横山幸雄&ジャパン・チェンバー・オーケストラ
〈ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全5曲〉マラソンコンサート

横山幸雄&ジャパン・チェンバー・オーケストラ 〈ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全5曲〉マラソンコンサートチラシ

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日時:
2005年8月6日[土]14:00
会場:
コンサートホール     ホールへの行き方   座席図

ピアニスト横山幸雄の華麗なる挑戦。指揮者なし!

[出演]

ピアノ: 横山幸雄
管弦楽: ジャパン・チェンバー・オーケストラ
 

[曲目]

[第一部](14時開演)

  • ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 op.15
  • ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.19
  • 〈小休憩〉
  • ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37

  • 休憩(約1時間)

    [第二部](17時開演予定)

  • 横山幸雄+演奏メンバーによるトーク
  • ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58
  • 〈小休憩〉
  • ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調《皇帝》op.73

(終演予定19時)

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  • 公演について
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  • インタビュー

チケット情報

[料金](全席指定・税込)
S:¥7,000 A:¥6,000 B:¥5,000 C:¥4,000
[チケット発売日]
Arts友の会優先発売 :3月4日[金](特典:10%割引)
一般発売 :3月11日[金]
インターネット予約受付開始(予定) :3月15日[火]10:00~
[チケット取り扱い]
東京オペラシティチケットセンター 03-5353-9999
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:190-400)
イープラス http://eplus.jp/
ローソンチケット 0570-000-407(Lコード:37177)
CNプレイガイド 0570-08-9990

公演について

出演者プロフィール

横山幸雄(ピアノ)

Yukio Yokoyama, piano
photo(c) 三島 浩
1971年東京生まれ。東京芸術大学附属高校在学中、'87年からフランス政府給費留学生として渡仏。'89年ブゾーニ、ロン=ティボー両国際コンクールに上位入賞。'90年パリ国立高等音楽院をピアノと室内楽のプルミエ・プリを得て卒業し、同年秋ワルシャワにおけるショパン国際コンクールで過去の日本人として最年少で第3位に入賞、同時にソナタ賞を受賞。それを機に本格的な活動を開始。
その後、ショパンやベートーヴェン、ラヴェルの全曲演奏会などの成功により、人気実力ともにナンバーワンの本格派ピアニストとして確固たる地位を確立し、ソニーの専属アーティストとしてすでに十数枚のCDをリリース。また、内外の一流オーケストラや海外の著名アーティストとの共演も数多く高い評価と信頼を得ている。近年はプラハの春やクフモなど海外の音楽祭への参加や著名オーケストラの定期演奏会への出演、カーネギー・リサイタルホールやサンクトペテルブルグでのリサイタルを成功させるなど国際的にも活躍。   これまでの活動に対して新日鐵音楽賞フレッシュアーティスト賞、モービル音楽賞奨励賞、文化庁芸術選奨文部大臣新人賞、文化庁芸術祭レコード部門優秀賞、国際F.リスト賞レコードグランプリ最優秀賞など数多くの賞を受賞。
2001年には紀尾井ホールにおけるデビュー10周年記念リサイタルで3曲の自作の新曲を披露、その反響を受けて'03年サントリー大ホールにてオール自作曲によるリサイタルを開催するとともに、自作作品集『Yukio plays Yokoyama』をCDとオリジナル楽譜(ヤマハミュージックメディア)として発表。同年春より上野学園大学教授、エリザベト音楽大学客員教授に就任。
執筆の分野では、著書に『いま、ピアニスト』(ショパン刊)、『ワインの練習(エチュード)』(光文社刊)、『横山幸雄ピアノQ&A上・下』(ショパン刊)などがある。また、ショパンのバラード、即興曲全曲及び幻想曲の校訂楽譜(ドレミ楽譜出版)を出版。

→横山幸雄 公式サイト
http://yokoyamayukio.net/

ジャパン・チェンバー・オーケストラ(管弦楽)

