収蔵品展018 難波田史男 期間2005年4月8日-6月26日

収蔵品展 018 図版01
  《無題》 水彩、インク、紙 1963

孤独に向き合う、勇気と強さ。

難波田史男(なんばたふみお:1941-1974)は繊細なタッチで幻想的な心象風景を描いた画家です。60年代から70年代初頭に青春時代を過ごした史男は、自分の心の中に生まれてくる歓びや苦悩をありのままに描き出し、今も多くの人の共感を呼んでいます。
難波田史男は難波田龍起の次男として東京都世田谷区に生まれました。父と同様に画家を志し、1960年文化学院美術学科に籍を置きますが、美術学校特有の授業に馴染めず62年に中退、以降、独自の画法で次々と制作に取り組みます。型どおりであることを良しとしない自由な生き方は、一方で史男の孤独を増幅させ、自身の目を内面へと向かわせました。


収蔵品展 018 図版02
《無題》インク、紙 1964
収蔵品展 018 図版03
《小鳥の巣》 油彩、キャンバス 1972

自室にこもり、クラシック音楽をかけながら、自分の中にあるイメージを引き出すように、史男は続けざまに絵を描いてゆきました。「世界が、私から逃げ出して行くという意識が、私をして、絵を描かしめる。逃げ出して行く世界を追いかけながら私は描くのだ」と史男は言います。

史男の絵には、人物のようなかたち、不思議な生き物、太陽や宇宙、植物、風景など、さまざまなモチーフが登場しますが、それらは現実の世界ではなく、彼の中に存在するもう一つの世界の中のイメージであるといえます。史男は、一貫して自身の心の中をデッサンし続けたのです。

収蔵品展 018 図版04
《自己とのたたかいの日々 N-14》
水彩、インク、紙 1961


収蔵品展 018 図版05
《無題》水彩、インク、紙 1970


1967年に初個展を開催し、画家としての第一歩を踏み出してから、史男は次々と制作に取り組みました。1972年からは本格的に油彩に取り組むなど、新鋭画家として多くの人の注目を浴び始めた矢先の1974年、史男は不慮の事故により32歳の若さでその生涯を閉じます。
史男はその独特な画風により、戦後日本美術史の主流に位置づけられることはありませんでした。

しかし、自己の内面を凝視し、絵画の中に自らの世界を開花させていった史男の姿勢は、現実社会の波に呑まれ、自身に目を向けることすらままならなくなった私たちに、時代を超え、自己と向き合うための大きな勇気を与えてくれるのではないでしょうか。

東京オペラシティアートギャラリーには、史男が残した2000点余りの作品のうち270点以上が収蔵されています。本展ではその中から、史男の表現の中心となった水彩と油彩、計約100点の作品を通して、15年間の軌跡をたどります。


収蔵品展 018 図版06
《無題》水彩、インク、紙 1970

 

■インフォメーション

会  場:ギャラリー3&4(東京オペラシティ アートギャラリー 4F)
期  間:2005.7.15[金]─ 9.25[日]
開館時間:11:00 ─ 19:00(金・土は11:00 ─ 20:00/いずれも最終入場は閉館30分前まで)

開館時間が変わります
7月15日より東京オペラシティアートギャラリーの開館時間が以下のように変わります。
11:00 ─ 19:00(金・土は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)


休 館 日 :月曜日(祝日の場合翌火曜日)、8月7日[日](全館休館日)
入 場 料 :企画展「生誕100年記念 難波田龍起 ─ その人と芸術 ─」の入場料に含まれます。
主  催:(財)東京オペラシティ文化財団
お問い合わせ:東京オペラシティアートギャラリー Tel. 03-5353-0756