武満徹作曲賞

審査員紹介

2009年度審査員 ヘルムート・ラッヘンマン (ドイツ) Helmut Lachenmann (Germany)
© Markus Kirchgessner

2009年度 審査結果・受賞者紹介

コンポージアム2009(本選演奏会を含む東京オペラシティの同時代音楽企画)

プロフィール

1935年シュトゥットガルト生まれ。55年から58年までシュトゥットガルト音楽大学にてピアノ、作曲、理論を学び、60年までヴェネツィアでルイジ・ノーノの最初の弟子となった。その後、シュトックハウゼンにも師事。65年にはベルギーのヘント大学の電子音楽スタジオに勤務。60年代前半からベネツィア・ビエンナーレやダルムシュタット国際現代音楽夏期講習などで作品を発表し、当時はノーノの点描的な作風に強く影響を受け、ポスト・ウェーベルンの流れを色濃く見せていた。しかし60年代後半からはより新しい音楽語法などを見出し、《tem A》(1968)、無伴奏チェロのための《プレッション》(1969)、打楽器奏者とオーケストラのため《エア》(1969)の一連の作品では、斬新な楽器の扱いにより新たな境地を見せ始めた。70〜80年代を通して彼の作品は発展し続けたが、常に伝統的な要素を背景に垣間見ることができる。近年は、その伝統的要素を表すポスト・セリーの語法をはっきりとした形でとりあげている。

国内外から様々な賞を受賞。66年から70年まではシュトゥットガルト音楽大学、72年から73年まではバーゼル大学、76年から81年まではハノーファー音楽大学で教える。78年からダルムシュタットの夏期講習で講師をつとめ、81年から99年まではシュトゥットガルト音楽大学で教授として後進の指導にあたった。加えて、アルゼンチン、オーストリア、ブラジル、カナダ、チリ、ドミニカ共和国、フランス、ドイツ、日本、オランダ、ノルウェー、ロシア、スペイン、スイス、アメリカなど多くの国でレクチャーを行っている。彼の作品は世界中で演奏され、ザルツブルグ音楽祭をはじめ各地の音楽祭のテーマ作曲家としてとりあげられている。

最近では、2000年3月、歌劇《マッチ売りの少女》(1997年ハンブルクで世界初演)の演奏会形式日本初演、ならびに2003年12月にサントリーホール国際作曲委嘱シリーズでのオーケストラのための《書》の世界初演(いずれも秋山和慶指揮東京交響楽団)の際に来日している。

主な作品

【オペラ等】
歌劇《マッチ売りの少女》 Das Madchen mit den Schwefelholzern(1990-96)
【オーケストラ曲】
ノットゥルノ Notturno, musik fur Julia[小オーケストラとチェロ](1966-1968)
エア Air[大オーケストラと打楽器ソロ](1968-1969)
コントラカデンツ Kontrakadenz(1970)
Klangschatten - mein Saitenspiel[48弦楽器と3ピアノ](1972)
ファサード Fassade[大オーケストラとテープ](1973/1987)
Accanto[クラリネットとオーケストラ](1975-1976/1982)
Tanzsuite mit Deutschlandlied[弦楽四重奏とオーケストラ](1979-1980)
よみがえる響き Ausklang[ピアノとオーケストラ](1984-1985)
Harmonica[チューバと大オーケストラ](1981-1983)
Staub(1985-1987)
Nun[フルート、トロンボーン、男声合唱とオーケストラ](1997-1999)
タブロー Tableau(1988-1989)
オーケストラのための《書》 Schreiben fur Orchester(2003)
Double (Grido II) fur Streichorchester(2004)
【アンサンブル曲/室内楽曲】
Angelion[14金管楽器と2ピアノ](1962-1963)
Trio Fluido[クラリネット、ヴィオラと打楽器](1966-1967/1968)
TemA[フルート、メゾ・ソプラノ、チェロ](1968)
グラン・トルソ Gran Torso[弦楽四重奏](1971-1972/1978/1988)
モンタージュ Montage[クラリネット、チェロとピアノ](1971)
Schwankungen am Rand[金管楽器と弦楽器](1974-1975)
Mouvement (- vor der Erstarrung) (1982-1984)
アレグロ・ソステヌート Allegro sostenuto[クラリネット、チェロとピアノ](1986-1988)
弦楽四重奏曲第2番「精霊の踊り」 Streichquartett Nr. 2 "Reigen seliger Geister"(1989)
...Zwei Gefle..., musik mit Leonardo[語り手とアンサンブル](1991-1992)
弦楽四重奏曲第3番「グリド」 Streichquartertt Nr. 3 "Grido"(2000-01/02)
【独奏曲】
シューベルトの主題による5つの変奏 5 Variationen er ein Thema von Franz Schubert[ピアノ](1956)
エコー・アンダンテ Echo Andante[ピアノ](1961-1962)
Wiegenmusik[ピアノ](1963)
アンテリュール I Intrieur I[パーカッション](1965-1966)
プレッシオン Pression[チェロ](1969-1970)
ダル・ニェンテ(アンテリュール III) Dal niente, Intrieur III[クラリネット](1970)
グエロ Guero[ピアノ](1970/1988)
Zwei Studien fur Violine allein[ヴァイオリン](1973-1974)
子どもの遊び(7つの小品) Ein Kinderspiel, 7 kleine Stcke [ピアノ](1980)
トッカティーナ Toccatina, Etude for violin solo [ヴァイオリン](1986)
セリナーデ Serynade Musik fur Klavier[ピアノ](1997/98)

