作家略歴
Profiles

  • 山野アンダーソン陽子

    やまの あんだーそん ようこ

    スウェーデンのストックホルムを拠点に活動するガラス作家。日本の大学を卒業後、北欧最古のガラス工場であるコースタ内の学校で吹きガラスの手法を学び、その後スウェーデンの王立美術工芸デザイン大学にて修士課程を修了。クリアーガラスを探求し、スウェーデン、イギリス、日本などで作品を展開する。

    photo: 三部正博
  • 三部正博

    さんべ まさひろ

    写真家。1983年、東京都生まれ。東京ビジュアルアーツ専門学校を経て、写真家泊昭雄氏に師事し、2006年に独立。2015年頃より人為的なものと自然のコンポジットを超えて働きかける風景をおさめたパーソナルワーク「landscape」を撮り続けている。美術、建築に加え、音楽、ファッションの分野においてもコミッションワークを手がける。

    三部正博
    《イルヴァ・カールグレンのアトリエに佇むガラス食器》
    2022
  • Anna Bjerger

    アンナ・ビヤルゲル

    1973年、スキャルフェ生まれ。スモーランド在住。セントラル・セント・マーチンズ卒業後、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修了。日々の暮らしの中で目にするモチーフや光景を即物的に切り取りながら、文学性を湛えた絵画を実現できているのは、光と影に対する画家の繊細な感覚、そしてアルミ板という実験的な支持体をみごとに活かした効果による。

    アンナ・ビヤルゲル
    《milk》
    2021
    Courtesy of the artist and Galleri Magnus Karlsson
  • Anna Camner

    アンナ・カムネー

    1977年、ストックホルム生まれ。同地在住。スウェーデン王立美術大学卒業。薄い膜を描くことが多く、画面いっぱいに広がる膜はしなやかなまま凝固し、息のつまる密閉感と皮膚のような通気性をあわせ持ち、無機的でありながらエロティックでもある。作家・写真家のカール・アブラハムソンはカムネーの作品を「色彩あふれる暗闇(A Colourful Darkness)」と称している。

    アンナ・カムネー
    《The Naked Dive》
    2020
    Collection of Jan Johansson
  • Ylva Carlgren

    イルヴァ・カールグレン

    1984年、ルーレオ生まれ。ストックホルム在住。2012年、ヨーテボリのヴァランド芸術学院で修士号を取得。抽象的な水彩画を手がける。初期には香水瓶などをモチーフに、瓶の造形、光の反射、屈折、プリズムなどを丹念に描いていたが、近年は具体的な対象物を描くことをやめ、闇、陰影、光そのものの表現を中心とする。ウォッシュ技法を基本に、水彩を細かく何層にも重ねる独自の手法で制作している。

    イルヴァ・カールグレン
    《the difference is spreading #2》
    2021
    Collection of the artist
  • Jens Fänge

    イェンス・フェンゲ

    1965年、ヨーテボリ生まれ。ストックホルム在住。1994年、ヴァランド芸術学院卒業。ある形に沿って切り抜かれた様々な素材やメディウム(油彩、鉛筆、ビニール、 カードボード、生地等)をコラージュする作品で知られる。伝統的な絵画ジャンルの序列も無関係に、肖像、静物、室内風景、都市景観、幾何学的な形が、同一画面 上に並置される。複数の遠近法が用いられることで空間は多彩に変化し、またイメージ同士に様々な関係性がもたらされて、複雑かつ魅力的な世界が構築される。

    イェンス・フェンゲ
    《Yoko’s Glass》
    2021
    Courtesy of the artist and Galleri Magnus Karlsson
  • Carl Hammoud

    カール・ハムウド

    1976年、ストックホルム生まれ。同地在住。ヴァランド美術学院修了。しばしば描かれる本や椅子などの静物は、絶妙なバランスを保ったまま積み重なり、斜めや横からの光に照らされている。誰かの仕業でそうなったのではなく、静物自らの意志でそのように在ることを選んだかに見えるのは、絵画に時間を内包しようとした未来派のスタイルを彷彿とさせるところが大きい。

