展覧会について
Introduction

世界を挑発する現代スペインの代表的アーティスト ミケル・バルセロ、日本初の回顧展がいよいよ東京へ!

ミケル・バルセロ(1957- )は、1980年代より欧州を中心に精力的な活動をおこない、現代芸術を牽引する美術家の一人として評価されています。国立国際美術館、長崎県美術館、三重県立美術館、東京オペラシティアートギャラリーを巡回する本展は、日本国内で初めて彼の仕事の全貌を紹介するものです。

雉のいるテーブル
《雉のいるテーブル》1991、作家蔵
Photo: ©Galerie Bruno Bischofberger
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.

バルセロは、スペインのマジョルカ島に生まれ、1982年に国際美術展「ドクメンタ7」(ドイツ・カッセル)で鮮烈に登場して以来、生地マジョルカ島をはじめ、パリ、アフリカのマリ、そしてヒマラヤなど世界各地に活動の場をひろげ、各地の歴史や風土と対峙するなかで制作をつづけてきました。

その制作は、絵画を中心に、彫刻、陶芸、パフォーマンスなど領域を越えてひろがり、近年ではマジョルカ島のパルマ大聖堂の内部装飾や、スイス・ジュネーブの国連欧州本部 人権理事会大会議場の天井画など、壮大な建築的プロジェクトにも結実しています。

バルセロの作品では、海と大地、動植物、歴史、宗教といったテーマが大きな位置を占めています。バルセロは、さまざまな素材との格闘を通してそれらのイメージを生み出します。物質の存在感と結びついたそれらのイメージは、プリミティブな荒々しさと、神話的、呪術的な力を秘めており、それでいて豊かな洞察と知性の裏打ちを感じさせます。

バルセロの作品は、自然や宗教、歴史、風土とのかかわりから人間の存在をあぶり出し、その根源への問いを投げかけるとともに、絵画のいまだ知られぬ力を語りかけてやみません。

本展は、長らく日本でほとんど未紹介であったこの画家の、国内の美術館で初の個展として、巨大なスケールをもつ絵画作品を中心に、彫刻、陶芸、パフォーマンス映像などを加えた約90点で初期から現在までの活動を紹介します。

亜鉛の白:弾丸の白
《亜鉛の白:弾丸の白》1992、作家蔵
Photo: ©André Morin
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.
海のスープ
《海のスープ》1984、作家蔵
Photo: ©André Morin
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.
緑の地の盲人のための風景 II
《緑の地の盲人のための風景 II》1989、作家蔵
Photo: ©André Morin
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.
細長い図書室
《細長い図書室》1984 -1985、作家蔵
Photo: ©Agustí Torres
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.