主なCD

《Nun》
《Nun》
Markus Stenz(指揮)、Dietmar Wiesner(フルート)、Uwe Dierksen(トロンボーン)、SCHOLA HEIDELBERG(合唱)、アンサンブル・モデルン・オーケストラ
EMCD-004
《Ausklang》他
《Ausklang》他
Markus Stenz(指揮)、Ueli Wiget(ピアノ)、アンサンブル・モデルン・オーケストラ
EMCD-003
《Concertini》
《Concertini》
Brad Lubman(指揮)、アンサンブル・モデルン
Markus Stenz(指揮)、アンサンブル・モデルン・オーケストラ
EMSACD-001
ハンス・ツェンダー・エディション12 ラッヘンマン:《ハルモニカ》 (大オーケストラとテューバソロのための音楽) 他
ハンス・ツェンダー・エディション12
ラッヘンマン:《ハルモニカ》
(大オーケストラとテューバソロのための音楽)
ハンス・ツェンダー(指揮)、Richard Nahatzki(テューバ)、ザールブリュッケン放送交響楽団
cpo 999 484-2
《マッチ売りの少女》
《マッチ売りの少女》
森川栄子(ソプラノ)、宮田まゆみ(笙)、菅原幸子(ピアノ)、ヘルムート・ラッヘンマン(ナレーション)
シルヴァン・カンブルラン(指揮)、南西ドイツ放送交響楽団 他
ECM New Series B0002472
《コントラカデンツ》 Kontrakadenz/Klangschatten - mein Saitenspiel/Fassade
《コントラカデンツ》
Kontrakadenz/Klangschatten - mein Saitenspiel/Fassade
ミヒャエル・ギーレン(指揮)、 Peter Roggenkamp、ジグモント・サットマリー、Gerhard Gregor (ピアノ)
南西ドイツ放送交響楽団、北ドイツ放送交響楽団 他
SWR Radio-Sinfonieorchester Stuttgart
NDR-Sinfonieorchester
SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg
KAIROS 0012232KAI
《Nun》/《Notturno, Musik fur Julia》
《Nun》/《Notturno, Musik fur Julia》
ジョナサン・ノット(指揮)、Cologne West German Radio Orchestra
Kairos KAI 1214
《Schwankungen am Rand》他 Schwankungen am Rand/Mouvement (- vor der Erstarrung)/...Zwei Gefuhle..., musik mit Leonardo
《Schwankungen am Rand》他
Schwankungen am Rand/Mouvement (- vor der Erstarrung)/...Zwei Gefuhle..., musik mit Leonardo
ペーター・エトヴェシュ(指揮)、アンサンブル・モデルン、アンサンブル・モデルン・オーケストラ
ECM New Series 461949
《弦楽四重奏曲第3番「Grido」》/《弦楽四重奏曲第2番「精霊の踊り(Reigen seliger Geister)」》/《グラン・トルソ》
《弦楽四重奏曲第3番「Grido」》/《弦楽四重奏曲第2番「精霊の踊り(Reigen seliger Geister)」》/《グラン・トルソ》
アルディッティ弦楽四重奏団
KAIROS 0012662KAI
《弦楽四重奏曲第2番「精霊の踊り」》/《Tanzsuite mit Deutschlandlied》
《弦楽四重奏曲第2番「精霊の踊り」》/《Tanzsuite mit Deutschlandlied》
アルディッティ弦楽四重奏団
Olaf Henzold(指揮)、Berlin Radio Symphony Orchestra (RSO Berlin)
Disques Montaigne 782019
《グラン・トルソ》 他 Gran torso/Salut fur Caudwell Berne String Quartet
《グラン・トルソ》 他
Gran torso/Salut fur Caudwell
Berne String Quartet
Wilhelm Bruck 、Theodor Ross(ギター)
Col Legno AU 31804
《アレグロ・ソステヌート》他 Allegro Sostenuto/Dal Niente (Interieur III) /Pression/Interieur I
《アレグロ・ソステヌート》他
Allegro Sostenuto/Dal Niente (Interieur III) /Pression/Interieur I
Eduard Brunner(クラリネット)Walter Grimmer(チェロ)、Massimiliano Damerini(ピアノ)、Johannes Beer(パーカッション)
Col Legno WWE 31863
《Mouvement (-vor der Erstarrung)》他 Mouvement (-vor der Erstarrung)/...Zwei Gefuhle..., musik mit Leonardo/Consolation I/Consolation II
《Mouvement (-vor der Erstarrung)》他
Mouvement (-vor der Erstarrung)/...Zwei Gefuhle..., musik mit Leonardo/Consolation I/Consolation II
ハンス・ツェンダー(指揮)、Klangforum Wien
Schola Heidelberg、ensemble aisthesis、Walter Nusbaum
KAIROS 0012202KAI
《ダル・ニエンテ》《アレグロ・ソステヌート》他 Dal Niente/Pression/Wiegenmusik/Allegro sostenuto
《ダル・ニエンテ》《アレグロ・ソステヌート》他
Dal Niente/Pression/Wiegenmusik/Allegro sostenuto
Pierre-Laurent Aimard(ピアノ)、Alain Damiens(クラリネット)、Pierre Straush(チェロ)
ACCORD 202082
《アレグロ・ソステヌート》他 Allegro sostenuto/Serynade
《アレグロ・ソステヌート》他
Allegro sostenuto/Serynade
菅原幸子(ピアノ)、岡静代(クラリネット)、ルーカス・フェルス(チェロ)
KAIROS 0012212KAI
《ラッヘンマン ピアノ作品集》 Ein Kinderspiel/Wiegenmusik/Guero/Echo Andante/Syrenade
《ラッヘンマン ピアノ作品集》
Ein Kinderspiel/Wiegenmusik/Guero/Echo Andante/Syrenade
マリノ・フォルメンティ(ピアノ)
Col Legno AU 20222
《ラッヘンマン ピアノ作品集》 5 Variationen er ein Thema von Franz Schubert/Echo Andante/Wiegenmusik/Guero/Kinderspiel
《ラッヘンマン ピアノ作品集》
5 Variationen er ein Thema von Franz Schubert/Echo Andante/Wiegenmusik/Guero/Kinderspiel
Roland Keller(ピアノ)
Col Legno 31813