Japan Chamber Orchestra

1992年、在京の主要オーケストラのトップ奏者と若手ソリスト達を中心に結成。コンサートマスターを矢部達哉らが交代で務め、そのメンバーは弦・管楽器合わせて20数名から成る、強力かつ最高のメンバーを揃えている。基本的に指揮者を置かず、室内楽からフル編成の曲にも対応。バロックから近・現代の作品におよぶ幅広いレパートリーを誇り、シンフォニー・オーケストラの持つダイナミックな表現力と、室内楽の主体的で緊密なアンサンブルを併せ持っているのも強みである。1999年からはパルテノン多摩を拠点に定期公演を開始。共同でプログラムを企画するなど。より発展的な活動を行っている。
2000年より、ベーレンライター新版使用「ベートーヴェン交響曲全曲演奏」をシリーズ化し、大きな話題を集めた。2001年からは、横山幸雄との「ベートーヴェンピアノ協奏曲全曲演奏シリーズ」を行っており、今年2月には同内容のCDもリリース。


[出演予定メンバー](2005年7月現在)
1st Vn:矢部達哉、川田知子、佐分利恭子*、景山裕子、菅沼ゆづき、小林久美

2nd Vn:双紙正哉、水鳥路、小林麗子、田口美里、菅谷史

Va:川本嘉子、安藤裕子、鈴木康浩、赤坂智子

Vc:木越洋、松岡陽平、高橋純子、柳瀬順平

Cb:山本修、渡邊章成

Fl:寺本義明、斉藤光晴

Ob:小畑善昭、工藤亜紀子

Cl:山本正治、近藤千花子

Fg:河村幹子、上野健

Hr:森博文、高橋臣宜

Tp:岡崎耕二、杉本正毅

Timp:藤本隆文

*「分」は正しくは「にんべんに分」

CD情報

ベートーヴェン: ピアノ協奏曲全曲(第1番~第5番)
横山幸雄(ピアノ)
ジャパン・チェンバー・オーケストラ
SICC 10024-6(3枚組) \4,830(税込)
CD/SACDハイブリッド盤

2005.2.23発売

ソニーミュージック www.sonyclassical.jp

インタビュー

「ベートーヴェン ピアノ協奏曲全5曲マラソンコンサートに挑む」

いまもっとも熱いピアニスト横山幸雄が、8月6日午後、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲を演奏します。パートナーは、精鋭集団ジャパン・チェンバー・オーケストラ(JCO)。横山&JCOは、2001年から2004年にかけて本拠地パルテノン多摩で協奏曲全曲の公演を行い、2月には全集CDもリリースされました。

「一日中、ベートーヴェンに浸れる日に」


─ 5曲を1日で演奏するのは今回が初めてですね。

横山 ファンの方々から『大変なことをされますねぇ』と言われるんですが、僕のなかでは何日かに分けて演奏するのとそれほど違いはなくて、あまり“大変さ”の実感がわかないんです。体力的には、毎日の練習時間よりも少ないので問題ないですが、集中力を持続させる、気持ちの持っていき方かなと思います。


─ しかも指揮者なしというのはおそらくほとんど前例がないこと。こういう企画が可能になったのはやはりJCOとだから、でしょうか?

横山 そうですね。リーダー格の矢部達哉君(ヴァイオリニスト)と10年以上一緒にやってきて、お互いの音楽観もよくわかっていて、共感できる部分も多い。その彼の音楽作りに共感して集まっているのがJCOなので、非常にスムーズにアンサンブルを作ることができましたし、指揮者なしだから逆にやりやすいということもあるかな。もちろんいい指揮者と共演するのはすばらしい体験ですが、指揮者に頼ってしまってタイミングだけ合わせればよいというふうになってしまう危険もあるんです。今回は室内楽のようなかたちなので、お互いの音を聴きあいながら、一緒に音楽を作るという意識がより強くなったのではないかと思います。人数が少ないので、お互いの音もかなり細かいところまで聞こえますから、この楽器とこの楽器がこの部分でこういうふうにからみあっていたんだなとか、大編成のオーケストラとやるときとは違う新しい発見もありました。僕としては、JCOはすばらしいオーケストラなので、彼らの演奏を都心でよりたくさんの方に聴いていただきたい、という気持ちもあります。


