2003.5.25[日]17:00
コンサートホール




〈コンポージアム2003〉
2003年度武満徹作曲賞本選演奏会

→審査結果はこちら


審査員:ジョージ・ベンジャミン

[演奏]
指揮:下野竜也
東京フィルハーモニー交響楽団



[ファイナリスト
(演奏順)

壺井一歩(日本)/星投げびと
Ippo Tsuboi (Japan): THE STAR THROWER
1975年生まれ。兵庫県出身。95年第6回奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門入選。東京音楽大学を経て、2000年同研究生を卒業。2002年にはピティナ・ピアノコンペティションE級課題曲に《埴輪》作品3-3が採用される。

ジョエル・メラ(フランス)/アレゴリーズ
Joel Merah (France): Allegories
1969年生まれ。パリ出身。バイヨンヌ音楽院にてギター、和声、アナリーゼなどを学ぶ。作曲も始め、パリ国立高等音楽院にてG.グリゼイ、M.ストロッパなどに師事。同時にギタリストとして演奏活動も行う。IRCAMにてアシスタントとなり後にナイロビ(ケニア)の現代バレエ作品を委嘱される等活躍。一方、ボルドー大学にて電子工学とロボット工学も修めている。1999年よりバイヨンヌ音楽院にてアナリーゼの教授を務めている。

フィリップ・ニール・マーティン(イギリス)/ナイツ・ブライト・デイズ
Phillip Neil Martin (UK): Nights Bright Days
1979年生まれ。カンタベリー出身。これまでにロンドン・フィルのコンサートシリーズ開幕のファンファーレをはじめ委嘱作は多く、最近では「The BBC Young Musician of the Year Competition 2002」のための作品である無伴奏ヴァイオリン曲が初演され、BBCテレビやラジオで放送された。コンクール受賞歴も多くAHRB他奨学金も多数得ている。2002年6月にはオールドバラ音楽祭で作品が演奏された。2002年7月にロンドン王立音楽カレッジを首席で卒業。現在も引き続きジュリアン・アンダーソンに師事し、修士課程に在学している。
www.phillipneilmartin.com

ヴィットーリオ・ザーゴ(イタリア)/DA/FORT
Vittorio Zago (Italy): DA / FORT
1967年生まれ。パヴィア出身。ピアノでディプロマを取得。ミラノ・ヴェルディ音楽院にて作曲を学び、93年に首席で卒業。94年、ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽院にてM.カーゲルに師事。同年、G.ペトラッシ賞、第16回カステッロ・ディ・ベルベグリオ作曲賞にて第1位受賞。99年にはチッタ・ディ・パヴィア作曲賞受賞。作品はイタリア内外で広く演奏され、スペインやオランダ、ブルガリアなどの国営ラジオで放送された。CD録音、リコルディ社などから楽譜も出版されている。現在、カリアリの音楽院にて作曲を教えている。2000年度武満徹作曲賞ファイナリスト。

藤倉 大(日本)/ティンブクトゥを夢みて
Dai Fujikura (Japan): calling Timbuktu
1977年4月27日生まれ。大阪出身。15歳から単独渡英。トリニティ、王立音楽大学にて、ランズウィック、ロックスバラに師事。98年セロツキ国際作曲コンクール(ポーランド)にて第1位、ハダースフィルド音楽祭作曲賞(イギリス、99年、2000年)。2000年に小オペラ《This Could Be Beautiful?》がホックストンホールにて上演。これまでに、ロンドン・シンフォニエッタ、ヴォルハーディング、ロンターノ、ポーランドラジオ交響楽団などによってイギリス、メキシコ、アメリカ、オランダ、ポーランド、ブルガリアの音楽祭にて演奏される。2003年よりキングスカレッジにて博士課程を開始予定。
www.daifujikura.com
www.bmic.co.uk/newvoices/fujikura.htm



[料金]
全席自由
:\1,000

[チケット発売日]
Arts 友の会優先発売:1月24日[金](特典:10%割引)
一般発売:1月31日[金]

[チケット取り扱い]
東京オペラシティチケットセンター 03-5353-9999

チケットぴあ
 0570-02-9999
e+ eee.eplus.co.jp
ローソンチケット 0570-00-0407 (Lコード:38226)