関連リンク

関連情報

  • 2008.07.31

    ■ ヴェネツィア・ビエンナーレより、ヘルムート・ラッヘンマンに金獅子賞

    ヴェネツィア・ビエンナーレより、ヘルムート・ラッヘンマンに金獅子賞。長年にわたる業績に対して。
    授賞式は、第52回ヴェネツィア国際現代音楽祭(2008年10月2日〜18日)期間中の10月3日(金)、テアトロ・アッレ・テーゼにて行なわれる。

  • 2008.06.16

    ■ ラッヘンマン作品演奏予定(2005年8月〜12月)

    8月のルツェルン音楽祭でコンポーザー・イン・レジデンスをつとめ、新作《コンチェルティーニ》がアンサンブル・モデルンにより、また《48弦楽器のためのダブル(Grido II)》がルツェルン音楽祭アカデミー・アンサンブルにより世界初演されるのをはじめ、数々の作品がヨーロッパ各地で上演予定です。

    ■ 2005〜06年、ラッヘンマンの70歳を記念してさまざまなイベントが計画されています。

    2005年8月から2006年の3月にかけて、世界各地の音楽祭や演奏会場でラッヘンマンの作品演奏会が計画されています。今年はまず、ラッヘンマンが「コンポーザー・イン・レジデンス」として招かれているルツェルン音楽祭(8〜9月)において、48弦楽器のための《ダブル(グリド II)》(9/6)や、アンサンブルのための新作(8/25)の世界初演などが行なわれます。もちろんラッヘンマン・イヤーのメインイベントは2005年11月27日、作曲者の誕生日です。ブライトコプフ社のサイトでは2005年初夏にラッヘンマン・イベントの概要をお知らせする予定です。

お問い合わせ

公益財団法人 東京オペラシティ文化財団
〒163-1403 東京都新宿区西新宿3-20-2
TEL:03-5353-0770(平日 10:00〜18:00) 
FAX:03-5353-0771