龍起は高村光太郎や、一時、川島理一郎に師事しながらも、ほぼ独学で絵画を学び、70年以上に及ぶ画業の間、最後まで独立の精神を貫きました。自由でありながら一方で厳しいまでに色や形を追い求めた龍起は、西洋にはない独自の抽象絵画を確立したのです。
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難波田龍起の絵画には音楽を感じるといわれます。幾重にも重なる旋律のように、微妙に変化する色調はフーガやカノンといった音楽にたとえられることもあります。彼の絵画からは、時にはジャズのようなリズムと共に、刻々と変わる色彩の躍動感があふれてきます。高村光太郎は龍起の絵について、彼の色調には「触覚」が感じられると表現しました。手のひらにその存在感がつかめるような実感ある色彩。ポリフォニックに多くの色を使いながら立ち現れてくる美しさ。それによって龍起は独自の生命感あふれる画風を確立しています。晩年、死の床で描かれたシリーズ「病床日誌」などは、紙に何色ものサインペンを重ねた力強い作品です。サインペンの発色を用い、重ねられた色はハッとするほど現代的なニュアンスをたたえています。 難波田龍起の絵画のメッセージは、見る人の感受性を刺激し、今そこにいる自分の感覚を再認識させてくれることでしょう。
「難波田龍起-『抵抗』の画家-」 日時:1999.12.11[土] 14:00 ―16:00 Vol.2 谷新 氏(宇都宮美術館館長)「難波田龍起と日本の近代美術」 日時:2000.1.8[土] 14:00 ―16:00 会場:近江楽堂(東京オペラシティ3F) 定員:先着100名(電話で事前にお申込ください。定員に満たない場合は、当日会場でも受付いたします。) お申し込み:東京オペラシティアートギャラリー Tel.03-5353-0756
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