インタビュー:スウェーデン放送合唱団と来日公演を行うペーター・ダイクストラ

最高峰の実力と人気を誇るスウェーデン放送合唱団が11月に来日。11年間音楽監督を務めたペーター・ダイクストラとの集大成といえる意欲的なプログラムを披露します。
これまでの11シーズンについて、今回のプログラムの聴きどころについて、声楽家の松平敬氏のインタビューに答えていただきました。

ダイクストラさんは、2007年から2018年までスウェーデン放送合唱団の音楽監督を務められました。この合唱団には、かつての音楽監督であったエリック・エリクソン、トヌ・カリユステらが築き上げた素晴らしい伝統があります。

私がこの合唱団の音楽監督として11年間、偉大な伝統を引き継ぐことができたのは光栄なことでした。特に、私と同じオランダ生まれのエリクソンの仕事には敬意を持っていました。彼の生徒として私は、多くのことを学びました。
この合唱団ならではのサウンドを継承し、その技術をさらに高める努力はもちろんですが、特に私はレパートリーの拡充にこだわりました。特定の時代に偏ることなく、グレゴリオ聖歌から現代音楽まで、あらゆる時代の作品を取り上げました。

この11シーズンで合唱団はどう変わりましたか?

今お話ししたレパートリーの拡充によって、合唱団は必然的に、様々な音楽スタイル、言語による作品に触れることになります。そのことによって、表現の多様性や柔軟性が向上しました。
逆に、私自身も合唱団から様々な刺激を受けました。スウェーデン放送合唱団の32人のメンバーはそれぞれ、ソリストとしても通用する優秀な歌手であるだけでなく、高いアンサンブル能力も兼ね備えた素晴らしい「音楽家」なのです。

今回の来日公演のプログラムについてお聞きします。特に、ショスタコーヴィチが4手ピアノのために編曲したストラヴィンスキー《詩篇交響曲》が目を惹きます。

ショスタコーヴィチは、レニングラードの音楽院で教えていた頃、この作品を学生に紹介しようとしましたが、当時のソ連の政治的事情で、原曲を公共の場で演奏することは困難でした。そこで私的に作られたのが、この4手ピアノのための編曲版です。
私は、2017年に出版されたばかりのショスタコーヴィチ全集の楽譜でこの編曲の存在を初めて知りました。私はこの編曲版をオランダですでに演奏しています。オーケストラの色彩感はなくなるものの、コーラスの構造ははっきりと聞こえるようになります。原曲の大規模なオーケストラに対抗するには80~100人の合唱団が必要です。しかしこの4手ピアノ版なら、小規模な合唱団で演奏できます。全く新しい作品のように聞こえますが、ピアニストがしっかりしていれば、原曲のエネルギーをそのまま再現できます。

バッハのモテット《歌え、主に向かい新しい歌を》と、同じ歌詞に作曲したサンドストレム作品の組み合わせも興味深いです。

作曲家のサンドストレム自身、歌手としてスウェーデンのいくつかの合唱団で歌っていました。そういう訳で、合唱のことを熟知していますし、彼はバッハのモテットを何度も歌っています。サンドストレムは、バッハのモテット全曲の歌詞に新しい音楽をつけました。この《歌え、主に向かい新しい歌を》もそうした作品です。
バッハ、サンドストレムのどちらの作品も祝祭的な雰囲気を持っていますが、両者の音楽スタイルは当然ながら全く異なっています。
サンドストレム作品の歌手に対する要求は高く、演奏も容易ではありません。しかし、音楽を聴けばすぐに彼の作品だと分かる個性があります。

ダイクストラさんはサンドストレムと親しく仕事をされていましたが、彼は今年6月に亡くなってしまいました。

彼と過ごした時間はとても大切です。彼とは、音楽に限らず様々なことを話しましたし、私たちの演奏に関しては、彼からの信頼も得ていました。彼は、合唱曲を作曲する時はいつも、スウェーデン放送合唱団のサウンドが念頭にあると話していました。つまり私たちの演奏は、彼が頭に描いていたサウンドそのものであるはずです。

日本の聴衆にメッセージを。

東京オペラシティ コンサートホールは声楽にとても適したホールです。そして、そこに集う聴衆もとても素晴らしいです。東京でまた演奏できることを楽しみにしています。

東京オペラシティArts友の会会報誌「tree」Vol.136(2019年10月号)より

© Kristian Pohl

■公演情報

スウェーデン放送合唱団

2019年11月26日[火]19:00
会場:コンサートホール

[出演]

ペーター・ダイクストラ(指揮)
スウェーデン放送合唱団
ヨハン・ウッレン/マグヌス・ショルド(ピアノ)*

[曲目]

・ペルト:それは…の息子であった(2000)
・シュニトケ:3つの聖歌(1984)
・ストラヴィンスキー:詩篇交響曲(1930, rev.1948)[ショスタコーヴィチによる4手ピアノ版による]*
・スヴェン=ダヴィッド・サンドストレム:モテット《歌え、主に向かい新しい歌を》(2003)
・J.S.バッハ:モテット《来たれ、イエスよ、来たれ》BWV229
・スヴェン=ダヴィッド・サンドストレム:アニュス・デイ(1980)
・J.S.バッハ:モテット《歌え、主に向かい新しい歌を》BWV225

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[料金](全席指定・税込)

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コンサート情報

スウェーデン放送合唱団


2019年11月26日[火]19:00
会場:コンサートホール

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