武満徹作曲賞

審査員紹介

2007年度審査員 西村 朗 (日本) Akira Nishimura (Japan)
© 大窪道治

【訃報】(2023.9.12)
作曲家の西村朗氏が2023年9月7日、逝去されました。
西村氏には、2007年度武満徹作曲賞審査員を務めていただいたほか、B→C選考委員の一人としてもご尽力いただきました。今年1月のB→C鶴田麻記公演で世界初演された《深紅の呪文》、6月のB→C田原綾子公演で再演された《アムリタ》で再演された《アムリタ》の演奏に際しては会場に臨まれましたが、その際の奏者達への温かな眼差しが今も目に浮かびます。
謹んで哀悼の意を表します。

「作曲家の西村朗さん死去 現代音楽で世界的活躍、N響アワー司会も」朝日新聞デジタル
「西村朗さん死去、69歳…現代作曲技法でアジア的美学を表現する「ヘテロフォニー」音楽 」読売新聞オンライン
「作曲家の西村朗さん死去 69歳 日本音コン委員長、N響アワー司会」毎日新聞デジタル
「<訃報> 作曲家・西村 朗 逝去のお知らせ」株式会社AMATI(マネジメント)

2007年度 審査結果・受賞者紹介

コンポージアム2007(本選演奏会を含む東京オペラシティの同時代音楽企画)

プロフィール

1953年大阪市に生まれる。73〜80年、東京芸術大学及び同大学院に学ぶ。

西洋の現代作曲技法を学ぶ一方で、在学中よりアジアの伝統音楽、宗教、美学、宇宙観等に強い関心を抱き、そこから導いたヘテロフォニーなどのコンセプトにより、オーケストラ曲を中心に多数の作品を発表している。

日本音楽コンクール作曲部門第1位(1974)、エリザベート国際音楽コンクール作曲部門大賞(1977・ブリュッセル)、ルイジ・ダルッラピッコラ作曲賞(1977・ミラノ)、尾高賞(1988・1992・1993)、中島健蔵音楽賞(1990)、京都音楽賞[実践部門賞](1991)、日本現代芸術振興賞(1994)、エクソンモービル音楽賞(2001)、第3回別宮賞(2002)等を受賞。また、2002年度芸術祭大賞に「アルディッティ弦楽四重奏団プレイズ西村朗『西村朗作品集5』」が選ばれる。

93〜94年、オーケストラ・アンサンブル金沢のコンポーザー・イン・レジデンンス。1994〜97年、東京交響楽団のコンポーザー・イン・レジデンス。

近年、海外においては、ウルティマ現代音楽祭(オスロ)、「ノルマンディの10月」音楽祭(ルーアン)、アルディッティ弦楽四重奏団、クロノス・カルテット、ELISION、ハノーヴァー現代音楽協会等から新作の委嘱を受け、ウィーン・モデルン音楽祭、「ワルシャワの秋」現代音楽祭、MUSICA・ストラスブール音楽祭、ブリスベイン音楽祭等において作品が演奏されている。

現在、東京音楽大学教授、(社)日本作曲家協議会理事の他、2000年より大阪いずみホールにおける現代音楽シリーズ「新・音楽の未来への旅」の企画監修、及びいずみシンフォニエッタ大阪の音楽監督を務めている。

