わたしの家はあなたの家、あなたの家はわたしの家

2001.7.1[日]─ 9.16[日]


わたしの家はあなたの家、あなたの家はわたしの家


あなたにとって、「家」って何ですか?
携帯電話やインターネットが急速に発達・普及し、海外にも気軽に出かけられる現代。 このグローバルなコミュニケーションと移動が当たり前の時代においては、ライフスタイルや 価値観なども大きく変化しつづけています。そして、人間の生活基盤である「家」というものもまた、 この変化の波とは無関係ではありません。「帰る場所」、「寝る場所」といった物理的な「家」から、 「自己を解放できるプライベートな空間」、「家族のいる場所」といった、自己のアイデンティティと 一体化した概念としての「家」まで、その意味も多方向に広がりを見せています。
展覧会のテーマは、ずばり、この「家」。アジアとヨーロッパから集まったアーティスト、デザイナー、建築家、 そしてキュレーターたちが、新たな「家」の概念を検証する試みです。現代のライフスタイルや「家」についての考察と芸術とをどのように関連づけられるか、展覧会というかたちを通して、その試みのための舞台を用意しています。
それぞれのアーティストが、それぞれ異なる表現方法で、東京オペラシティアートギャラリーの空間に創りだす インスタレーションは、みなさんの参加も積極的に歓迎しようとしています。実際に家の中に入れたり、居間でテレビを見るようにくつろげたり、アーティストの家にご招待されたりと、 作品が大きく手を広げて「わたしの家」に「あなた」を迎え入れようとしています。アートギャラリーが、「あなたの家」にいるように心地よいものとなり、夏の一日を縁側で過ごすような気軽な気持ちで展覧会をお楽しみいただけることと思います。

◎企画は、パリを拠点に世界中を駆け回る2人のキュレーター、ホウ・ハンルゥとジェローム・サンス。 2月28日には、東京オペラシティで公開ダイアログも開催されました。

◎2000年11月に韓国・ソウル(ロダン・ギャラリー)で開催された本展は、アーティストが新たな作品を 東京で提案する「東京バージョン」。巡回する会場ごとにその場所の歴史的・文化的背景、ギャラリーの建築空間などを考えに入れた新たな作品が提案されるという、いわば、変化し、増幅する国際巡回展です。

参加アーティスト
アトリエ・ワン(日本)、B.a.d&ネイバーズ(オランダ)、キム・ソラ/ギムホンソック(韓国)、イェンス・ハーニング(デンマーク)、スラシ・クソンウォン(タイ)、ザビエ・ムラン/小浜泉(フランス/日本)、小沢剛(日本)、ペリフェリック(フランス)、スゥ・ドーホー(韓国)、ワン・ジャンウェイ(中国)、山出淳也(日本)



◎アトリエ・ワン Atelier Bow-wow
塚本由晴と貝島桃代による注目の若手建築家ユニット、アトリエ・ワン。東京ならではのちょっとおかしな建物ガイド《メイド・イン・トーキョー》、東京の首都高をおもしろく見られるスポットを集めた《首都高ガイドブック》、東京という都市が生み出した小さくて可愛い建物のカタログ《ペット・アーキテクチャー・ガイドブック》、既に完成してしまったかのような都市東京に"リサイクル"という概念を導入したアイデア集《トーキョー・リサイクル・ガイドブック》、これらがポストカードになって、街中の路上や電話ボックスにゲリラ的に貼り重ねられる広告のように、ギャラリーへの入口部分や展示室をつなぐ部分4箇所を占拠しています。また、カラービニール・カーテンで囲われることで、通常は通過するだけの小さな空間が、ひとつの部屋としての存在を確立しているようでもあります。


《トーキョー・リサイクル・ガイドブック 》
1999-2001
photo : Masataka Nakano



アトリエ・ワンが設計した小さな家の1/100模型を、オペラ・グラスを通して見てみてください。小さな模型がファインダーいっぱいに見えることで、スケール感があいまいになり、あたかも都市の一風景を覗き見ているような感覚を覚えます。ただし、模型がターンテーブルの上で回転しているために、通常は通りに面した一方向からしか見られることのない住宅を、360度の角度から観察することができます。


《もっと小さな家/踊る建築 》
2001
photo : Masataka Nakano



「メイド・イン・トーキョー」ホームページ
http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/madeintokyo/mit.html




◎B.a.d&ネイバーズ Foundation B.a.d& their neighbours
B.a.dは、ロッテルダムにある彼らのスタジオを開放し、ゲストアーティストを招聘したり、地元住民を巻き込んだ形での催しを行なっています。《オアシズム:ハウステンボスへの提案》は、長崎のハウステンボスへ、"SWAFB003"という建築コンプレックスを付加しようとするもの。住民の個人住宅、シェルター・リビング、スタジオで構成されるこの建物は、住民とB.a.dのコラボレーションによる社会的な交流の場としてのセミ・パブリックな中庭を中心に建てられます。(なお、このプロジェクトはハウステンボスに対する実際の提案ではありません。)



