年前にAIが韓国のプロ棋士を負かしたのを機に、また興味がわいてきました。実は高校時代の同級生が元院生で僕の囲碁の師匠ですが、今はシュトゥットガルトで引き続きギターの勉強をしています。その彼と打つほかにケルンには囲碁が打てるカフェがあって、面白い事に最初の対戦相手はドイツの放送オケのヴァイオリン奏者(ドイツ人)でした。結果は惨敗で、それがかなり悔しくて今は時間があるときはひたすら勉強しています。去年の7月はケルンで囲碁大会があり、それにも参加しました。
囲碁はまだまだ不確定要素があり、言い換えると人間の感情が入り込む余地のあるゲームとも言えます。独特のリズムのようなものもありますし、ある意味で音楽と似ているところがあると思います。

それではB→Cについて。今回の選曲コンセプトは?

バッハからコンテンポラリーへということで、ギターが時代によってどのような使われ方をされているかを考えながらプログラムを組みました。クラシック音楽というのは時代精神に合わせて変わっていくものですし、それが良さでもあります。そこでバッハを出発点に19世紀、20世紀のギターオリジナル作品、そして21世紀の作品とまんべんなく並べてみました。

最初は藤元さんのお気に入り、ヘンツェの作品です。

ヘンツェ《王宮の冬の音楽 ─ 第1ソナタ》より「グロスター」はシェイクスピアの戯曲『リチャード三世』に出てくる登場人物で、その残忍な性格が不協和音程によって表されています。時代精神を反映したプリミティブなエネルギーの推移を楽しんでほしいですね。

ヴィセンテ・アセンシオについて教えて下さい。

バレンシアの音楽大学で教鞭を取っていたアセンシオは、映画『禁じられた遊び』の音楽を担当していたギタリスト、ナルシソ・イエペスの師でもありました。アセンシオはギターが弾けませんでしたが、それ故に妥協の無い純粋な音楽をイエペスに求め、その結果、現在でも使われているテクニックの一部がイエペスによって考え出されたのです。《内なる想い》はイエペスの開発したテクニックが余す所無く使われている、いわばギタリストの宝石箱のようなものでしょう。

いま藤元さんが極めたい作曲家はソルだそうですね。

はい。今回の演奏曲で唯一ギターを弾いていたのがフェルナンド・ソルです。ソルはギターの作曲家という印象が強いですが、歌の先生をしたり、バレエの作曲をしたりとマルチに活動していた人でした。
《グランド・ソナタ第2番》は当時のギター曲としては20分を超える大作で、ソルの野心、ギターへの敬愛が感じられます。ハイドン、モーツァルトの影響も見受けられ、前奏を除きハ長調が多く鳴り響く曲です。その長大さ、演奏の難易度の高さからあまり演奏されないのですが、今回演奏するJ.S.バッハの《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番》と同じ調であり、比肩できる価値があると思い、選びました。

新作を委嘱した伊左治直さんについてもお聞かせください。

伊左治先生は私の作曲の師匠でもあり、ギターの事を熟知している作曲家でもあります。そしてブラジル音楽をはじめ、様々な音楽からの影響を受け、独自の立脚点を築き上げた希有な作曲家です。私は、音楽の自由さを教えてくれた先生のファンです。
今回、演奏時間以外の注文は特にしていませんが、21世紀のギターの名曲になると既に確信しています。

一本のギターでさまざまな時代の、多彩な表現が味わえる一夜ですね。最後にお客様へ向けて、メッセージをどうぞ。

聴いてくださっている方々というのは、演奏者にとってとても大切な存在です。演奏会では、聴衆の不思議な力が演奏者に反映されると思っています。それによって、そこにいる人間だけでしか感じられないあたらしい「何か」が生まれるのです。そんな素晴らしい空間が共有できましたらこの上ない幸せです。リサイタルホールでお待ちしています。宜しくお願い致します!

*曲目、演奏曲順、出演者等は、変更になる場合がございますのでご了承ください。
*就学前のお子様の同伴・入場はご遠慮ください。
*ネットオークション等での営利目的の転売はお断りします。


主催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団
協賛:日本生命保険相互会社

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東京オペラシティ コンサートホール/リサイタルホール


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