第36回(2004年度)サントリー音楽賞、第47回(2005年度)毎日芸術賞を受賞。

主な作品

【オーケストラ曲】
2台のピアノと管弦楽のヘテロフォニー (1987)
〈太陽の臍〉[オーケストラと篳篥](1989)
永遠なる渾沌の光の中へ(1990)
二重協奏曲〈光の環〉ヴァイオリン、ピアノと管弦楽のための(1991)
アストラル協奏曲〈光の鏡〉[オンド・マルトノとオーケストラ](1992)
鳥のヘテロフォニー(1993)
光のマントラ[女声合唱とオーケストラ](1993)
黄昏の幻影(1995)
光の雅歌(1996)
モノディ〈単声哀歌〉(1996)
ヴィオラ協奏曲〈焔と影〉(1996)
蓮華化生(1997)
フルートと管楽と打楽器のための協奏曲(1997)
ヴァイオリン協奏曲第1番〈残光〉(1998)
アルト・サクソフォン協奏曲〈エシ・イン・アニマ(魂の内なる存在)〉(1999)
光と影の旋律(2000)
オーボエ協奏曲〈迦楼羅〉(2000)
ヴァイオリン協奏曲第2番〈秘密〜マニの光〉(2001)
樹海 二十絃箏とオーケストラのための協奏曲(2002)
交響曲第3番〈内なる光〉(2003)
ピアノ協奏曲〈シャーマン〉(2004)
【アンサンブル曲/室内楽曲】
弦楽四重奏のための ヘテロフォニー(1975-87)
マナ I 12人のチェロ奏者のための(1989)
光の蜜(1990)
弦楽四重奏曲 第2番〈光の波〉(1992)
水の詩曲 2台のピアノのための(1996)
水のオーラ クラリネットとピアノのための(1996)
弦楽四重奏曲第3番〈エイヴィアン(鳥)〉(1997)
【独奏曲】
三つの幻影 ピアノのための(1994)
モノローグ 独奏ヴァイオリンのための(1995)
独奏チェロのための〈悲歌〉(1998)
ヴィシュヌの化身 ピアノのための(2001)
【打楽器のための作品】
ケチャ(1979)
ターラ(1982)
マートラ(1985)
瞑想のパドマ(1988)
レゴン(1988)
ティンパニ協奏曲(1988)
カーラ(1989)
太陽の声(1991)
エクタール(1992)
星辰神楽(1992)
月の鏡(1995)
デュオローグ ティンパニとピアノのための(1996)
インプロヴィゼーション 独奏マリンバのための(2001)
ウォーター・ヴォイス マリンバとピアノのための(2001)
【邦楽器のための作品】
タクシーム 独奏二十絃箏のための(1982)
時の虹彩 箏群のためのヘテロフォニー(1987)
時の密 独奏三絃のための(1990)
覡(かむなぎ)[十七絃箏と打楽器](1992)
赤光[尺八と二十絃箏](1992)
蛍 篠笛独奏のための(1996)
琉璃琴 独奏二十絃箏のための(1999)
耿 (こう) 尺八独奏のための(2000)