─ 作曲も手がけるなどマルチな才能をお持ちの横山さんですから、指揮者を兼ねての「弾き振り」かと思ったのですが。

横山 僕はまったく振ってないです。アンサンブルのときにするような、呼吸やちょっとした身振りで合図を送ることはありますが、アインザッツ(出のタイミング)を出したりすることはありません。
 指揮には、大きくいってふたつの要素があると思うんですね。ひとつはタイミングを合わせること、もうひとつは音楽的なオーラでオーケストラをひっぱっていくこと。分離できないこのふたつの要素のうち2番めのほうは、僕が弾いている姿、呼吸、演奏の音によって、充分に伝えられると思いますから、その部分での指揮者としての役割はしているはずなんです。アインザッツに関しては、これだけ少人数だと呼吸やちょっとした身振りでタイミングが合ってしまうものなので、その意味での指揮者の役割は、僕や矢部君がリーダーとしてやっているといえると思います。


─ 全体がひとつの楽器のような感じで音楽が自然に流れているのはそのためなのでしょうね。公演への期待が高まります。聴き手にとっても1日で全曲を聴くというのは、何回かに分けて聴くのとは違う体験になるのではないかと思います。

横山 生活のなかでの音楽のあり方というのは、人によって違うと思うんですが、平日の夜の演奏会の場合、仕事が終わってホールにかけつけて、終電に間に合うように帰るとなると、演奏会の長さはおのずと決まってきますし、『1日の最後に演奏会がありました』という印象になるでしょう。ところがこの公演のように土曜の2時開演だと、朝起きて、『きょうはベートーヴェンを聴くんだな』と思い、その気持ちのなかでホールに来て、1番から休憩をはさんで7時までに5曲を聴く。1日中ずっとベートーヴェンの音楽に浸れる日になるのではないかと思うんです。そういうことがたまにはあってもいいんじゃないかと。日常を忘れて、ぜひベートーヴェンの世界をたっぷり楽しんでいただきたいと思います。

横山幸雄 ベートーヴェンのピアノ協奏曲を語る


─ ではピアノ協奏曲5曲の紹介をお願いします。


photo(c)三島浩
横山 5曲が作曲されたのは、ちょうどピアノという楽器がすごく発展した時代です。ダイナミック・レンジと音域の拡大が発展の大きなポイントですが、それとともに5曲の変遷には、楽器の表現能力、響きの可能性の広がりをみることができます。

横山 1番(ハ長調)は、モーツァルト、ハイドン時代には見られなかった構成の大きさを感じます。ソナタ3,4番が同時期ですが、これら若い時期の作品に共通するのが壮大な構想、スケールの大きさです。2番(変ロ長調)は、1番の少し前に書かれたもので、ベートーヴェンの全作品のなかでもっともチャーミングなもののひとつ。大好きな作品です。スタイル的にはモーツァルトやハイドンに近い、ロココ調の軽い色調をもった作品です。彼の素顔というのは、《運命》のような有名な作品にはあまり感じられないのですが、ここには茶目っ気たっぷりなベートーヴェンの姿を垣間見ることができます。それからしばらく経って書かれた3番(ハ短調)は、相当な自信作だったようで、「これまでとは違う、すばらしいコンチェルトを書き上げた」という、かなり興奮した口調の文章が残されています。ドラマティックで、悲劇的な色調があって、それを力強く乗り越えていくという、ベートーヴェンたる真髄を聴くことができると思います。4番(ト長調)は、ちょうどシンフォニーの5番と6番が対になっているのと同じように、ドラマティックな3番とは対照的に、静謐で格調高い作品です。3番からずいぶん時間を経て書かれたもので、多くの人が最高傑作と位置づけています。古典的な楽器の使い方をしていた1・2番に比べて、ペダルの効果も考えられたロマンティックな手法がみられます。5番(変ホ長調)は、シンフォニーでいえば《英雄》に近い。《運命》や《熱情》ソナタのようなドラマティックな世界を超えた先にある栄光というのでしょうか、ゆるぎない力強さが感じられる曲です。この先ベートーヴェンは、作品番号100番代の後期の作品を残していますが、コンチェルトは中期の傑作5番で打ち止めにしてしまっています。コンチェルトという形式自体が、後期の作風と相容れない部分があったせいかもしれません。


