挾間美帆 山下洋輔プロデュース ニューイヤー・ジャズ・コンサート2013 主役はこの人!

2012年10月12日
取材・構成・文:東京オペラシティArts友の会会報誌「tree」編集部
取材協力:ジャムライス

  • ■お名前が広く知られる最初のきっかけは、2008年のニューイヤー、山下洋輔さんのピアノ協奏曲第3番《エクスプローラー》のオーケストレーションでしたね。
  • 挾間美帆(以下MH):大学3年生でした。ある日突然、ほとんど面識のなかった山下洋輔さんから「ピアノ協奏曲を一緒に書いてくれ」というメールが届いて(笑)、もうびっくりしちゃって、その夜は緊急家族会議ですよ。結局、失うものはないからやるしかない、となって。後で栗山和樹さんが生徒の私を山下さんに推薦してくれたと知りました。
  • ■結果は大成功でした。
  • MH:おかげさまで、自分の作品を発表する勇気が生まれました。
  • ■子供のころから作曲家になろうと?
  • MH:はい。ヤマハ音楽教室でピアノとエレクトーンと作曲を習っていた時から、何にも誰にも似ていない、自分なりの作曲ということに興味を持つようになりました。さらに子供の頃からNHK大河ドラマの音楽が大好きだったこともあって、栗山和樹さんや丸山和範さんが教えていらっしゃる国立音楽大学で勉強して、テレビなどの劇音楽の作曲家になろうと考えていました。大学では映像音楽の作曲法も学べるコースでしたが、もちろんクラシックや現代音楽の作曲もきちんと学び、それも今とても役に立っています。
  • ■ジャズとの出会いは?
  • MH:小さい頃から聴いてはいましたが、実際に深く関わるようになったのは大学に入った後のことです。大学の作曲科というのは他の学科と交流があまりなく、つまらないと感じました。作曲家こそいろいろな演奏家たちとの交流が大切なはずなのに。そんな時、ニュータイドジャズオーケストラという、クラシック音楽の学生たちによるビッグバンドに出会い、本当に生き生きと音楽する彼らの様子に、ここにいればいいことがあるかもしれないと思って参加しました。そこでアメリカのジャズ・コンポーザーやジャズ・アレンジャーの作品を知り、それまで自分が目指してきた音楽のあり方に疑問を感じるようになったのです。加えて先ほどの山下さんとの共同作業も経験し、ついに大学4年の時、自分のオリジナリティを追求するために今学びたい作曲家のもとで学ぼうと、ニューヨーク留学を決めました。
  • ■ニューヨークは期待どおりでしたか?
  • MH:すべてが素晴らしかったです。憧れのジム・マクニーリーというジャズ作曲家が教授を務めるマンハッタン音楽院の大学院で学びました。ジャズの学生たちの中、私一人だけクラシック出身だったのですが、むしろそれがマクニーリー先生の音楽の方向性と近く、授業はとても有意義でした。みんなも次第に私の書く曲を面白がって認めてくれるようになりましたし。まさに自分のオリジナリティのためにわがままに過ごした2年間でした。
  • ■ジャズ作曲家の意味するところは?
  • MH:アメリカでは確立した存在です。コンポーザー=プレーヤーの即興に委ねるという一般的なジャズのイメージとは違い、その要素は残しつつも、クラシックのように構造や音の意味を吟味し、和声やオーケストレーションも緻密に計算して楽譜をきっちり書くのが、私が取り組んでいるジャズ・コンポジションです。
  • ■では、こんどのコンサートで発表する新曲《Space in Senses》についてご紹介ください。
  • MH:この曲は第1部で編曲・演奏する山下洋輔さんのピアノソロアルバム《CANVAS in QUIET(耳をすますキャンバス)》にインスパイアされたものです。この山下さんの組曲は、画家の松井守男さんに触発されて生まれたもので、1曲1曲が様々な“色”を題材にしています。ならば私は様々な“形(shape)”を題材に音楽を作ってみたい、平面や立体の形をヒントに、音楽形式や編成、響き、空間といったものを表現したいと思いました。この“色”と“形”が、コンサート全体のコンセプトです。私の曲も組曲であることと、弾き振りをするということ…それ以上の詳細はまだ秘密ですが(笑)、オーケストラのために書くのが大好きなので、喜びをかみしめながら作曲中です。
  • ■山下さんから、こんどはあなたが主役ですよと言われた時、待ってました、と?
  • MH:とんでもない! また家族会議でした(笑)。でも、こんなに光栄でエキサイティングなことはないので、大学生の時とは違うワクワク感でいっぱいです。
東京オペラシティ ニューイヤー・ジャズ・コンサート2013 山下洋輔プロデュース 挾間美帆のジャズ作曲家宣言!

■公演情報

2013年1月11日[金]19:00 コンサートホール

東京オペラシティ ニューイヤー・ジャズ・コンサート2013
山下洋輔プロデュース
挾間美帆のジャズ作曲家宣言!

[出演]

作・編曲、ピアノ、指揮:挾間美帆
東京フィルハーモニー交響楽団

プロデュース/ピアノ:山下洋輔

[曲目]

■ 第1部 ・山下洋輔(挾間美帆編曲):Selections from "CANVAS in QUIET"

■ 第2部 ・挾間美帆:Suite "Space in Senses"(世界初演)

[料金](全席指定・税込)

S:¥5,000 A:¥4,000
(Arts 友の会特典:10%割引)

[チケットのお申し込み]

東京オペラシティチケットセンター
03-5353-9999(電話 10:00〜18:00/店頭 11:00〜19:00/月曜定休)

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コンサート情報

2013年1月11日[金]19:00
コンサートホール

東京オペラシティ ニューイヤー・ジャズ・コンサート2013
山下洋輔プロデュース
挾間美帆のジャズ作曲家宣言!

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挾間美帆
(作・編曲、ピアノ、指揮)
Miho Hazama, composer/arranger/piano/conductor

1986年生まれ。2009年、国立音楽大学作曲専攻卒業。作曲を夏田昌和、丸山和範の各氏に師事。在学中より作編曲活動を行なう。08年、東京オペラシティコンサートホールで初演された山下洋輔「ピアノ・コンチェルト第3番《エクスプローラー》」のオーケストレーションを担当、絶賛を博し一躍大きな注目を集める。これまでに、東京フィルハーモニー交響楽団、兵庫芸術文化センター管弦楽団、東京佼成ウインドオーケストラ、シエナウインドオーケストラ、ヤマハ吹奏楽団などに作編曲作品を提供。また、テレビ朝日系「題名のない音楽会」出演や、自身のグループ「m_unit」など、幅広く活動する。2010年、ジャズ・コンポジションを学ぶためニューヨークに留学。2011年、ASCAP ヤングジャズコンポーザーアワード受賞。同年、オランダのメトロポール・オーケストラのアレンジ・ワークショップに参加。2011年度の文化庁新進芸術家海外研修制度研修員に選ばれる。2012年、マンハッタン音楽院大学院を優等で卒業し、11月には「ジャズ作曲家」として初アルバム『ジャーニー・トゥ・ジャーニー』をリリースした。


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