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『Archaeology of the Future ─ 未来の記憶』

まだ誰も見たことのない、経験したこともない、想像すらしたことのない、そんな建築をつくりたいと思っています。でもそれは奇抜な未来型の建築とは違う、場所の記憶からはじまる建築、そんな途方もないことを考えています。
私はいつも考古学者のように遠い時間を遡り、場所の記憶を掘り起こすことからはじめます。そこでは今日の世界から忘れ去られ、失われ、消えてしまったものに遭遇し、それらを発見する驚きと喜びがあります。その時、記憶は過去のものではなく、未来を生み出す原動力へと変貌するのです。
場所には必ず記憶があります。建築はその記憶を継承し、未来をつくることができるのです。未来は必ず訪れます。建築はこの時代を動かし、未来のその先の記憶となります。まだ誰も見たことのない未来の記憶をつくること、建築にはそれが可能だと信じています。

田根 剛

イサム・ノグチ イメージ photo: Yoshiaki Tsutsui

田根 剛(たね つよし)

建築家。1979年東京生まれ。
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsの代表としてフランス・パリを拠点に活動。
現在ヨーロッパと日本を中心に世界各地で多数のプロジェクトが進行している。
主な作品に〈エストニア国立博物館(2006-16)、
〈A House for Oiso(2014-15)、
〈LIGHT is TIME(2014(以上DGT.)、
〈(仮称)弘前市芸術文化施設(2017- )など。
フランス文化庁新進建築家賞(2007)、フランス国外建築賞グランプリ(2016)、
第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞(2017)など受賞多数。
2012年よりコロンビア大学GSAPPで教鞭をとる。