武満徹作曲賞

審査員紹介

2019年度審査員 フィリップ・マヌリ (フランス) Philippe Manoury (France)
撮影:ヒダキトモコ

2019年度 審査結果・受賞者紹介

コンポージアム2019(本選演奏会を含む東京オペラシティの同時代音楽企画)

プロフィール

作曲家。1952年6月19日、フランス・チュール生まれ。現在最も重要なフランスの作曲家の一人で、ライヴ・エレクトロニクス分野における研究者であり先駆者。9歳からピアノをピエール・サンカンに、作曲をシェーンベルクの弟子であったマックス・ドイッチュ、およびジェラール・コンデ、ミシェル・フィリポ、イヴォ・マレクらにパリ・エコール・ノルマル音楽院およびパリ国立高等音楽院にて師事した。作品は19歳にしてすでに多くの現代音楽祭において演奏され、1974年にクロード・エルフェにより初演されたピアノ曲《クリプトフォノス》の成功によりその名声は決定的となった。

1978年にブラジルに移住しいくつかの大学で教えたのち、1981年に帰国、IRCAMにて数学者のミラー・パケットとともにインタラクティヴ・ライヴ・エレクトロニクス・システムMAX-MSPを使った研究を行い、1987〜91年に作曲された《Sonus ex machina》シリーズに結実している。

1983〜87年アンサンブル・アンテルコンタンポラン教育部門責任者、1987〜97年リヨン国立高等音楽院教授、1995〜2001年パリ管弦楽団のコンポーザー・イン・レジデンスを務めている。

近年は空間配置を伴った作品も多く、2013年にドナウエッシンゲン音楽祭で初演された《In situ》では、オーケストラは聴衆を取り囲むように配置される。この曲を初演した指揮者フランソワ=グザヴィエ・ロトに触発され、ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団のために「ケルン三部作」として拡張、2016年に《リング》、2017年《In situ》再演、2019年5月には終曲となる、俳優、ソロ歌手、合唱、オーケストラのための《Lab.Oratorium》が予定されている。代表作として、オーケストラのための《響きと怒り》(1998-99/2016)、ヴァイオリン協奏曲《シナプス》(2009)、ピアノ、エレクトロニクスと管弦楽のための《Echo-Daimónon》(2012)、近年集中的に取り組んでいる弦楽四重奏曲《メランコリア》(2013)、《フラグメンティ》(2016)など、また、エレクトロニクスと各種楽器のための作品群として、ヴィオラのための《パルティータⅠ》(2007)、ヴァイオリンのための《パルティータⅡ》(2012)、2台ピアノのための《時間、使用法》(2014)がある。2017年、オーストリアのノーベル賞作家エルフリーデ・イェリネク原作による、福島の原発事故をテーマとした、俳優、音楽家、歌手とエレクトロニクスによるオペラ『光のない。』が初演され、ルール、パリ、ストラスブール、ザグレブ、ルクセンブルクで上演されている。2018年7月にはロト指揮ケルン・ギュルツェニヒ管で、エマニュエル・パユの独奏によりフルート協奏曲《サッカード》が初演された。

教育の分野では、カリフォルニア大学サンディエゴ校の名誉教授を務め、母国フランスにおいてもストラスブールの芸術院および音楽祭で教えるほか、2017年にはコレージュ・ド・フランスに招かれ客員講師をつとめた。

2002年にオペラ『K…』がモナコ・プリンス・ピエール財団作曲賞を、1998年にはパリ賞を受賞するなど多くの賞に輝き、2014年にはフランス芸術文化勲章オフィシエを受章、仏独現代音楽基金の名誉委員、ベルリン芸術アカデミーの会員に選出されている。

作品はUniversal/Editions Durandから出版されている。

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