展覧会
4.図形楽譜と絵画
図形楽譜とは、音符ではなく、図形・図案によって記譜された楽譜のことで、一柳慧が日本に初めて紹介し、新しい記譜法としてさまざまな音楽家が実践した。武満徹は1960年代初めに、グラフィックデザイナーの杉浦康平との共作で《ピアニストのためのコロナ》《弦楽のためのコロナII》(ともに1962年)などを発表、《ムナーリ・バイ・ムナーリ》では、イタリア人デザイナーのブルーノ・ムナーリから贈られた《読めない本》に手を加えて楽譜としている。
また、武満徹はしばしば作曲のためのスケッチブックに絵を描いているほか、1960年頃から親しい知人や友人に自ら描いた絵を贈っている。グワッシュや水彩で描かれたそれらの作品は決して大きいものではないが、描くことを心から楽しんでいるような新鮮さが感じられるだろう。
ブルーノ・ムナーリ
《ネガ - ポジ》
制作年不詳 個人蔵
岡崎和郎、武満徹、中西夏之、野中ユリ、
瀧口修造、荒川修作+マドリン・ギンズ、
赤瀬川原平、加納光於、多田美波
《漂流物 標本函》
1974年
国立国際美術館蔵
(c) 2006 Tokyo Opera City Art Gallery