《オアシズム:ハウステンボスのための提案》
2001
photo : Masataka Nakano(上)
Keiju Takenaka(下)



◎キム・ソラ/ギムホンソック Kim Sora / Gimhongsok
韓国のアーティスト、キム・ソラとギムホンソックは、電化製品のドーム(Electric.igloo)をエスキモーのイグルー(氷のドーム(igloo))に見立てています。そこには、極寒の地にあるはずのイグルーが日本の夏の気候に、また、普段は家の内部で使われている電化製品がイグルーの外側に付けられるなど、さまざまな対比を見ることができるでしょう。ただし、いずれもテンポラリーな家としての身軽さを持ち、現代の都市生活とエスキモーの興味深いつながりを感じることもできます。


《イー・グルー》
2001
photo : Masataka Nakano

イー・グルーの内部
photo : Keiju Takenaka



◎ イェンス・ハーニング Jens Haaning
デンマークのアーティスト、イェンス・ハーニングは、社会におけるリアリティと芸術性の関係を明確にしようと試みます。この展覧会の入場料金表には「外国人:無料」と表示されています。外国人の入場料を無料にするというこのプロジェクトは、グローバルな移動や移住、移民問題などをテーマにするハ-ニングらしい作品です。"外国人"という他者の存在にあらためて焦点をあてることで、意識的あるいは無意識に私たちがもつ自己と他者の境界に対する感覚が呼び起こされます。


《外国人無料》
2001
photo : Masataka Nakano


移民問題など社会問題を取り上げるハーニングによる、デンマークで働く12点の外国人労働者のポートレート・シリーズ。それぞれの写真には、彼らのアイデンティティを構成するものとして着ているものとその価格に関する詳細が書かれています。


《ハカン》《オランビアブ》
《エチュビット》《フィザル》(12点のうちの4点)
2001
photo : Masataka Nakano



◎ スラシ・クソンウォン Surasi Kusolwong
タイ出身のスラシ・クソンウォンの作品《ラッキー・トーキョウ》は、金賞「スラシと行く東京-バンコクの旅」ほか、豪華賞品があたる懸賞プロジェクト。「ラッキー・チケット」に必要事項をご記入いただき、ステージ中央の抽選箱にお入れ下さい。スラシ・クソンウォンのプロジェクトは、彼の住むバンコクのマーケットのように、展覧会に興奮と喜びをもたらします。そして、作品の一部は、賞品として当選者の自宅へ持ち帰られ、都市に浸透していきます。「くじ引き」という極めて日常的な要素に、シンプルな形と鮮やかな色彩が同居するスタレーションは、ミニマル・アートを思わせもします。



《ラッキー・トーキョー 2001》
2001
photo : Masataka Nakano(上)
Keiju Takenaka(下)



◎ザビエ・ムラン+小浜泉 Xavier Moulin / Kohama Izumi
フランス人と日本人によるデザイナー・ユニット、ザビエ・ムランと小浜泉は、実際に着ることができるだけでなく、それが家具にもなるような複数の機能を持ちあわせるコスチューム《ホームウェア》を製作します。バッグになったり、敷物になったり、クッションになったり……。複数の機能を持ち合わせるモバイル(持ち運び可能)なホームウェアを着たマネキンたちが、他のアーティストの作品を鑑賞しながらギャラリー内に点在しています。どこにいても居心地の良さを創出できるixi(イクシー:ザビエ・ムランと小浜泉によるデザイン・ユニット)のホームウェア。スタート地点から順にたどってみてください。



《ホームウェア》
2001
photo : Masataka Nakano(上)
Keiju Takenaka(下)



→ixiのホームページ http://www.ixilab.com/




◎ 小沢剛 Ozawa Tsuyoshi
《なすび画廊》、《地蔵建立》、《相談芸術大学》、《醤油画資料館》など、数々の斬新なプロジェクトを精力的に展開しているアーティスト、小沢剛。第三者の意見によって作品が変化する「相談芸術」シリーズの最新作は、首都圏の住宅事情と日本の労働環境による産物、カプセルホテルです。一夜を過ごすための最低限の設備が整えられたテンポラリーなプライベート空間を、どのように快適なものに変化させていくのか。オリジナル・パジャマと世界各地のホテルや飛行機内の宿泊セットの展示、サンクンガーデンを見下ろすラウンジと3台のカプセルユニットから始まる《相談芸術ホテル》が、どのように変化していくのか。そのプロセスをお楽しみください。



