TOMMO GOKITA

イントロダクション
Introduction

五木田智央(1969 ─ )は、イラストレーションから出発し、60〜70年代のアメリカのサブカルチャーやアンダーグラウンドの雑誌や写真にインスピレーションを得た作品を発表してきました。絵画をコラージュ的に構築する自由な発想や方法は、ドローイング制作に限らず、五木田の絵画全般において特筆すべき創作の原点となっています。
黒と白のモノクロームを基調とした彼の作品には、計算されたグラデーションや陰影が生み出すクールでファッショナブルな魅力、シンプルな描線とデフォルメされた歪な造形のコントラストが醸し出すユーモアやノスタルジー、具象と抽象の間を自由に行き来するイメージの両義性など、じつに多彩な表現の可能性を発散しています。ときに思わせぶりで、ミステリアスなイメージや状況設定は、こうした視覚言語の豊かな可能性を引き出し、鑑賞者の想像力に強く訴えかけて、独自の絵画世界へと誘います。
本展は、新作の絵画、ドローイングを中心に、近年の代表作や、800点以上のドローイングの小品からなる大規模なインスタレーションなど、約40点の作品によって、五木田智央の魅力を探ります。

《Untitled》
ミクストメディア
2014-15年
Anzai Art Office, Inc.蔵
© Tomoo Gokita
courtesy of Taka Ishii Gallery
photo: Kenji Takahashi
《Old Portrait》
アクリルグワッシュ、キャンバス
2016年
前澤友作氏蔵
© Tomoo Gokita
courtesy of Taka Ishii Gallery
photo: Kenji Takahashi