[公演内容についてのお問い合わせ]
東京オペラシティ文化財団 03-5353-0770



未知の才能との出会い
ただ一人の審査員、ベンジャミンが選ぶ、2003年度「武満徹作曲賞」。



(c) Gautier Deblonde



一人の作曲家が審査にあたるという、ほとんど例を見ない審査方法によるリベラルかつ明快なコンクールとして、今や世界的に知られている「武満徹作曲賞」の本選演奏会は、毎年熱心な聴衆が詰めかけ、未知の才能との出会いを楽しみにしている催しです。今回の作曲賞では、32カ国100作品を応募作として受け付け、ジョージ・ベンジャミンによる譜面審査の結果、5作品が本選演奏会に推薦されました。ファイナリストたちがほとんど無名であるがゆえに、先入観とも偏見とも無縁に新しい作品に接することのできる機会であり、柔軟かつ説得力ある東京フィルの熱演も毎年好評を博しています。さらに今年の本選演奏会では、今最も注目されている新進指揮者の一人、下野竜也が指揮をつとめることも音楽界の話題を呼んでいます。審査員、演奏家、聴衆が一体になって盛り上がるこの本選演奏会をぜひ体験してみてください。

強烈な個性の持ち主は、いつの世でも、どんな芸術の分野でも、稀です。しかし、楽譜を読んでいて、並みでない新鮮ななにかに出くわすことがあれば興奮を覚えるものです、たとえそれが、より完成度が高くても紋切り型でしかない作品よりも技術的達成度がより低いようであってもです。われわれが求めているのは、結局のところ、想像力であって、単なる専門技術ではないのです。
しかし、そのような想像力−そしてそれを追求する勇気、力、運−は、常に例外でしかないでしょう。ですから、その希少性は単に現代的な現象であるとは私は思いません。私の唯一の望みは、私に力があってそのような才能を見いだせること、それも才能が芽を出しはじめる状態のときに、ということなのです。

ジョージ・ベンジャミン
「武満徹作曲賞の審査に臨んで」


妥協 ─ それが、審査員を務めた数多くの審査員会で私が直面した最大の問題でした。ほとんどの場合、大多数の審査員に反感を持たれる度合いが最もすくないものが賞を獲得することになります。時として、真の創造性をもった作品−奇抜なものはなおさら−は、このような状況のもとでは上々の首尾は得られません。しかし、音楽は、何にもまして、私たち個々に語りかけてくるものであり、独りの個性による選択は、ひとつのグループの選択−それがいかにすぐれ、いかに公平であろうとも−よりもずっと興味深いものです。
とはいえ、唯一人のメンバーによる審査員会の問題点は、それなりに明白で、それは、或る方向のスタイルには好意的で他のものには好意をもたないという偏りがあるという点です。いかに偏見にとらわれない寛大な芸術的感性の持ち主であっても、独りの人間が、現代芸術のあらゆる語法を受け入れることは不可能です。−実のところ、もしそんなことが可能だというのなら、それはそれで非常に怪しげなことに思われるでしょう。
それらのディレンマを、武満徹は、天啓のような単純明快さと大胆さとで解決したのです。すなわち、彼の名を冠するこのコンクールは、個人に審査を委ねるが、その権限を一年に限っているのです。

ジョージ・ベンジャミン
「審査員が一人であることの利点と難しさについて」



[演奏者のプロフィール]

下野竜也(指揮)Tatsuya Shimono, conductor
(c) 木ノ下晃
1969年生まれ。1992年鹿児島大学教育学部音楽科卒業後、桐朋学園大学音楽学部附属指揮教室、イタリア・シエナのキジアーナ音楽院で学ぶ。1997年から1999年まで大阪フィルハーモニー交響楽団指揮研究員を務め、1999年文化庁派遣芸術家在外研修員としてウィーン国立音楽大学に留学。2000年第12回東京国際音楽コンクール<指揮>において優勝、あわせて斎藤秀雄賞を受賞。2001年第47回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。これまでに大阪フィル、日本フィル、札幌交響楽団、広島交響楽団、仙台フィル、ストラスブール・フォル、ブラティスラヴァ放送響などに客演。


東京フィルハーモニー交響楽団 Tokyo Philharmonic Orchestra
(c) K.Miura
2001年4月、世界で最も注目される指揮者の一人チョン・ミョンフンがスペシャル・アーティスティック・アドヴァイザーに就任。日本で初めてシンフォニー・オーケストラと劇場オーケストラの両機能を併せ持つ166名を擁するオーケストラとして、定期演奏会などの自主公演や、新国立劇場を中心としたオペラ・バレエ演奏、NHKの放送活動など、充実した演奏活動を展開。Bunkamuraオーチャードホールをフランチャイズとし、千葉市、東京都文京区、埼玉県和光市と事業提携を結んでいる。

→東京フィルハーモニー交響楽団 オフィシャルサイト
http://www.tpo.or.jp/




コンポージアム2003

5/18 フィルム&トーク5/20 室内楽作品展5/22 オーケストラの地平
5/24 ワークショップ | 5/25 武満徹作曲賞本選演奏会



[Top]