ドミニク・ペロー 都市というランドスケープ

  • イントロダクション
  • 展覧会について
  • プロフィール&インタビュー
  • 展示風景
  • 関連イベント
  • インフォメーション

展覧会について

Tokyo and My Daughter

ホンマ自身が娘の成長を記録した家族アルバムを思わせるタイトルだが、実際は異なる。少女はホンマの子供ではないし、さらに少女の家族が撮った写真(いわゆるファウンド・フォト found photo=見いだされた写真)の複写も混じり込んでいる。こうして見る側の先入観や期待は巧妙にずらされ、やがてはっきりと揺らぎ始める。しかし時代の空気のようなものは揺らぐことなく、明瞭に浮かび上がる。

《Tokyo and my Daughter》より 2010 (C) Takashi Homma

《Tokyo and my Daughter》より 2010
© Takashi Homma

Widows

イタリアのジェノヴァの東30キロの町ラパッロに住む11人の未亡人、その住まいの中や周辺、さらに彼女たちのアルバムからとられた古いスナップ写真の複写からなるシリーズ。2010年に写真集として発表されたときは婦人たちを一人ずつ順々に紹介していたが、今回の展示ではそれらを自在にシャッフルし、個人における過去と現在というより、ラパッロの町と文化、そこでの記憶という問題を静かに浮かび上がらせている。

《Widows》より 2009 (C)Takashi Homma

《Widows》より 2009
©Takashi Homma

re-construction

写真を発表する場として、雑誌や広告を積極的かつ意識的に重視してきたホンマが、それらの写真をみずから再撮影、再編集して本の体裁にまとめた新作。現代社会で写真は様々なメディアにのってはじめて大きな影響力を行使するといえるが、同時に写真は常に様々な文脈にさらされ、そのつど変容を余儀なくされる。そうした状況に対するホンマのいわば自己言及的な関心が見て取れる。

M

各地で撮影を続けてきたファーストフード店の写真をシルクスクリーンにした新作。誰もが知っている共通のロゴのもと無機質な店舗が世界中に拡散している状況は、たとえば郊外風景を撮影するときのホンマの視線と感応しあう。また、複製技術としてのシルクスクリーンは、無限に増殖するファーストフード店のあり方に通じている。

《M / New York》 2010 (C)Takashi Homma

《M / New York》 2010
©Takashi Homma

Together: Wildlife Corridors in Los Angeles

ホンマは映像作家のマイク・ミルズとともに、ロサンゼルス近郊の野生動物の生態を調査するプロジェクトを2006年に開始した。ハイウェイの通る荒涼とした風景がつづくが、個々の撮影は、生態観測のためのレンジャーが野生のマウンテンライオンに取り付けたGPS発信器のデータにもとづき、実際にマウンテンライオンが通った場所で行われている。

《Together》より 2007 (C)Takashi Homma

《Together》より 2007
©Takashi Homma

Trails

《Together》のシリーズと同じく、野生動物への関心が起点となっている。つまりホンマは北海道の知床の地で鹿狩りに随行し、その狩りにまつわる場面を撮影したという。けれども鹿の姿はいっこうに現われない。そもそも、白い雪の上に残るのは、果たして動物の血なのか、それとも絵具か何かなのか? シリーズに加えられたドローイングによっても、かえってその謎は深まるばかりである。

《Trails》より 2010 (C)Takashi Homma

《Trails》より 2010
©Takashi Homma

Short Hope (a portrait)

ホンマは写真家・中平卓馬を深く敬愛し、折にふれ訪ね、写真や16ミリフィルム、ヴィデオなどでその姿を間近に撮影してきた。東京会場で初めて公開される本作では、中平がタバコに火をつける様子をとらえた短い映像が反復される。そこには、ささやかな日々の撮影行為を繰り返しながら「世界を全的に捉える」ことに希望をつなごうとする写真家・中平卓馬へのオマージュが崇高に浮かびあがる。

*都合により展示作品を変更する場合があります。


ページトップへ
東京オペラシティアートギャラリー