武満徹作曲賞 審査結果・受賞者の紹介

2003年度

ジョージ・ベンジャミン

【審査員】
ジョージ・ベンジャミン(イギリス)
George Benjamin (United Kingdom)

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指揮:下野竜也、東京フィルハーモニー交響楽団

【受賞者】

左より、壷井一歩、フィリップ・ニール・マーティン、ジョエル・メラ、ジョージ・ベンジャミン、藤倉大、ヴィットーリオ・ザーゴの各氏 photo © 大窪道治

左より、壷井一歩、フィリップ・ニール・マーティン、
ジョエル・メラ、ジョージ・ベンジャミン、藤倉大、
ヴィットーリオ・ザーゴの各氏 photo © 大窪道治

より創造的な音楽文化の可能性を育むため、東京オペラシティ文化財団が世界の次代を担う若い世代に新しい音楽作品の創造を呼び掛ける「武満徹作曲賞」。2003年度審査員は、現代イギリスをリードする作曲家 ジョージ・ベンジャミン氏です。
今回は世界32カ国100作品から、2002年11月の譜面審査で5作品を選び、本選演奏会で上記受賞者を決定いたしました。

審査員:ジョージ・ベンジャミン 講評

皆様、お待ちいただきましてありがとうございました。まず感謝の言葉を述べさせてください。東京フィルハーモニー交響楽団の英雄的な演奏、木曜日の自分のオーケストラ作品を演奏していただき、そして今日の演奏もありがとうございました。演奏のみならず、その演奏に対する姿勢にも感銘を受けました。また指揮をした下野竜也さんに、感謝の言葉を強く述べたいと思います。
そして私自身の個人的な感謝を述べたい。東京オペラシティ文化財団のみなさま、この1週間、私にとっての素晴らしい滞在の機会を与えてくれたことに感謝します。名原理事長、船木、小柳、江間、長谷川、国塩さん達にお礼を申し上げます。
最後に武満徹さんに感謝を。武満さんの名がついたこの作曲賞に関わることができて、本当に感動しています。我々、世界中の音楽家たちは、武満さんの音楽、人柄に非常に愛着を感じています。彼の類まれな心の広さ、道徳心は素晴らしかったのです。そして来年のことを。(来年の武満徹作曲賞の審査員で)私の同僚であるリンドベルイも私と同様に、この素晴らしい時をすごすのではないかと思います。

さて、音楽作品に対して順位をつけるのは、実は不可能です。今日聴いたすべての作品は、それぞれ素晴らしい長所があると思います。しかし、残念ながら私にはここで順位を発表する義務があります。
第5位はなし。
第4位は壺井一歩さんです。彼の新鮮さ、オーケストラにおける新鮮な追求において、祝福したいと思います。
第3位は2作品。ザーゴさんとマーティンさんです。ザーゴさんの曲のエネルギー、ドラマティックな点を高く評価します。特に曲の後半で非常に情感が高まってくるところがよかった。
マーティンさんの作品の色彩豊かな時間、空気の作り方は素晴らしいと思います。さらに、曲の最後にむかって意外な瞬間まで形作られていくクライマックス、これがよかった。
第2位は藤倉大さんです。彼の空間、そして響きに対しての探索には非常に感銘を受けました。特に予測不可能な形で響きと空間が形作られる、そのテンションとドラマに対する感覚が素晴らしかったです。
第1位はメラさんです。彼の曲には非常に特筆に値する響き、ソノリティがあったと思います。そして非常にオリジナルなメロディに対する考え方が多々あったと思います。そして穏やかさ、時には力強さとの混ざり具合がとても素晴らしかったと思います。
最後に、東京オペラシティ文化財団の皆様、そして最後まで残ってくれたみなさま、本当にありがとうございました。

受賞者のプロフィール

第1位
ジョエル・メラ(フランス)
アレゴリーズ

1969年10月18日生まれ。パリ出身。バイヨンヌ音楽院にてギター、和声、アナリーゼなどを学ぶ。作曲を始め、パリ国立高等音楽院にてG. グリゼイ、M. ストロッパなどに師事。同時にギタリストとして演奏活動も行う。IRCAMにてアシスタントとなり後にナイロビ(ケニア)の現代バレエ作品を委嘱されるなど活躍。一方、ボルドー大学にて電子工学とロボット工学も修めている。1999年よりバイヨンヌ音楽院にてアナリーゼの教授を務めている。

