展覧会
2.御代田(みよた)の森のなかで
1965年武満は、長野県北佐久郡御代田町に山荘を求め、そこを作曲活動の拠点とした。そよぐ風による木々のざわめきや小鳥のさえずりは作曲家に新しいインスピレーションをもたらした。1966年、武満はニューヨーク・フィルハーモニックから、同楽団の創立125周年記念のためのオーケストラ曲を依頼されるが、こうして完成したのが琵琶と尺八を独奏とする《ノヴェンバー・ステップス》だった。この曲は、1967年11月、ニューヨーク・フィルハーモニックの定期演奏会で小澤征爾の指揮、横山勝也の尺八独奏、鶴田錦史の琵琶独奏によって世界初演が行われた。
武満没後、御代田の作曲室は生前のままに残されている。仕事机の上には、楽譜や鉛筆、消しゴムなどが整然と並び、正面に実現することなく終わったオペラ《MADRUGADA》のコピー譜が置かれていた。また、ピアノの上には、さまざまな楽譜が無造作に置かれるが、そのなかには自作のほか、ドビュッシー、湯浅譲二、ビートルズなどの楽譜もあった。
ギャラリー1 展示風景
Photo: KIOKU Keizo
御代田山荘の作曲室のピアノ
個人蔵
(c) 2006 Tokyo Opera City Art Gallery