B→C バッハからコンテンポラリーへ
163 大野雄太(ホルン)

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日時:
2014年6月24日[火]19:00
会場:
リサイタルホール     ホールへの行き方

めざすは温故知新。
ホルンの歴史を辿り、未来を奏でる
東響首席奏者のB→C!

  • 【アンコール曲】 ・西村 朗:無伴奏ホルン・ソナタより 第2楽章
    ・安田健太:A Brave in The Timed

[出演]

ホルン:大野雄太
ピアノ:石井理恵 *
バリトン:浦野智行 **

[曲目]

  • J.S.バッハ:ミサ曲 ロ短調 BWV232から「主のみ聖なり」*/** 
  • シュンケ:クロマティック・ホルンのためのコンチェルティーノ * 
  • 佐々木良純:多芸な練習曲 第2番(2002)*
  • ビッチ:フランス民謡による変奏曲(1954)*
  • ラトー:フィクション(1974)*
  • J.S.バッハ:カンタータ第214番《太鼓よ轟け、ラッパよ響け》BWV214から
    「冠と賛美とを頭に戴く方よ」*/** 
  • シュトゥルツェネガー:バラード(1998)*
  • サンプソン:ソナタ・フォーティー(1991〜92)* 

  • チケット情報
  • 公演について
  • 出演者プロフィール
  • インタビュー

チケット情報

[料金]全席自由
¥3,000(税込)
[チケット発売日]
Arts友の会優先発売 :2月14日[金](特典:10%割引)
一般発売:2月21日[金]
[チケット取り扱い]
東京オペラシティチケットセンター 03-5353-9999
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:221-691)

公演について

動物の角からつくられた角笛に始まり、やがて狩猟や出陣の合図、郵便配達のポストホルンといった実用品としても活躍してきたホルン。“民衆の楽器”として身近な存在だったこの楽器は、古典派初期に誕生したハンドストップ奏法によってオーケストラ楽器としての市民権を獲得し、その後19世紀ロマン派の時代に開発されたバルブ・ホルンによって表現力や機能性、ソロ楽器としても大きく進化していきました。
東京交響楽団首席奏者・大野雄太のB→Cは、ホルンが辿ってきた変遷を、歴史的にも意義深い楽曲を交えつつアプローチ!いわば「聴くだけでホルン史が体感できる」楽しみな一夜です。
ナチュラルホルン奏者でもある彼らしく、バッハはコルノ・ダ・カッチャ(狩猟ホルン)で。そして1829年作曲のシュンケ作品は、従来の定説より20年も早くバルブ・ホルンのために書かれたことが近年判明した、ホルン史上極めて重要な曲。当時最新の楽器と流行スタイルで書かれたこの曲は、もしかしたら今回が日本初演かも?!との事。そして民謡をテーマにしたビッチの変奏曲。ホルンの未来を創りたいと大野が委嘱し誕生した佐々木作品の再演。技巧的な跳躍や素早いパッセージを多く混ぜ、音色の幅広さとホルンの機能性も意識できるサンプソンのソナタなど。
バッハからコンテンポラリーへと進む過程は、常に最先端をめざす“進歩と新しさ”の積み重ね。そのなかで作曲家たちはホルンにどんな可能性を期待し、音楽を創ったのでしょうか…。ホルンの歴史を辿り、ホルンの未来へ誘うタイムトラベラーの演奏は、聴きてに何か閃きを呼び起こしてくれる予感大です!!

出演者プロフィール

大野雄太(ホルン)

Yuta Ohno, horn
1979年山形県出身。山形大学教育学部総合教育課程音楽文化コース卒業。卒業後上京。東京藝術大学ホルン別科を経て大学院修士課程入学。在学中に新日本フィルハーモニー交響楽団に入団。6年半の在籍の後、2011年10月東京交響楽団に首席奏者として移籍。ホルンアンサンブル「つの笛集団」メンバー。洗足学園音楽大学講師。ホルンを岡本和也、守山光三、水野信行の各氏に師事。
第20回日本管打楽器コンクールホルン部門第3位、第74回日本音楽コンクールホルン部門第1位と同時に岩谷賞(聴衆賞)受賞、第1回日本ホルンコンクール第1位受賞。ソリストとして新日本フィルハーモニー交響楽団、山形交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団などと共演。
現代作品分野においては佐々木良純《versatile》を委嘱初演。西村朗《無伴奏ホルン・ソナタ》全曲を日本初演。古楽分野においてはナチュラルホルン奏者として活動。クラシカル・プレイヤーズ東京メンバー。2012年2月にソリストとしてモーツァルトのホルン協奏曲第3番を演奏。東日本大震災発生以降は三陸方面のための支援コンサートシリーズを主催し定期的に開催。世界的ヴァイオリニスト、ロバート・ダヴィドヴィチらから共感を得て共演。

インタビュー

大野雄太

東京交響楽団首席ホルン奏者であり、クラシカルプレーヤーズ東京のナチュラルホルン奏者、ホルンアンサンブル「つの笛集団」のメンバーとしても活躍する実力派 大野雄太がB→Cに登場します。コルノ・ダ・カッチャ、ナチュラルホルンなど、4種類の楽器を持ち替え、いわば「聴くだけでホルン史を体感できる」という、ホルンマニアにはたまらないプログラムを組んだ今回のリサイタル。各楽器の特徴や演奏曲の聴き所、公演への意気込みなどを語っていただきました。