主なCD・書籍

《西村朗作品集 1「蓮華化生」─ 管弦楽作品集》
《西村朗作品集 1「蓮華化生」─ 管弦楽作品集》
蓮華化生/光の雅歌/2台のピアノと管弦楽のヘテロフォニー/管弦楽のためのモノディ〈単声哀歌〉/フルートと管楽と打楽器のための協奏曲 他
神野 明、佐藤 俊(ピアノ)
オーレル・ニコレ(フルート)
小泉和裕(指揮)、東京交響楽団
大友直人、秋山和慶(指揮)、東京交響楽団 他
カメラータ CMCD-20016〜7(2枚組)
《西村朗作品集 2 「残光」》
《西村朗作品集 2 「残光」》
ヴァイオリン協奏曲 第1番〈残光〉/悲の河 I 〜独奏ヴァイオリンと弦楽のための/霧の鏡〜独奏ヴァイオリンと弦楽のための
サシコ・ガヴリロフ(ヴァイオリン)、アントニー・ヴィット(指揮)、ポーランド国立放送交響楽団
カメラータ 28CM-522
《西村朗作品集 3「迦楼羅」─ 管弦楽作品集》
《西村朗作品集 3「迦楼羅」─ 管弦楽作品集》
オーボエ協奏曲〈迦楼羅〉/流れ〜闇の訪れたあとに(ピアノと室内オーケストラのための)/ 光と影の旋律(オーケストラのための)
トーマス・インデアミューレ(オーボエ)、高橋アキ(ピアノ)
飯森範親(指揮)、 いずみシンフォニエッタ大阪
マティアス・バーメルト(指揮)、NHK交響楽団
カメラータ 28CM-523
《西村朗作品集 5 「エイヴィアン[鳥]」─ アルディッティSQ プレイズ 西村朗》
《西村朗作品集 5 「エイヴィアン[鳥]」─ アルディッティSQ プレイズ 西村朗》
弦楽四重奏のためのヘテロフォニー/弦楽四重奏曲 第2番〈光の波〉/弦楽四重奏曲 第3番〈エイヴィアン[鳥]〉他
アルディッティ弦楽四重奏団
カメラータ 28CM-524
《西村朗作品集 6「ヴィシュヌの化身」─ 高橋アキ プレイズ 西村朗》
《西村朗作品集 6「ヴィシュヌの化身」─ 高橋アキ プレイズ 西村朗》
ヴィシュヌの化身
高橋アキ(ピアノ)
カメラータ CMCD-15024〜5(2枚組)
《西村朗作品集 7「魂の内なる存在」─ 協奏曲集》
《西村朗作品集 7「魂の内なる存在」─ 協奏曲集》
サクソフォン協奏曲〈魂の内なる存在〉/ピアノ協奏曲〈シャーマン〉 他
須川展也(アルト・サクソフォン)、小菅 優(ピアノ)、飯森範親(指揮)、ヴュルテンべルク・フィルハーモニー管弦楽団 他
カメラータ CMCD-28058
《西村朗作品集 8 「メタモルフォーシス」─ 室内交響曲集》
《西村朗作品集 8 「メタモルフォーシス」─ 室内交響曲集》
室内交響曲 第1番/室内交響曲 第2番 「コンチェルタンテ」/室内交響曲 第3番 「メタモルフォーシス〈変容〉」
飯森範親(指揮)、いずみシンフォニエッタ大阪
カメラータ CMCD-28084
《西村朗作品集 9「オパール光のソナタ」─ 碇山典子 プレイズ 西村朗》
《西村朗作品集 9「オパール光のソナタ」─ 碇山典子 プレイズ 西村朗》
トッカータ/薔薇の変容/トリトローペ/オパール光のソナタ/法悦の鐘/星の鏡/アリラン幻想曲/ピアノ・ソナタ
碇山典子(ピアノ)
カメラータ CMCD-28083
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《西村朗作品集 10「秘密〜マニの光」─ 管弦楽作品集》
ヴァイオリン協奏曲 第2番〈秘密〜マニの光〉(2001)/ハープ協奏曲〈風媒〉(2004)/東アジア幻想曲(2000)/管弦楽のためのファンファーレ(2006)
梅津美葉(ヴァイオリン)、井上道義(指揮)、東京交響楽団、篠崎史子(ハープ)、本名徹次(指揮)、いずみシンフォニエッタ大阪 、前田二生(指揮)、飯森範親(指揮)、スロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団
カメラータ CMCD-28126
《ケチャ ─ 色彩打楽 西村朗打楽器作品集》
《ケチャ ─ 色彩打楽 西村朗打楽器作品集》
ケチャ/ターラ/瞑想のパドマ/レゴン/ティンパニ協奏曲
カメラータ 30CM-89
《光の鏡 ─ 西村朗の音楽 II》
《光の鏡 ─ 西村朗の音楽 II》
二重協奏曲〈光の環〉/星曼荼羅/アストラル協奏曲〈光の鏡〉
徳永二男(ヴァイオリン)、木村かをり(ピアノ)外山雄三(指揮)、NHK交響楽団
岩城宏之(指揮)、東京都交響楽団、原田 節(オンド・マルトノ)
フォンテック FOCD3174
《静寂と光 ─ 西村朗の音楽 IV》
《静寂と光 ─ 西村朗の音楽 IV》
水のオーラ/水の詩曲/悲の河/静寂と光/雅楽「古鳥蘇」の旋律による瞑想曲
板倉康明(クラリネット)、御喜美江(アコーディオン)、木村かをり、高橋アキ(ピアノ)、C. エッゲン(指揮)、アンサブル=エリシオン 他
フォンテック FOCD2540
《光の鳥 ─ 西村朗の音楽 V》
《光の鳥 ─ 西村朗の音楽 V》
光の鳥/黄昏の幻影/交響曲第2番〈三つのオード〉
小泉和裕(指揮)、東京都交響楽団
フォンテック FOCD3446
「光の雅歌・・・西村朗+沼野雄司 ─ 西村朗の音楽」
「光の雅歌・・・西村朗+沼野雄司 ─ 西村朗の音楽」
春秋社(2005年5月刊)
ISBN4-393-93473-3

関連リンク

関連情報

  • ■「幻影とマントラ」が尾高賞受賞 2008/2/22

    「コンポージアム2007」で日本初演された「幻影とマントラ」(2007/ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団委嘱)が、第56回尾高賞受賞作品に決定しました。

  • ■サントリー音楽賞受賞

    • 財団法人サントリー音楽財団(理事長・堤 剛)は、わが国の洋楽の発展にもっとも顕著な業績をあげた個人または団体に贈る「サントリー音楽賞」の第36回(2004年度)受賞者を西村朗氏に決定しました。
  • ■新作初演

    • 2005年1月29日[土]、いずみシンフォニエッタ第9回定期演奏会(大阪・いずみホール)において、室内交響曲第3番《メタモルフォーシス》が世界初演されます。飯森範親指揮 いずみシンフォニエッタ。
    • 2004年11月11日[木]紀尾井ホールで開催される「篠崎史子 ハープの個展IX」において、ハープ協奏曲《風媒》が初演されます。
      共演:本名徹次(指揮)/紀尾井シンフォニエッタ東京。
      (篠崎史子の「崎」は、正しくは右上が「立」)

    • 2004年11月5日[金]津田ホールでの室内楽コンサート「四人組とその仲間たち」において、「《涅槃と輪廻》萩原朔太郎の詩による二つの歌曲」が上演されます。「輪廻」は世界初演となります。Sop:藍川由美/Pf:榊原道子

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