イントロダクション
武満徹(1930─96)ほど、広範な好奇心を示した音楽家は古今東西を探してもいないでしょう。琵琶、尺八などの日本の伝統楽器をいち早く取り入れ、20世紀を代表する世界的作曲家として不動の名声を確立する一方、ジャズやポップスにも関心を示し、プロデューサー、芸術監督としても活躍しました。音楽にかぎらず、武満徹の旺盛な好奇心は、美術、映画、文学、思想などさまざまなジャンルに及んでいます。

この「武満徹─Visions in Time」展は、彼がその時々にみせた創造的関心の所在を示す、多様なジャンルからの出品物で構成されています。武満徹というユニークな個性の軌跡をたどることで、彼の実像に迫るとともに、戦後日本文化の歩みも浮き彫りになることでしょう。なお、展覧会名「Visions in Time」は、彼の作品に使われた言葉を組み合わせたもので、「武満の生きた時代の光景」「音が響く瞬間にみえるイメージ」「私たちが生きる時代から未来を展望すること」などの意味を込めています。

21世紀を迎えて新しい芸術や文化のパラダイムが模索される今日、ひとりの偉大な芸術家の生きた「時間」を通して、「未来」をみつめて頂ければ幸いです。



(c) 2006 Tokyo Opera City Art Gallery