    カール・ハムウド
    《Still Life With Books and Glass》
    2021
    Courtesy of the artist and Galleri Magnus Karlsson
  • Carl Michael Lundberg

    CM・ルンドベリ

    1972年、ストックホルム生まれ。ヴァルビッキ在住。スウェーデン王立美術大学修了。アネッツ・スンネビ(1951-/スウェーデンの画家)やヘルキ・フルオビブション(1953-/アイスランドの画家)、ウルフ・リンデ(1929-2013/スウェーデンの美術批評家)らの影響を受けながら、身の回りのあらゆるものを日々描いている。小さな画面の中で、生と死、光と影にまつわるモチーフが奔放なパレードを見せ、すべてが等しくその存在を謳歌している。

    CM ・ルンドベリ
    《VANITAS》
    2018
    Collection of Yoko Andersson Yamano
  • Niklas Holmgren

    ニクラス・ホルムグレン

    1974年、リュクセレ生まれ。ストックホルム在住。2001年、スウェーデン王立美術大学にて修士号を取得。ハイパーリアリスティックとも言える、光と色彩を駆使した描き方を特徴とし、一瞬の中にある人の心理や、目に見えないインタラクティブなものを示唆させる作風で知られる。また、身近なものを注意深く観察し、人物やものの核心を純化させて表現することを試みている。映画監督、脚本家としても活躍する。

    ニクラス・ホルムグレン
    《Anusha, double》
    2021
    Collection of Marie and Fredrik Eneqvist, Stockholm
  • Maria Nordin

    マリーア・ノルディン

    1980年、リンシェーピング生まれ。ストックホルム在住。2010年、スウェーデン王立美術大学にて修士号を取得。大型フォーマットの水彩画で、人体を主要モチーフとして扱う。ある瞬間を静止させ、ストップモーションのように描き出される人体の動きは、観る者の身体感覚に直接的に訴えかける。ある経験が人体を通してどのように表現されるのか、あるいは、身体的経験がどのように形作られるのかがテーマとなっている。

    マリーア・ノルディン
    《Plateau》
    2021
    Courtesy of the artist and Galleri Magnus Karlsson
  • Rebecka Tollens

    レベッカ・トレンス

    1990年、ストックホルム生まれ。フランス系スウェーデン人。2009年、フランスに移住。2018年以降、ストックホルムを拠点に活動。2011-2015年、パリのLISAAならびにエコール・ド・コンドにて学び、修士号を取得。紙、木、壁など様々な支持体に、木炭やグラファイト鉛筆による木炭画を手がける。目に見えないものを明らかにする夢や民間伝承、人生の物語から断片を集め、既知と未知、具象と虚構との挟間にある感覚を探るべく、絵画の中で独自の超現実的な空間を創出する。

    レベッカ・トレンス
    《Fellowship / Hexagram 13, T'UNG JEN (I)》
    2020
    Collection of the artist
  • 石田淳一

    いしだ じゅんいち

    1981年、埼玉県生まれ。埼玉県在住。2004年、日本大学芸術学部美術学科卒業。オーソドックスな技法で古道具や果物など身近なものをモチーフに静物画を描く。眼前の事物にじっくりと向き合うことで生まれる精緻な油彩画には、それら事物が包含する時間が光とともに描かれる。

    石田淳一
    《アトリエの陽光─山野アンダーソン陽子のガラス器と私─》
    2021
    一番星画廊蔵
  • 伊庭靖子

    いば やすこ

    1967年、京都府生まれ。京都府在住。1990年、嵯峨美術短期大学版画科専攻科修了。陶器やクッションなど身近な対象物をモチーフに、自然光の中で自ら撮影した写真をもとに油彩画などを制作する。モチーフの色や反射する光、あるいは画家の眼と対象との間にある距離や空気、それらの質感に注目し「見る」ということを考える。

