東京オペラシティアートギャラリーでは、1999年のオープン以来、企画展と併せてコレクションをご紹介する「収蔵品展」をギャラリー3・4で開催してまいりました。本展は初めて収蔵品展を拡大し、全館を使ってコレクションのダイナミズムをご覧いただく機会となります。
東京オペラシティコレクションは、東京オペラシティ街区の共同事業者の一人である寺田小太郎氏によって収集されました。戦後の日本美術を語る上で欠かすことのできない作家を柱として、油彩、日本画、版画、素描、立体など、その総作品点数は2600点以上におよびます。「東洋的抽象」、「ブラック&ホワイト」というテーマを中心に蒐集されたコレクションの中から、本展では新たな切り口として「土」や「大地」をテーマに作品を見つめ直します。
地球の誕生以来エネルギーを蓄え、生命を支え育む、大地。当コレクションにおけるさまざまな美術表現の中にも、私たちはその内なる力を見出すことができます。それらは時に「人間とは何か」という根源的な問いを投げかけ、私たちの存在そのものを映し出してくれるのではないでしょうか。
本展では、このテーマのために特別出品される現代陶芸作家小川待子の新作インスタレーションをはじめ、秋山陽、伊藤慶二、鈴木治などによる、精選された陶芸作品をご紹介します。絵画では、自然との密接な関係を思わせる韓国出身の画家の作品や、野又穫によるキャンバスの上の建築を出品します。また、コレクションの中核の画家、難波田龍起による《生の記録》などの一連の心象風景からは、大地の存在を強く感じて頂けることでしょう。日本画では、那智の瀧、田園風景、動植物など私たちの風土に根ざした精神性が溢れる作品を展示します。ほかにも花や木の枝などを用いて自然の中でインスタレーションを制作するニルス・ウドの写真など、大地にまつわる多様な表現を通して、私たちをとりまく生命のあり方に思いを巡らせて頂ければ幸いです。

[出品作家]
秋山陽、荒木高子、伊藤慶二、伊藤彬、尹享根、小川待子、川口起美雄、小泉淳作、鈴木治、崔恩景、難波田龍起、西野陽一、西村陽平、野又穫、李禹煥 ほか 計 約37人

© 2007 Tokyo Opera City Art Gallery