projectN 04:佐佐木誠 SASAKI Makoto

2000.10.22[日]― 12.28[木]


Hertbeat Drawing Installation TO CALL ME "YOU"
第4回目を迎える若手作家紹介シリーズproject N。今回は「ハートビート・ドローイング」を制作する佐佐木誠(ささき・まこと/1964年生まれ)が、コリドールの空間全体に及ぶインスタレーションで私たちとのコミュニケーションを試みます。
ハートビート・ドローイングとは、佐佐木が1995年から継続している、心臓の「鼓動」を記録的に描く作品です。鼓動を記録したものといえば心電図の線が思い浮かびますが、彼のドローイングはそれとは異なり、赤いインクの線が、ほぼ等間隔の細やかな振幅でびっしりと白い紙のうえに刻み込まれています。紙に残された白の領域もインクの振幅と連動しているので、それは線と余白の関係というよりも、空間に浮かぶ赤い網目のように、一体となって現れています。


《7 DAYS─Heartbeat Drawing, August-October 2000》
(Detail of heartbeat Drawing: 4 hours)
インク、紙(壁面と窓にインスタレーション)
42×4000cm
2000/photo by ヤマダミユキ

今回展示された、40m脈々と流れる大河《7 DAYS─Heartbeat Drawing, August-October 2000》(図)は、コリドールの細長い空間に触発されて生まれたという、佐佐木にとっても過去最長の7日間分の鼓動です。壁や窓の凹凸 すらものともせず、空間と一体化してひた走る圧倒的な長さのドローイングは、私たち自身の脈打つ鼓動や生きている時間にも思いをめぐらせる機会をもたらしてくれるでしょう。


図:《7 DAYS─Heartbeat Drawing, August-October 2000》
(Details of Heartbeat Drawing: 24 hours on the window)
インク、紙(壁面と窓にインスタレーション)
42×4000cm
2000/photo by SAITO Arata


ペンにインクをつけ、机に広げた紙の上に腰をかがめてひたすら鼓動を刻み付ける。息をのむような集中力を要するその行為は、緊迫したパフォーマンスの要素を兼ね備えていると同時に、生きている時間が記録され、量 として視覚化されることで、「生」のイメージを伝える具体物ともなります。そこに、個人の記録から普遍的な「生」の時間への広がり、行為から作品への昇華をうかがうことができるでしょう。事実、具体物として存在する彼のドローイングには、ストイックな行為に伴う緊張感と精巧な美しさがあります。

《Heartbeat Joint Drawing》は、鑑賞者が作家と共に鼓動を描き、会期中に一つの作品をつくりあげていく初めての試みで、それは個々の行為の集合となることから、パフォーマンス性がより強調されるものといえます。他者とのコミュニケーションは、互いにその存在を思いやり、共に生きようとして成立するものですが、実際に他者の鼓動を素材として作品にとり込んだときに、どこまでその完成度を高められるか、作家の新しい挑戦でもあります。

また、ドローイングと並行してコリドールの端から端まで照射された10本の赤い光線《Zero Hour (To Call Me メYouモ)》は、通常、測定器などとして使用されるレーザーダイオードが発する光の点の連続です。一瞬の光が連続して線となる仕組みは、「生」の瞬間を集積したドローイングを思わせますが、空間に溶け込み、私たちを貫いて一体化しようと試みる、物質感によらない素材を使用した新作です。

佐佐木のさまざまな表現形式は、ヴァリエーションを求めるのではなく、基軸であるハートビート・ドローイングの質や表現力、あるいは他者に対してより開かれたものとなるための模索の結果 、生まれるものです。また、作家の基軸とするものがその身体から発せられる素材を用いた直接的な表現であるからこそ、他の表現形式をとることで自己と作品との間に距離をおき、作品としての客観性を検証しているともいえるのではないでしょうか。


《7 DAYS─Heartbeat Drawing, August-October 2000》
(Details of Heartbeat Drawing: 24 hours on the wall)

インク、紙(壁面と窓にインスタレーション)
42×4000cm
2000/photo by SAITO Arata

佐佐木誠 SASAKI Makoto
1964 秋田県生まれ
1982 秋田県立角館高等学校卒業
1994 第3回鹿島彫刻コンクール銀賞受賞
1995 「ハートビート・ドローイング」プロジェクトを開始
1999 チナティ・ファウンデーションのアーティスト・イン・レジデンスによりテキサスに滞在 現在、東京都在住

主な個展
1995 VIRUS、上海
1996 「エモーショナル・スクエア」、ギャラリー現、東京
1997 「インビジブル・ハンド」、ギャラリー現、東京
「コンパクト」、ギャラリー360°、東京
1998 「ステーションズ」、ギャラリー360°、東京
「アンダー・ザ・スカイ」、ルース・ギャラリー、東京
1999 「100万の鼓動」、ギャラリー現、東京
チナティ・ファウンデーション、マーファ、テキサス
2000 「1999-2000」,サイ・ギャラリー/DRAPEAUギャラリー、大阪
「ライフ・フリッカー」、ギャラリー現、東京

グループ展
1997 「ジャパン・アート・スカラシップ」、スパイラル、東京(カタログ)
1998 「フィリップ・モリス・アート・アワード1998」、東京国際フォーラム・展示ホール、東京(カタログ)
1999 「AKIHABARA TV」、コマンドN/秋葉原電気街、東京
「ワンデイ・ワン・ショー」、Free Space 3、東京

インフォメーション
場所:東京オペラシティ アートギャラリー 4Fコリドール
期間:2000.10.22[日]― 12.28[木]
開館時間:12:00 ― 20:00(金・土は21:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日

入場料:企画展「リュック・タイマンス展」、収蔵品展005「スピリチュアル・ガーデン」の入場料に含まれます。

主催:(財)東京オペラシティ文化財団

お問い合わせ:東京オペラシティアートギャラリー Tel.03-5353-0756