→Jim Lambie→Kiyomichi Shibuya→Ernesto Neto
 
Introduction

日常生活に溢れるイメージを用いながら、まるで異次元のようなオプティカルな空間を作り上げるジム・ランビー。研ぎすまされた感性に貫かれた静謐な空間に、ファンタジーを紡ぎ出す渋谷清道。ゆるやかなフォルムや有機的な素材を用いた作品が、観る者の感覚を解き放つ、エルネスト・ネト。
この3人の作家によるダイナミックなインスタレーションが、東京オペラシティアートギャラリーの展示空間を、作品へと変容させます。観客は展示空間に足を踏み入れた途端、そのまま作品の中へと入り込むことになり、自然に作品との対話が始まっていきます。

「Melting Point」とは、〈融点〉を意味する言葉で、固体が融解し、液化する温度であるとともに、固体と液体が共存する瞬間でもあります。異なるものが同時に存在する場所であり、作品が空間や人に作用し、変化していく様子を象徴的に表しています。

ジム・ランビーのインスタレーションは、“場”を構成している様々な要素や、その意味をなぞりながら、そこに環境や日常生活といった外的世界と、概念的、心理的な内的世界の両方を内包しています。渋谷清道は、日本美術の伝統的な技法や素材を用いながら、そのテーマや表現方法には自由で清新な感覚を見ることができ、観るものを時空を超えた領域へと誘います。エルネスト・ネトが作り上げる造形は、柔らかい皮膜のようにあらゆるものを包み込み、それを知覚することで、次第に身体と精神が解放されていくような安らぎを覚えます。

本展のために制作されるインスタレーションは、観るものの感覚に強く働きかけ、身体的な体験を伴って、その記憶に深く刻み込まれていくことでしょう。