【受賞の言葉】
東京オペラシティの長谷川、ベンジャミン、指揮者、師であるジェラール・グリゼイの各氏に感謝します。

第2位
藤倉 大(日本)
ティンブクトゥを夢みて

藤倉 大(日本):《ティンブクトゥを夢みて》 1977年4月27日生まれ。大阪出身。15歳から渡英。トリニティ、王立音楽大学にてランズウィック、ロックスバラに師事。98年セロツキ国際作曲コンクール(ポーランド)にて第1位、ハダースフィールド音楽祭作曲賞(イギリス、99年、2000年)。2000年に小オペラ《This Could Be Beautiful ?》がホックストンホールにて上演。これまでにロンドン・シンフォニエッタ、ヴォルハーディング、ロンターノ、ポーランドラジオ交響楽団などによってイギリス、メキシコ、アメリカ、オランダ、ポーランド、ブルガリアの音楽祭にて演奏される。2003年よりキングスカレッジにて博士課程に在学中。
www.daifujikura.com
www.bmic.co.uk/newvoices/fujikura.htm

【受賞の言葉】
指揮者の下野さん、東京フィルのみなさま、僕にとって日本語で行なう初めてのリハーサルで緊張していたのですが、良い経験をしました。とても丁寧なリハーサルを行なっていただき感謝しています。この経験を生かして、また新しい曲を作ろうと思います。どうもありがとうございました。

第3位
フィリップ・ニール・マーティン(イギリス)
ナイツ・ブライト・デイズ

1979年7月11日生まれ。カンタベリー出身。これまでにロンドン・フィルのコンサートシリーズ開幕のファンファーレをはじめ委嘱作は多く、最近では「The BBC Young Musician of the Year Competition 2002」のための作品である無伴奏ヴァイオリン曲が初演され、BBCテレビやラジオで放送された。コンクール受賞歴も多くAHRB他奨学金も多数得ている。2002年6月にはオールドバラ音楽祭で作品が演奏された。2002年7月にロンドン王立音楽カレッジを首席で卒業。現在も引き続きジュリアン・アンダーソンに師事し、修士課程に在学している。
www.phillipneilmartin.com

【受賞の言葉】
私は大変多くの人々に感謝したい。東京フィル、東京オペラシティ文化財団のみなさん、このような機会を自分に設けてくれたベンジャミンさん、ありがとうございました。今後なるべく早く、多くの作品を書いていきたいと思います。ありがとう。

第3位
ヴィットーリオ・ザーゴ(イタリア)
Da/Fort

1967年1月31日生まれ。パヴィア出身。ピアノでディプロマを取得。ミラノ・ヴェルディ音楽院にて作曲を学び、93年に首席で卒業。94年、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院にてM. カーゲルに師事。同年、G. ペトラッシ賞、第16回カステッロ・ディ・ベルベグリオ作曲賞にて第1位受賞。99年にはチッタ・ディ・パヴィア作曲賞受賞。作品はイタリア内外で広く演奏され、スペインやオランダ、ブルガリアなどの国営ラジオで放送された。CD録音、リコルディ社などから楽譜も出版されている。現在、カリアリの音楽院にて作曲を教えている。2000年度武満徹作曲賞ファイナリスト。

【受賞の言葉】
お集まりくださった聴衆のみなさまありがとう。東京オペラシティ文化財団、オーケストラのみなさま、指揮者に感謝しています。東京は2回目です。日本の方々の親切な心にとても感謝しています。

第4位
壷井一歩(日本)
星投げびと

1975年6月10日生まれ。兵庫県出身。95年第6回奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門入選。東京音楽大学を経て、2000年同研究生を卒業。2002年にはピティナ・ピアノコンペティションE級課題曲に《埴輪》作品3-3が採用される。

【受賞の言葉】
素晴らしい演奏と、ベンジャミン氏に感謝します。両親と今日ここにかけつけてくれた友人たちに感謝しています。ありがとうございました。


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東京オペラシティ コンサートホール/リサイタルホール


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