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イントロダクション

アートが私たちをひきつけてやまないのは、色やかたちや素材といった目に見える「もの」の魅力だけではなく、その背後にある意味や考えが、見る者にさまざまな問いをもたらすからではないでしょうか。本展で紹介する10組のアーティストは、私たちをとりまく現代の問題(誰もが感じることはあるが、見過ごしてしまうようなこと)に立脚した制作を続けています。都市と自然、個人のアイデンティティと歴史、アートとは何かという問いーアプローチはさまざまですが、彼らの作品は、それらの個人的経験を見る者が自身に置きかえて深いレベルで共有することを可能にします。出品作家の多くは日常に目を向けながら、その視点をずらしたり置き換えたりすることで、私たちに新しい世界の見方を示してくれます。それは、やがて作品を見る私たち自身の問いかけそのものへと変わるでしょう。
本展はコンセプチュアルな作品を多く収集するコレクター石川康晴氏のコレクションより、国際的に注目を集める10組のアーティスト、ミルチャ・カントル、オマー・ファスト、ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス、ライアン・ガンダー、リアム・ギリック、ピエール・ユイグ、小泉明郎、グレン・ライゴン、島袋道浩、ヤン・ヴォーの作品を紹介します。

◎展覧会タイトルについて

「幸福はぼくを見つけてくれるかな?」は、本展の出品作家ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイスの作品から引用しました。幸福とは自分で見つけるもの、誰もがそう考えるでしょう。しかしここには幸福が私たちを見つけるかもしれないという視点の変換がみられます。人生に見出すわずかな希望・・・?やるせなさを感じさせるひと言にもとれますが、誰の心にも浮かぶ小さな問いかけをそのままにせず、何気ない日常をさまざまな角度から見つめることで新たな世界の見方は開けるのではないでしょうか。本展がより多くの方にとって現代美術と出会う場となることを願い、このタイトルをつけました。

原文はドイツ語でFindet Mich das Glück? 日本語は2010年に金沢21世紀美術館での個展で展示された作品《質問》(2000-2010)のために酒寄進一氏によって翻訳されたものです。また、この言葉は2011年にFOILより出版されたペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイスのアーティスト・ブックのタイトルにもなっています。

ライアン・ガンダー
《ひゅん、ひゅん、ひゅうん、ひゅっ、ひゅうううん、あるいは、コンテンポラリーな振る舞いの発生の現代的表象、傾斜の動的様相についてのテオとピエトによる論争の物質的図解、百個の映画背景のためのクロマキー合成の試み、この三つの間》
2010
© Ryan Gander, courtesy the artist and TARO NASU
photo: KIOKU Keizo

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