アストル・ピアソラ没後20周年記念 ブエノスアイレスの四季 インタビュー パブロ・シーグレル

1944年ブエノスアイレス生まれのピアニスト、パブロ・シーグレルは、1978年にアストル・ピアソラ(1921-92)に招かれ、五重奏団の中心メンバーの一人として晩年のピアソラと演奏活動を共にした。没後20年のいま、ピアソラその人を振り返るうえで、絶対に欠かせない人物である。 実はシーグレルは、元々クラシック音楽の専門教育を受け、そこからジャズ、タンゴへと進んで行った人物である。その活動は現在も活発で、若いミュージシャンとともに、ピアソラの精神を継承する独自の音楽を追求している。 今回ピアソラ没後20年を機に行われるシーグレル版「ブエノスアイレスの四季」を中心としたコンサートを前に話をうかがった。

2012年2月22日  於:東京オペラシティ文化財団
ききて&構成:林田直樹(音楽ジャーナリスト)
通訳:久野理恵子

  • ―《ブエノスアイレスの四季》は、これまで世界中で、いろんな編成や構成による演奏が行われていますね。今回は?
  • パブロ・シーグレル(以下PZ):ええ、すごくたくさんありますね。1年ほど前にオルフェウス室内管弦楽団からの委嘱で始まったのが、この企画のきっかけですけれど、今までピアノ・ソロやピアノ協奏曲的なヴァージョンはあっても、オーケストラ全体がソリストになるようなものはなかったので、本当の意味でのオーケストラ・ヴァージョンというのを作りたいと思ったのです。ピアノやバンドネオンは入りますが、オケの楽器の中の一つという扱いです。
  • ―ピアソラの作品全体の中での《ブエノスアイレスの四季》という作品のポジションについては?
  • PZ:これはバラバラに作曲された作品なんですよね。4つ全部が出来てから、最後に組曲の形態をとったという珍しい作品です。最初から意図して「四季」を作ろうとしなかっただけに、一つ一つがとても独自で、ユニークな世界を持っているところが面白い。今回の演奏会は「冬」から始める形になります。
  • ―世界中で《ブエノスアイレスの四季》が組曲として演奏されている形態には「春」から始めるのもあるし、 「夏」から始めるものもあります。日本では季節は「春」から始まる感じなんですが、 「冬」から始めるっていうのは何か理由があるんですか?
  • PZ:ピアソラが、ヴィヴァルディの「四季」からある程度誘発されて作ったといわれる部分もあるのです。私も、今回かなりヴィヴァルディを意識して、その要素をこの中に含めた編曲版にしました。そして「冬」から始めるという意味には私自身、思い入れがあって、最後は「夏」にしたい。遠大な盛り上がりで最も力強い「夏」に持っていきたいと思ったのです。ですから「冬」、「秋」、「春」、「夏」の順番でやろうと思っています。
  • パブロ・シーグレル Pablo Ziegler
  • ―ブエノスアイレスにおける四季は、日本とはどこか違いはあるのでしょうか。それぞれの季節について簡単にご説明頂けますか?
  • PZ:赤道からやや離れている分、ブエノスアイレスは少し気候的には恵まれていますが、四季は明確にはっきり分かれる違う季節になります。冬は日本より少し暖かい。秋はやはり落ち葉の季節であり、春は本当に花があふれるような、咲き乱れる季節。そして夏はブラジルとまではいかないけれど、かなり暑い夏です。
  • ―南半球だから、クリスマスは真夏なんですよね?
  • PZ:そうです。夏のクリスマスです。
  • ―ピアソラのこの曲には、ブエノスアイレスのそういう季節感が反映されていると感じますか?
  • PZ:ええもちろん。季節との深いつながりを感じる曲です。

コンサート情報

2012年7月4日[水]19:00 
コンサートホール

アストル・ピアソラ没後20年記念
ブエノスアイレスの四季

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パブロ・シーグレル
Pablo Ziegler

グラミー賞受賞アーティスト、パブロ・シーグレル(1944年生まれ)は、ニューヨークを拠点に世界で活躍するアルゼンチン人作曲家/編曲家/ピアニスト。名門ブエノスアイレス音楽院を首席で卒業。14歳でリサイタルデビューを飾り、クラシック及びジャズピアニストとして活動をはじめた。1978年より、タンゴの革命児アストル・ピアソラ五重奏団で活躍し、師の引退まで10年余巨匠を支え、世界中での演奏活動に参加した。ピアソラ五重奏団の音楽的発展に大きな影響を与えたことで高評を得る。ソリスト及び指揮者として、オルフェウス室内管弦楽団など世界を代表するオーケストラやオペラ歌手との共演、CD制作の監修も務める。シーグレル作曲《Rojo Tango》は今オペラ界で注目されているバリトン歌手アーウィン・シュロットにより上演されている。2011年8月にはピアソラ作曲(シーグレル編曲)《ブエノスアイレスの四季》およびシーグレル作曲《カンジェンゲ組曲》がノースカントリー・チェンバー・ミュージックフェスティバルで世界初演された。


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東京オペラシティ コンサートホール/リサイタルホール


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