展覧会
7.プロデューサーとしてのヴィジョン
1970年の大阪万国博覧会のとき、武満徹は鉄鋼館で「今日の音楽」現代音楽祭を企画した。それから3年後の1973年、渋谷の西武劇場(現・PARCO劇場)オープニング記念として、武満の構成・企画による現代音楽祭「今日の音楽(MUSIC TODAY)」を開催された。ピーター・ゼルキン、キャシー・バーベリアン、フルーレ、ロジャー・レイノルズらを招いたほか、梅若六郎、米川文子、海童道祖、武原はん、野沢喜左衛門らによる日本の古典芸能の会も開かれ、以後「今日の音楽」は1992年まで毎年開催された。
プロデューサー、企画者としての武満徹は、1986年、サントリーホール開設記念の一環「国際作曲委嘱シリーズ」の監修者に就任し、以後毎年作曲家の選定などに携わったことにも反映される。委嘱された作曲家は「歴史的視点、未来への展望、現在」の3つの視点からプログラムを構成することを提案したのも武満だった。最晩年には東京オペラシティ文化財団の音楽、美術両部門の芸術監督に就任するが、ここにはさまざまなジャンルの総合を目指した実験工房の精神の水脈を認めることができるかも知れない。
田中一光
《「Music Today」ポスター》
1973年
田中一光アーカイブ蔵
ギャラリー3 展示風景
Photo: KIOKU Keizo
(c) 2006 Tokyo Opera City Art Gallery