エッセイ:ダニエル・ハーディング指揮 マーラー・チェンバー・オーケストラ 滑舌良くシャキッと決まる音楽創り ─ ダニエルさんとの再会を心待ちに

フランス最高の古楽団体 レザール・フロリサンが、創設者である古楽界の巨匠ウィリアム・クリスティとともに来日。16年ぶりに東京オペラシティ コンサートホールに登場します。
結成40周年を迎えるレザール・フロリサンについて、《メサイア》について、ロンドン在住の音楽ジャーナリスト、後藤菜穂子さんのインタビューに答えていただきました。

(2019年1月29日 ロンドンにて)

レザール・フロリサン、結成40周年おめでとうございます。皆さんがこの記念の年に日本で《メサイア》を演奏してくださることを日本のファンもとても楽しみにしています。
40年前にクリスティさんがレザール・フロリサンを立ち上げた時、どんな構想を持って始められたのでしょうか?

レザール・フロリサンを結成したいちばんの理由は、私が自分の翼で羽ばたきたかったからです。自らを表現したかったし、また仲間の音楽家たちにも自ら表現してほしかったのです。それまでさまざまなアンサンブルに所属して演奏する中で多くのことを学ぶと同時に、自分自身のアイディアがたくさん生まれ、やりたいことでいっぱいでした。
それで当時フランスにいた多くの若い音楽家の仲間と、その頃ほとんど知られていなかったフランスの17、18世紀の音楽をピリオド楽器で演奏するグループを作ろうということになりました。それと同時に、ある程度親しまれていたモンテヴェルディやパーセルの音楽についても、従来の解釈を問い直したいと考えていました。

レザール・フロリサンの公演活動と並行して、クリスティさんがここ10年ほど特に力を入れてきたのは、「Le Jardin des Voix」(「声の庭」)という若手歌手育成アカデミーです。今回のソリストのうち、ティム・ミード以外は全員アカデミー出身者ですね。このプロジェクトにかける思いについてお聞かせください。

このプロジェクトは、有望な若手歌手たちを指導し、またレザール・フロリサンと一緒に演奏する機会を与えることで経験を積んでもらい、音楽家としてキャリアを築くことができるよう支援するものです。現在では2年おきに募集を行ない、毎回数百人の応募の中から6〜7人の歌手を選びます。そしてこれらの歌手を起用したプログラムを考案し、内外で公演を行います。2016年には7期のメンバーとともに東京のサントリーホールでも公演を行いました。アカデミー出身で今や世界の大舞台で活躍している歌手も多くいます。

今回の演奏曲目《メサイア》は、クリスティさんにとって子どもの頃から親しまれてきた思い出深い作品だそうですね。

私はニューヨーク州バッファローで育ちましたが、同地のオーケストラが毎年クリスマスになると《メサイア》を演奏し、幼少の私はそれが楽しみでした。当時はそれ以外に18世紀の音楽が演奏されることは少なく、私にとってはきわめて重要なイベントだったのです。そこで初めて本物のチェンバロの音に触れ、またヘンデルの輝かしい合唱音楽に目覚めたのでした。いわばこの曲とともに育ったといってもよいでしょう。

これまで数多くの機会に演奏してきて、また90年代には名録音も残されていますが、ずばりクリスティさんにとって《メサイア》はどんな作品ですか?

間違いなくヘンデルがわれわれに残してくれた最高傑作の一つでしょう。いわゆる西洋音楽の名曲の中でももっとも多く演奏されてきた、きわめてスピリチュアルな音楽です。初演以来、演奏の伝統が途切れることなく、ロマン派の巨大編成の演奏、古楽復興によるバロック回帰、そして現在の言ってみればポスト・バロックなど、さまざまな時代の演奏スタイルの変遷にも適応してきた点でも特筆に値します。今回、久々に東京オペラシティ コンサートホールのすばらしい響きの中で披露できるのを楽しみにしています。

クリスティさん自身の作品に対する考え方は年月を経て変わってきましたか?

その質問はよく聞かれますが、基本的なアイディアはレザール・フロリサンと最初に《メサイア》を演奏した時から変わっていません ─ もちろん、再び取り上げる時にはこれまでとは違うやり方をすべきかどうか必ず検討しますが。40年の間にいちばん変わっている点は、ソリストが違うことです。私は共演する歌手たちのパーソナリティや感受性をひじょうに尊重しています。今回のソリストたちも尊敬しているからこそ選んだのです。

東京オペラシティArts友の会会報誌「tree」Vol.135(2019年8月号)より

■公演情報

ウィリアム・クリスティ指揮
レザール・フロリサン
《メサイア》

2019年10月14日[月・祝]15:00
会場:コンサートホール

[出演]

ウィリアム・クリスティ(指揮)
エマニュエル・デ・ネグリ/キャスリーン・ワトソン(ソプラノ)
ティム・ミード(アルト)
ジェームズ・ウェイ(テノール)
パドライク・ローワン(バス)
レザール・フロリサン(管弦楽&合唱)

[曲目]

・ヘンデル:オラトリオ《メサイア》HWV56[日本語字幕付]

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[料金](全席指定・税込) 残席僅少

S:¥14,000 A:¥12,000 B:¥10,000 C:¥8,000 D:¥5,000(B〜D席は予定枚数終了)

[チケット情報]

東京オペラシティチケットセンター
03-5353-9999(電話 10:00〜18:00/店頭 11:00〜19:00/月曜定休)

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コンサート情報

ウィリアム・クリスティ指揮
レザール・フロリサン
《メサイア》


2019年10月14日[月・祝]15:00
会場:コンサートホール

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東京オペラシティ コンサートホール/リサイタルホール


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