─ 5曲のうち4曲がベートーヴェン自身による初演で、カデンツァも自作です。横山さんからご覧になって、ベートーヴェンはどういうピアニストだったと想像されますか?

横山 ぜひ聴いてみたいですねぇ。飽くまで想像ですが、おそらく、現代の演奏家、聴衆にとって理想とされている、テンポやリズムの正確さを重視するベートーヴェン演奏よりも、ずっとエモーショナルで、もっと感覚的で、野生的だったのではないかと思います。ベートーヴェンは即興演奏の名手だったと言われていますよね。即興なので当然楽譜は残されていないのですが、ソロ曲のなかに《ファンタジー(幻想曲)》という作品があって、この楽譜を見ていると、彼の即興演奏をそのまま採譜したような作品ではないかと感じるところがあるんです。あとコンチェルトのカデンツァも彼の即興演奏を彷彿させる貴重な資料ですね。これらをみていると、そのように感じるんです。でも僕自身は、ベートーヴェンの精神が伝われば粗野な演奏でいいとは決して思いません。ベートーヴェン像は時代とともに変わってきていますし、いまを生きるベートーヴェンを弾きたいと思っています。


─ 装飾音やトリルの解釈は楽譜のエディションによって若干の違いがあるようです。今回演奏されるのは?

横山 基本的には一番新しい楽譜ヘンレ版を使いますが、若干ヘンレと違う解釈、もう少し古い時代の伝統的なものも取り入れています。装飾音の入れ方は文献からある程度わかるのですが、楽器自やテンポ感も当時と違うわけなので、文献と同じように装飾音を弾くことには疑問に思う部分もあるんです。ですから知りうる限りのいろいろな資料をみた上で、最終的には自分の感覚で弾いています。ダイナミズム(強弱)についても、ベートーヴェンはメゾピアノ、メゾフォルテをほとんど書かなかったので、かなり極端です。フォルテ、フォルティシモ、スフォルツァンドが多いわけですが、これには耳の聞こえなさから、強調すべきところはすごく強調する、というのがあったのではないかと思います。ですから、耳が聞こえていないベートーヴェンの精神をもって、聞こえているベートーヴェンがいまの時代に生きていたらどういう演奏をするだろう、という観点で捉える必要があると思います。
 おもしろいのはベートーヴェンがいろいろな顔を持っていること。即興の名手でありながら、ソナタの作曲では、書いては破り捨て、途中まで書いては違う曲に入れたりと推敲を重ねている。5曲のコンチェルトそれぞれにも、彼のいろいろな顔が現れていると思います。


─ では全曲演奏会に向けてベートーヴェンの世界にどっぷり、ですね?

横山 ショパンを弾いているときは、完全にショパンになりきっている部分があるんですが、ベートーヴェンの場合はちょっと違う。脇にベートーヴェンがいて、一緒にコラボレーションしている感じでしょうか。少し距離を置いて、ベートーヴェンならどうするかなと考えながらやっている感じですね。


─ ベートーヴェンに会えたら、聞いてみたいことはありますか?

横山 僕の演奏に満足してもらえるかどうか。殴られちゃったらどうしよう……。

東京オペラシティArts友の会会報誌「tree」vol.49 より


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