projectN 10 :英 裕 HANABUSA Yu

2002.5.25[土]─ 8.15[木]





英裕(はなぶさ・ゆう/1973年京都生まれ)は現在、数年前に旅行で訪れたタイでの「啓示的」とも言える体験をもとに、裸の少年たちが生える《ワクワクの木》という架空の樹木を繰り返し繰り返し描き続けている。今回のprojectNは、英が2年前にこのテーマを手がけ始めてから制作された作品を中心に構成されており、このシリーズの発表は今回の展示が初めてとなる。
《ワクワクの木 ミクスト go-go-BAR"柑橘の空"》
油彩、キャンバス/162.2 x 292.8cm
2001


《ワクワクの木》とは、英によるとアラビアに残る伝説に由来するもので、中国の東のワクワク島にある裸体の女性が生えるとされる不思議な樹木の話がベースとなっている。「中国の東」という点から日本の古称である「倭国」が連想される一方、彼女の作品では裸の女性は少年に差し替えられ、その姿は彼女がバンコクのゲイバーで出会った美しい少年たちの面影がもとになっているという。
《ワクワクの木 ミクスト go-go-BAR"沈静"》
油彩、キャンバス/162.4 x 162.4cm
2001


英にとって、タイに滞在中「仏教の国」としても知られるその瞑想的な空気に対して感じた自身の自然な感覚が、《ワクワクの木》の制作の基盤となっている。「作品を育てるような感覚。今は自分が作品を守ってあげなければ、といった意識が強いのかも知れません」と言う英は、あたかも草木に水をやるような接し方でそれぞれの少年に愛情を注ぎ込みながら一緒に時間を過ごしているのだという。
《LANTOMH》
油彩、キャンバス/194.0 x 388.0cm
2001


幼少よりなによりも絵を描くことが好きだったという彼女は、抜群の色彩感覚と造形センスを持っている。仏塔などをスケッチしたドローイングでは、全く無駄のない正確な線描とその線の表情の豊かさに目を見はる ものがあり、またラントムというワクワクの木のモデルとなる実在の樹木のドローイングでは、浅い緑色と空色そして黄色といったかなり不思議な色の組み合わせを敢えて選び、それらを独特のトーンの中で見事に調和させている。
《w.m.g. "生まれ出る"》
油彩、キャンバス/53.5 x 45.8cm
2001


「わくわくの木」という日常と非日常が錯綜する不思議なテーマをひたすら追い求める英は、自分が描く少年たちへのやさしくも過激な愛情表現を通して、彼女自身のミラクルワールドを増殖させつづけている。
《タマコノウタ》
油彩、キャンバス/91.5 x 91.5cm
2000
《仏塔》
水彩、油彩、紙/38.4×28.4cm
2001



英 裕 HANABUSA Yu
1973 京都府生まれ
1996 京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒業
ファッション&テキスタイル科,ロイヤル・カレッジ・オブ・アート,ロンドンに交換留学
第10回ホルベイン・スカラシップ奨学生
1998 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了
現在、京都府在住

個展

1996 galerie16,京都
R.C.A. ローワー・ゴルベンキアン・ギャラリー,ロンドン
1998 「英ゆう展―劇的画―」,INAXギャラリー2,東京(リーフレット)
1999 ギャラリーそわか,京都(リーフレット)
2000 SANBIDO Gallery 四季,京都

主なグループ展
1995 「タブラ・ラサ」,京都市四条ギャラリー,京都
1996 「芸術祭典・京」,阪急地下道ショーウィンドウ,京都
「芸大からのメッセージ――京都市立芸術大学美術学部企画展――『感覚』の探索」,京都市四条ギャラリー,京都
「c.a.p. presents, caparty vol.5 "art pollen"」(パフォーマンス),三宮,神戸
1998 《桜まつり「サクラサクラライヴ」》(パフォーマンス:石山唯,西原祐司とのコラボレーション),三条木屋町高瀬川,京都
1999 《桜「盆踊り大会」》(パフォーマンス),河内長野市「アーティストウォーキング」,光滝寺,大阪
「conversion table」,名古屋市市政資料館,名古屋
2000 「INCUBATION 00」,京都芸術センター,京都
2001 「Itazu Litho-Grafik 2001」、カスヤの森現代美術館,神奈川

参考文献
英裕「目をまわしたタコ」(コメント),『アクリラート別冊1998』,ホルベイン工業株式会社,1998年,8月20日,pp.69‐71
入澤ユカ「まだ名前が見つからない」,『INAX ART NEWS』,188号,株式会社INAX,1998年8月
山下里加「英ゆう」(インタヴュー),『Ai』,vol. 7,ギャラリーそわか,1999年10月


インフォメーション
場所:東京オペラシティ アートギャラリー 4Fコリドール
期間:2002.5.25[土]─ 8.15[木]
開館時間:12:00 ― 20:00(金・土は21:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日、
全館休館日(8月4日[日])

入場料:SOLOS「リクリット・ティラバーニャ」展/「レイモンド・ペティボン」展、収蔵品展011「彼方へ─寺田コレクションより」の入場料に含まれます。

主催:(財)東京オペラシティ文化財団

お問い合わせ:東京オペラシティアートギャラリー Tel.03-5353-0756