今回のリサイタルは、ホルンが辿ってきた変遷を歴史的にも意義深い曲を交えつつ取り上げるプログラムと伺いました。

シュンケの《クロマティック・ホルンのためのコンチェルティーノ》を軸に、ホルンの可能性に多くの作曲家が挑んだことを現わしたいと思いました。シュンケのこの曲はホルン史の観点からも極めて重要な曲なのです。というのも、これまでバルブホルンのために書かれた最初の曲は、シューマンが1849年に作曲した《アダージョとアレグロ》と思われてきました。しかし実際にはその20年も前の1829年に作曲された、シュンケのコンチェルティーノであることが、近年明らかになったのです。題名に「クロマティック・ホルン」と明記されているだけあって、「敢えて」とも言えるような意欲的な転調や自然倍音から離れた音列を並べようと試みられていたり、当時の最新の楽器を使って書かれた曲といえるでしょう。今回は当時にならってシングルホルンで演奏します。

バッハ作品はカンタータと《ロ短調ミサ曲》のクオニアムをコルノ・ダ・カッチャで演奏されます。

ホルン奏者にとって《ロ短調ミサ曲》はバッハ作品の中で燦然と輝く曲なのです。キリストの声を担当するバス(バリトン)のアリアは多くありませんが、そのオブリガートになぜかホルンが選ばれている…、それがとても重要なことに僕は思えたのです。
ホルンは、貴族など身分の高い者が手にするトランペットのような楽器と違い、民衆の楽器でした。民衆は大っぴらにトランペットを吹いてはいけないけれど、ホルンはOKという時代があったのです。そしてバッハの時代、ホルンはまだ現役の通信手段としても使われていました。キリストの声とともにそんなホルンという楽器を用いたバッハの意図や当時の聴衆の反応はどんなものだったのか…。「神は大衆にこそ」という気持ちがもしもバッハにあったのなら、それは素晴らしいことだったろうと僕は思うのです。

コルノ・ダ・カッチャとナチュラルホルン、それぞれの響きや音色の違いについて教えて頂けますか?

バッハ作品で吹くコルノ・ダ・カッチャは、現在のホルンとは違って、「右手をベルに入れる前提」で作られていません。したがって、トランペットのようにベルの拡がり方はギリギリまで細い楽器です。やはり、トランペットのように華やかな音色ではありますが、音量は今よりもずっと小さいことを想定して作られています。
佐々木良純さんの曲では通常のホルンのほかに一部ナチュラルホルンを使いますが、これは手をベルの中で閉じたりして音程を変えます(=ハンドストップ奏法)。やはり、今の楽器よりも音量は随分小さいです。しかし、3つの楽器(コルノ・ダ・カッチャ、ナチュラルホルン、バルブホルン)の中では最も柔らかな音が出て、ブラームスなどは「自分の作品ではナチュラルホルンを使ってほしい」と言うなど、愛好者も多い楽器です。片や、作曲家は「塞いだ音=デモーニッシュ」として痛みなどを強調するときに使い、これのもっとも優れた使い手の一人がモーツァルトでした。

その他のコンテンポラリー作品はどんな曲ですか?

ビッチの曲はごく平凡なフランス民謡のテーマが与えられていますが、ピアノ声部の特殊な使用法やめまぐるしい変拍子が特徴的な曲です。
ラトーの《フィクション》は電子音楽が一般的となった1970年代前半頃に書かれた作品。5分程の短い作品で、自然倍音が並ぶ部分と完全に無視された部分とが交互に登場するところなど、なんだか無理やりテープを繋げたようなコラージュを彷彿とさせます。
《バラード》は「父親がホルン吹きである息子のために作った曲」で、ある意味、R.シュトラウス作品の裏返しのようなねらいも…。この点は聴いてのお楽しみでしょうか。
サンプソンのソナタはホルンの機能性という点を意識して取り上げました。技巧的な跳躍や素早いパッセージを多く取り混ぜながら、柔らかな音色、荒々しい音色など、ホルンの特色を上手く活かしたバランスの良い作品です。
ホルンの魅力は「音色の多彩さ」です。ホルンの音色を作曲家がどのように求めてきたか、時代によって大きく変化しますが、それを楽しんでいただきたい。そして、普段はハーモニー楽器であるホルンがソロとして活躍するとき、その時々の作曲者は何をホルンに求めているのかも感じていただけると思います。

では最後に、公演にむけて意気込みをどうぞ!

このプログラムは、ホルンの歴史を訪ね、新しいホルンの歴史が創造されていくことを願っての選曲です。
僕がB→Cの選曲で最も重視したのは、「→(to)」の部分、つまり「過程」でした。ホルンは2度の革命的技術革新により、使用法が大きく変わりました。言うまでもなく、古典派初期に誕生したハンドストップ奏法、そして古典派後期に誕生したバルブホルンです。ハンドストップにより、ホルンはオーケストラ楽器としての市民権を得て、ソロ楽器としても注目されるようになりました。この時代にホルンはホルンとしてのアイデンティティーを確立したように思えます。そして「→(to)」は、変遷でもありますが、常に最先端をめざす、コンテンポラリーの連続に他なりません。コンテンポラリーという意味で一番大きいことは、これからも創造が継続されていくことだと思います。まさに、目指すのは温故知新です。
聴いて下さった皆様に、何か閃きが起きるような、そんな演奏会にしたいと考えています。

*曲目、演奏曲順、出演者等は、変更になる場合がございますのでご了承ください。
*就学前のお子様の同伴・入場はご遠慮ください。
*ネットオークション等での営利目的の転売はお断りします。


主催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団
協賛:日本生命保険相互会社

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東京オペラシティ コンサートホール/リサイタルホール


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