2002.5.25[土]─ 8.15[木]
S O L O/S






レイモンド・ペティボン(1957─)は、ポール・マッカーシーやマイク・ケリーと並んで、アメリカ西海岸を代表する現代アーティストのひとりです。1970年代後半以降、テレビや漫画のキャラクター、野球、バイオレンスなどアメリカの大衆文化的なイメージと、膨大な読書を通じての幅広い文学的世界から引用されたテキストを自由に組み合わせ、独特のドローイングを描きつづけています。絵画の習作としてではない独立した表現として、ドローイングが現代美術の枠組みに位置づけられるため、ペティボンが果たした功績は無視できません。(また、現在ドイツのカッセルで開催されている国際展「ドクメンタ11」でのドローイングによるインスタレーションも非常に高い評価を得ています。)



(c) Raymond Pettibon 2002
photo (c) KIOKU Keizo
↑clickするとドローイング全体がご覧いただけます。



ペティボンは、アリゾナ州タクソンで生まれ、その後間もなく両親とともにロサンジェルスへ移住。UCLAで経済学を専攻していた学生時代、学生新聞に本名レイモンド・ジン(Raymond Ginn)の名で政治的な小品を投稿し、1977年の大学卒業後、本格的にヴィジュアル・アーティストとしての活動を開始しました。アーティスト名として使用している"ペティボン"は、英語教師でありスパイ小説家でもある父親に子供の頃つけられたニックネーム(petit bon=little good)に由来しています。
《No Title (I had never...)》
1995
Courtesy: Regen Projects, Los Angeles.



1978年には、実兄のクレッグ・ジンとチャット・ドゥコウスキーによるパンク・バンド「ブラック・フラッグ」のレコード・ジャケットやクレッグのインディーズ・レーベルSSTのための作品も描き始めたことで、ソニックユースのカヴァーにも起用されるなど、LAのパンクシーンへと浸透していきました。その後は、ドローイングを中心とした活動に加えて長編フィルムなども手掛け、ロサンジェルスの新世代アーティストを紹介した「ヘルター・スケルター」展(1992)や「ホイットニー・バイアニュアル」(1993)など数多くの展覧会に参加しています。



《No Title (Did I do it? Do what?)》
1987
Private Collection, France.



ペティボンが紙にインクで描く絵と言葉は、じつに様々な情報ソースから得られています。
イメージは、19世紀の社会風刺的なゴヤやホイッスラーのエッチングからペリー・メイソン、刑事もの、B級映画などのテレビ番組、雑誌、ホッパーのエッチング、漫画キャラクターまで。テキストも彼自身の言葉に加え、あらゆるジャンルの読書から引用されます。彼の文学的関心は、マルセル・プルースト、ヘンリー・ジェイムス、聖書、チャールズ・マンソン、ウィリアム・ブレイク、ジョン・ラスキンからパルプ文学や雑誌までと非常に広範囲。テクストの引用について彼は、「必ず彼らの本の文脈とはまったく違う状況で使う」、「そのテクストは絵を説明するためのものでなくて、『天から降ってきた言葉』って感じ」と語っています。さらに、例えば頻繁に登場する「GUMBY(ガンビー)」や「Vavoom(バブーム)」などのキャラクター・イメージについても、「言葉や表現やコミュニケーションの根本的シンボルとして使ったんであって、けっしてポップやキッチュやサブカルチュラルな理由からではないんだ」と、それらが漫画からの単純な引用ではないことを示唆しています。



《No Title (There is a touch of poetry...)》
1997
Collection Zoe and Joel Dictrow, New York.



本展"Plot Laid Thick(塗り重ねられた陰謀)"には、初期から近作までを網羅する500点近いドローイングのほか、油彩、アーティストブック、長編フィルム、1978年から1992年にかけて制作されたミニコミ誌『'zines』、レコード・ジャケットなど、ペティボンの過去25年にわたる多様な作品が登場します。レイモンド・ペティボンの本格的な個展としては、今回が日本の美術館では初めてとなります。(なお、本展は、バルセロナ現代美術館からの巡回展です。)

2002年6月末、来日したペティボン自身によりウォール・ドローイングの製作が行われました。泉から水が湧き出るようなのびのびとした筆づかいと繊細なテキストが、コリドールの30メートルの壁面を縦横無尽に駆けめぐります。このドローイングが加わったことで、すでに500点以上のドローイングを見られる展覧会の充実度が一段とアップしました。



《No Title (When they meet...)》
2001
Courtesy: Regen Projects, Los Angeles.



All images: (c) Raymond Pettibon, Courtesy: Regen Projects, Los Angeles.



関連イベント
◎ギャラリー・トーク
ローランド・グローネンバーム(バルセロナ現代美術館キュレイター)
日時:2002.5.25[土] 15:00─
場所:東京オペラシティアートギャラリー(ギャラリー2)
料金:無料(但し、展覧会入場料が必要となります)
お申し込み、お問い合わせ:東京オペラシティアートギャラリー Tel.03-5353-0756



インフォメーション
期間:2002.5.25[土]─ 8.15[木]
開館時間:12:00 ─ 20:00(金・土は21:00まで、最終入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日、
全館休館日(8月4日[日])
入場料:一般\900(\700)、大高生\700(\550)、中小生\500(\400)
夏休みスペシャル企画!:小・中・高校生は7/20(土・祝)~8/15(木)の期間、入場料50%OFF
※SOLOS:リクリット・ティラバーニャ展+レイモンド・ペティボン展の料金です。
※収蔵品展011「彼方へ─寺田コレクションより」project N 10「英裕(はなぶさ・ゆう)」の入場料を含みます。
※( )内は15名以上の団体料金、その他割引制度あり
※週末は中小生無料。
※割引の併用はできません。

主催:(財)東京オペラシティ文化財団
協賛:日本生命/NTT都市開発/小田急電鉄/第一生命
協力:日本航空
企画協力:バルセロナ現代美術館
お問い合わせ:東京オペラシティアートギャラリー Tel.03-5353-0756