    伊庭靖子
    《untitled 2021-15》
    2021
    Collection of the artist
  • 小笠原美環

    おがさわら みわ

    1973年、京都府生まれ。1991年にドイツに渡り、現在、ハンブルグを拠点とする。ハンブルグ芸術大学ではノベルト・シュワンコウスキー、ヴァーナー・ブットナーに師事した。グレイッシュな画面に光と影を湛えた静謐な絵画は、周囲の空気や時間をも内包している。哲学的な課題や社会的な問題を意識しつつも日常の風景を題材とし、意外な角度からの構図で見る者へ視点の変換を促す。

    小笠原美環
    《Still》
    2022
    Courtesy of the artist and MAHO KUBOTA GALLERY
  • 木村彩子

    きむら さいこ

    1979年、東京都生まれ。佐賀県在住。2003年、東京造形大学造形学部美術学科卒業、翌年同大学研究生修了。植物を中心とする身近な自然を絵画のモチーフとする。対象物や風景を写真で撮影し、蜜蠟を混ぜた油絵具で制作する。風と光をはらんだ透明感のある画面を特徴とし、日常で自然が見せる一瞬の美しさを捉える。装画や挿絵なども手がけ、現在は読売新聞連載コラム「日をめくる音」(黒井千次著)挿絵を担当中。

    木村彩子
    《Stem for pink / 7 May》
    2021
    Collection of the artist
  • クサナギシンペイ

    くさなぎ しんぺい

    1973年、東京都生まれ。東京都在住。2001年、セツ・モードセミナー卒業。2002年より作品を発表。未処理の画布にアクリル絵具を用い、即興的な筆致と滲みを特徴とする風景画を制作する。豊かな色彩で描かれた作品には具体的なディテールはなく、明確な場所や事象というよりも、鑑賞者の中にある時間と場所の記憶を呼び起こさせる。

    クサナギシンペイ
    《hum (madeleine-I)》
    2021
    Courtesy of Taka Ishii Gallery
  • 小林且典

    こばやし かつのり

    1961年、兵庫県生まれ。東京都在住。1987年、東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。同大学院修士課程修了後、1989年にブレラ美術アカデミーに入学。彫刻にとどまらず、写真・水彩・版画など様々な表現方法で作品を発表し、ブロンズであれば原型から鋳造まで、写真であればレンズやカメラを自作するところから暗室作業まで、全てのプロセスを徹底して自身の手で行う。

    小林且典
    《静物学》
    2019
    Collection of the artist
  • 田幡浩一

    たばた こういち

    1979年、栃木県生まれ。現在、ベルリン拠点。2004年、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業後、2006年に同大学大学院美術研究科油画専攻を修了。動的な要素を含む絵画作品や、絵画的制約をもって構成される映像作品などを制作している。メディア間や支持体自体に存在する「ずれ」を通して、目の前にある対象のあり方をひとつにとどめず、流れた時間や空間をめぐって内包し得る多な図像を丁寧に浮かび上がらせている。

    田幡浩一
    《one way or another (glass of milk and tall bottle) #01》
    2022
    Collection of the artist
    Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery
  • 八重樫ゆい

    やえがし ゆい

    1985年、千葉県生まれ。東京都在住。2009年、東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒業、2011年同大学院修了。2020年から2021年まで、ニューヨークに滞在。布生地のパターンなどを思わせる幾何学的な絵画を描く。八重樫の作品の特徴はその独自のシステム化された描き方にある。何色にするか、どの道具を使うか、どのような順序で描くか、工程をひとつひとつ丁寧に確認し、淡々と描かれた絵には静かで心地よい緊張感が生まれている。

    八重樫ゆい
    《under the light》
    2021
    Collection of the artist
  • Senay Berhe

    センナイ・ベルヘ

    1979 年、ストックホルム生まれ。映像を独学で学び、ドキュメンタリー、コマーシャル、ミュージックビデオ、ショートフィルム、写真など、多岐にわたるジャンルを手掛け、受賞も多い。特にセネガル、コートジボワール、アンゴラ、ガーナ、ケニア、南アフリカのアーティストたちの活躍を追ったドキュメンタリー・シリーズ「Afripedia」(2014)は、これまで世界各地70以上の映画祭で上映されている。

    センナイ・ベルヘ
    広島現代美術館での展示風景
    撮影:三部正博