《相談芸術ホテル》
2001
photo : Masataka Nakano



◎ ペリフェリック Peripheriques
パリを拠点に国際的に活躍している4名の建築家からなる建築デザイン・ユニット、ペリフェリック。アートギャラリーのエントランスロビーを彩る《ネオン・ネスト》は、東京あるいはアジアの都市を象徴する夜のネオン。約100本の蛍光灯でできた明るい囲いは、エントランスロビーを光の空間へと変化させ、サンクンガーデンへ面するガラス窓から空間を屋外へとつなげています。


《ネオン・ネスト》
2001
photo : Masataka Nakano


アートギャラリーの壁面上部を覆い尽くすポスターは、見る人にあたかも、夜のオフィスビル群の間で、窓の中を覗いているような錯覚を与えます。6メートルの天井高のボリュームは、このポスターによって強調され、展覧会全体にひとつの流れを創出しています。


《ポスター・ウィンドウ》
2001
photo : Masataka Nakano



◎スゥ・ドーホー Suh Do-Ho
ソウル生まれ、ニューヨーク在住のスゥ・ドーホーは、彼自身の住まいを柔らかい半透明な布素材を使って同じサイズで再現することで、移動する生活者のための家の観念を検証します。半透明なナイロンで作られたブルー・グレーの家は、スゥ・ドーホーがニューヨークで実際に住んでいるアパートの実物大です。ピンク色の部分はアパートに繋がるコリドール(廊下)。ドアノブや蛇口、ライトのスイッチなど細部まで丁寧に空間が再現されていることで、実際にスゥ・ドーホーのアパートを訪れる感覚を想像できますが、その半透明な素材のために、空間全体は幻想的で、その美しさに素直に心を動かされます。また、折り畳んで箱に収まるこの「家」は、世界中どこにでも移動できるモバイル・ホームでもあります。



《ニューヨーク市西22丁目348、アパートA/ ロダンギャラリー、ソウル/ 東京オペラシティアートギャラリー、東京》
2001
photo : Masataka Nakano



◎ ワン・ジャンウエイ Wang Jianwei
北京在住のアーティスト、ワン・ジャンウェイは、中国の一般的な家族の様子を、海賊版のビデオを通して欧米の文化に触れるリビングルームの風景によって再現しています。テーブルのうえや壁面にある海賊版VCD(ビデオCD)を選んでご自由にご覧ください。または、自分の所有するVCDのコレクションをお持ちになり、ここにあるVCDと交換していただくことも可能です。



《ホームシネマ》
2001
photo : Masataka Nakano(上)
Keiju Takenaka(下)



◎山出淳也 Yamaide Jun'ya
ギャラリーの天井から吊られたカーテンは、このプロジェクト用に一般の方から募集したもので、それぞれの持ち主の名前札が下がっています。個人の家では、プライベートとパブリックの境界として日々開閉されていたカーテンが、美術館というパブリックなスペースでは、空間を視覚的に遮断しつつ、他の作品と関係づけられながら全体的なハーモニーを創出します。不特定多数の場所から集められたカーテンは、空間に一時的な変化をもたらした後、持ち主へ返却されます。



《プロジェクト No.23 : curtain》
2001
photo : Masataka Nakano


関連イベント
◎キュレーターズ・トーク(ホウ・ハンルゥ+ジェローム・サンス)
日時:7月1日[日]14:00 ─
場所:展覧会会場内

◎ギャラリー・トーク(学芸員による展示解説)
7月22日[日]/8月12日[日]/8月26日[日]/9月9日[日]
各日とも14:00 ─ 展覧会会場内にて

インフォメーション
期間:2001.7.1[日]─ 9.16[日]
開館時間:12:00 ─ 20:00(金・土は21:00まで、最終入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、8月5日[日](全館休館日)
入場料:一般\900(\700)、大高生\700(\550)、中小生\500(\400)
※収蔵品展008「難波田龍起と難波田史男 1960 ─ 1974」project N 07「北浦信一郎」の入場料を含みます。
※( )内は15名以上の団体料金、その他割引制度あり
※週末は中小生無料。
※割引の併用はできません。
※9.9[日]アートギャラリー開館2周年記念 入場料50%OFF!

主催:(財)東京オペラシティ文化財団
協賛:日本生命/NTT都市開発/小田急電鉄/有限会社ソフ
協力:エイボン・プロダクツ(株)/エールフランス航空/(株)イデー/(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ/(株)川島織物/(株)コトブキ/(株)竹尾/(株)日本弦楽器/(株)バンタイ/(株)美術出版社/大栄建材(株)/チェコッティ・コレツィオーニ/日本サムスン(株)/富士ゼロックス(株)/(株)良品計画
助成:AFAA/モンドリアン・ファウンデーション/オランダ大使館/ダニッシュ・コンテンポラリー・コート・ファウンデーション
後援:フランス大使館

お問い合わせ:東京オペラシティアートギャラリー Tel.03-5353-0756