• ■作曲家自身を驚かせられるというのは、素晴らしいことですね。
  • CC:できるかぎりいつもそう心がけています。こんなふうにもなる、こんな可能性もある、というように彼らをびっくりさせたいのです。少なくとも、常に作曲家の期待を超える演奏をしたいですね。
    ライヒの言葉はまた、過去数十年の短い間に、いかに急激にパーカッションの演奏レヴェルが上がったか、どれだけパーカッションの世界が広がったかを示すものです。その意味で《ドラミング》は、パーカッションだけでなく、音楽の世界にとって、ある種、里程標になるような興味深い作品だと思います。

  • ©Debbie Scanlan
  • ■ライヒへの委嘱作品も予定されているとか。
  • CC:2台のピアノと2つのパーカッションのためのカルテット作品で、2014/15シーズンの初演を予定しています。この編成はライヒ自身のアイディアです。《ドラミング》の演奏を聴いてもらう前から、委嘱受諾の返事をいただいていたのですが、実際に演奏を前にして、具体的にどのような作品にするかのアイディアが出てきたようです。
  • ■12月に東京オペラシティで行われるライヴでは、ライヒが来日するのも話題です。
  • CC:結成6年を迎える私たちにとって、ビッグイベントになりそうです。《ドラミング》をメインとするプログラムを二晩続けて演奏する今回のプロジェクトが実現できるのは、東京におけるライヒ人気の高さ、ライヒ音楽への渇望の現れだと思っています。東京でライヒを演奏すること自体がエキサイティングですし、また、ライヒと聴衆との掛け合いも楽しみです。
    《ドラミング》のほかに、前半では私たちが大好きな作品を何曲か演奏します。ライヒと共演する《クラッピング・ミュージック》、70年代に書かれた美しい曲《マレット楽器、声とオルガンのための音楽》、そして日本で初演された《ナゴヤ・マリンバ》です。

  • ©Debbie Scanlan
  • ■《ドラミング》を初めて聴く方のために、聴きどころをお話しいただけますか。
  • CC:この作品の魅力は、なんといってもそのシンプルさにあると思います。拍子抜けするほど簡単で、音楽初心者の子どもでも、誰でも叩けるリズム、このリズムを基盤に作られているのです。リズム自体はシンプルですが、これをどのように駆使するかの点で、ライヒは信じられないくらい賢いのです。聴き手の聴覚をからかうかのようなリズムの使い方で、リズム自体は作品を通してまったく変わらないのに、聴き手はあっという間に、ミステリアスで不可思議で、万華鏡のように変転する世界に連れていかれてしまいます。ライヒの音楽の魅力は、このように両極端 ─ とてもシンプルなものを使ってとても複雑なものを創り出す、あるいは複雑なものを使ってシンプルに聞こえるものを創り出す ─ を巧みに駆使しているところにあると思います。
    「ドラミング(叩く)」という行為に、誰もが体験したことがある、分かち合える感覚があるのも大切な部分です。パーカッションには、人間にとってなにか根源的な感覚を呼び起こす力がありますが、《ドラミング》は、そのような抗うことのできない自然の力をもった、空間を瞬時にエネルギーで埋め尽くしてしまう稀有な作品です。エキサイティングな東京の聴衆をどのようにエキサイトさせることができるか、とても楽しみにしています。

  • ©Chris Christodoulou

東京オペラシティArts友の会会報誌「tree」Vol.93(2012年8月号)より

■公演情報

2012年12月4日[火]19:00
2012年12月5日[水]19:00
コンサートホール

コリン・カリー・グループ
ライヒ《ドラミング》ライヴ

[出演]

コリン・カリー・グループ…[1-4]
シナジー・ヴォーカルズ…[3、4]
ゲスト:スティーヴ・ライヒ…[1]

[曲目](両日とも同じプログラム)

スティーヴ・ライヒ:
[1]クラッピング・ミュージック (1972)
[2]ナゴヤ・マリンバ (1994)
[3]マレット楽器、声とオルガンのための音楽 (1973)
[4]ドラミング[全曲] (1970-71)

[料金](全席指定・税込)

各日 S:¥9,000 A:¥8,000 B:¥7,000 C:¥5,000 D:¥3,000
(B、C、Dは予定枚数終了)
(Arts 友の会特典:10%割引)

[チケットのお申し込み]

東京オペラシティチケットセンター
03-5353-9999(電話 10:00〜18:00/店頭 11:00〜19:00/月曜定休)

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コンサート情報

2012年12月4日[火]19:00
2012年12月5日[水]19:00
コンサートホール

コリン・カリー・グループ
ライヒ《ドラミング》ライヴ

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コリン・カリー(パーカッション)とコリン・カリー・グループ
Colin Currie, percussion / The Colin Currie Group

コリン・カリー

©Marco Borggreve

圧倒的なパーカッショニズムとカリスマ性、作品への洞察で聴衆のみならず作曲家たちをも魅了するコリン・カリー(1976年エディンバラ生まれ)は、2000年のロイヤル・フィルハーモニック・ソサエティ・ヤングアーティスト賞受賞以来、イギリスを代表する打楽器奏者の一人として、2011/2012シーズンはロンドン・サウスバンクセンターのアーティスト・イン・レジデンスを務めるなど、目覚ましい活躍を続けている。ソリストとしてコンセルトヘボウ管、フィラデルフィア管、ロサンゼルス・フィル、ロンドン響、フィルハーモニア管などとの共演はもとより、リサイタルや室内楽でも活躍しており、カーター、ライヒ、ラウタヴァーラ、アホ、マクミラン、アンドリーセン、ナイマンらが彼のために作品を書いている。CDはヒグドンの打楽器協奏曲(LPO)、ソロアルバム「Borrowed Time」(onyx)などがあり、いずれも高い評価を得ている。
「コリン・カリー・グループ」は、2006年BBCプロムスからライヒの70歳を祝うイベントの企画を任されたカリーが、《ドラミング》を演奏すべく、卓越した技術と同曲への情熱を持つパーカッショニストを集めて結成したチーム。彼らの精悍かつ緻密なパフォーマンスには、ライヒ自身も最大級の称賛と全幅の信頼を寄せており、新時代の《ドラミング》演奏グループとして世界各地からの出演依頼が相次いでいる。


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