出会い
2001.1.12[金]─ 3.18[日]


出会い_flyer


21世紀の始まりは"出会い"から─広がるアート、深まるアート
人生にはざまざまな出会いがあります。数々の出会いのなかには、幸福につながる出会いもあれば、悲劇になる出会いもあるでしょうが、それらは、それぞれの人生に大きな意味を持ち得るものです。いずれにしても、人はその人生を一人で旅することはできず、多様な出会いの軌跡を描きながらその人生を歩んでいくのです。

新しい世紀を迎えようとしているいま、"現代美術"の概念はアーティストの不断の試みによって多方向に拡張しています。近年では、展覧会や美術館という枠組みから飛び出し、広く社会全般でのさまざまな人との「出会い」や、美術とは繋がりの希薄だった分野との「出会い」、そのプロセスや展開そのものに芸術的価値を見出す試みも増えています。また、表現の手法としては絵画、写真あるいは立体作品といった伝統的なものを使いながら、その題材や素材の選択において、日用品や日常生活といったプライベートな環境のなかにある事物や現象との「出合い」から生まれる作品も目立ちます。さらに、複数のアーティストによるユニットで活動を続けるグループや、普段は個々のアーティストとして活動する傍ら、プロジェクト・ベースで他のアーティストとコラボレーションをするケースにも、他者とのコミュニケーション、複数のアイデアの「出会い」をとおしたアートの可能性の模索がみられます。そこには常に、周囲の環境に対して開かれた視点や眼差しがあり、未知の世界や新たな出会いに対し勇気をもって踏み出される一歩があります。

すでにそこにあるのに見えていないもの、押せば開かれるのに閉じたままの扉。そのようなものに気づく眼差しや一歩を踏み出す勇気を与え、人々の心を躍らせてくれる何かに出会いたい。21世紀最初の展覧会となる「出会い」展は、このような単純な思いに端を発し、そのタイトルどおり、見知らぬ人との出会い、事物や現象との出合いをテーマに、現代を生きるアーティストが身の回りの環境にどのような眼差しを向け、そこでのどのような出会いに心を動かされ、作品として再生させているのかを探ります。参加作家は、アン・ダームス、プラメン・デジャノフ&スウエトラナ・ヒガー、ヤン・ファーブル+イリア・カバコフ、島袋道浩+野村誠、渡辺英司、ジュン・ヤンの6組です。さらに、ギャラリー内での「刀根康尚パフォーマンス」、「赤瀬川原平:講演会」、参加作家によるアーティスト・トークなど多様なイヴェントを併せて開催することで、展覧会を従来の「作品」と「鑑賞者」という関係に納まらないポジティブなコミュニケーションの場、「出会いの場」としていきます。

アーティストの開かれた眼差しや姿勢をとおし、またそれを共有することで、21世紀を生きようとする私たちの人生を豊かにしてくれる素敵な出会いが生まれることを願います。



◎アン・ダームス Anne Daems
写真、ドローイング、ヴィデオなどによるダームスの作品は、日常生活の平凡な風景や人物との出会いがもとになっている。イメージが切り取られ、独特の物語が生み出された作品には、彼女の自然体で素朴な観察眼とユーモラスで繊細な感受性が見られる。
 本展では、スーパーマーケットで別の棚に置き去りにされた商品を写真にしたシリーズ18点、ドローイング、ヴィデオ作品に加え、仕事帰りに駅のカウンターバーで独りビールを飲む人々を撮った新作を発表予定。


《無題》
《無題》
47×71cm
1999
Courtesy: Anne Daems + Galerie Micheline Szwajcer, Antwerp



◎プラメン・デジャノフ&スウェトラナ・ヒガー Plamen Dejanov and Swetlana Heger
1995年にコラボレーションを始めたデジャノフとヒガーは、グループ展のために与えられたスペースを第三者に又貸ししてしまう《FOR RENT》、展覧会の会期中アーティスト以外の仕事に就いて得た収入や展覧会の制作費で他のアーティストやデザイナーの作品を購入し、コレクションしたものを展示する《たくさんの欲望のオブジェクト》シリーズなど、展覧会ある「は美術作品とそれをささえる組織構造や市場経済システムとの関係を根底からくつがえすようなプロジェクトで一躍有名になる。1999年に始めた《わりと普通の贅沢》では、自動車メーカーのBMWとのプロジェクトによって、美術界における賛否両論の渦中の存在となっている。「出会い」展では、これまでに収集した数々の"コレクション"の一部を公開。


《太平洋について語る(わりと普通の贅沢)》
プラメン・デジャノフ&スウェトラナ・ヒガー
東京オペラシティアートギャラリーでの展示風景
photo by NAKANO Masataka


《太平洋について語る(わりと普通の贅沢)》
《わりと普通の贅沢(ウィークエンド)》
ミクスト・メディア
1999─2001
photo by NAKANO Masataka



◎渡辺英司 Watanabe Eiji
真っ白い段階のサイコロ40,000個を床にランダムに並べ、偶然出た1の目だけを赤く塗った《事の記憶》や英国の植物・キノコ図鑑から図版をすべて切り取り、数千個の切り取られた形を針金で床面に自立させた《名称の庭》、工業用セラミックフィルターからシンプルな顔型を削り出し、ある一方向から見た時にだけ向こう側を見とおすことのできる《顔の起源》など、出会った素材とコンセプトが見事に融合した、極めて詩的でユーモラスな作品を渡辺は制作している。
 「出会い」展には、上記《名称の庭》と《顔の起源》に加え、子供用のおもちゃのゴムボールに裂け目を入れながら、三次元の球体を限りなく二次元に変換させる試みをした新作《ヌーディスト》など数々のオブジェが登場。


《名称の庭》
渡辺英司
東京オペラシティアートギャラリーでの展示風景
Photo by NAKANO Masataka


《名称の庭》
《名称の庭》
植物・きのこ図鑑、針金、セロテープ
1992─2001
Photo by NAKANO Masataka



◎ヤン・ファーブル+イリヤ・カバコフ Jan Fabre + Ilya Kabakov
ヤン・ファーブルとイリヤ・カバコフは、1997年に東京オペラシティで開催されたシンポジウム「偶然を指揮する者」の際に制作されたヴィデオ、《出会い(A Meeting)》を出品。ファーブルがコガネムシに、カバコフがハエに扮し、ニューヨークのビルの地下で繰り広げる魅惑的な会話を撮り下ろしたもので、両アーティストが自分自身、あるいは異なる文化的・言語的背景の象徴とするコガネムシとハエの視点から、美術界を含む社会構造をファンタジックにみせる会話を繰り広げている。その後、ビルの屋上での会話部分と同フィルムに関連したドローイング、撮影に使用したコスチュームを加えた形で欧州9箇所を巡回。国際的に活躍する大物アーティスト2人の出会いから生まれた見逃せない作品である。


《出会い(A Meeting)》
《出会い(A Meeting)》
フィルム・スティル
1997


《出会い(A Meeting)》
《ハエとコガネムシのための衣装》
金属、紙、皮革、木、豚の膀胱、骨、毛皮
1997
photo bu NAKANO Masataka



◎島袋道浩+野村誠 SHIMABUKU + Nomura Makoto
出身地である明石のタコを日本海に連れていく《タコ街道プロジェクト》に始まる島袋道浩の作品は、鹿児島から北海道までヒッチハイクでシマフクロウに会いに行く《シマブクロ・シマフクロウ》、茨城県での《鹿をさがして》、シドニーで始まった《165mの人魚と旅をしている》など、いずれも島袋が想定する目的を実現させるに至るプロセスそのもの、人や動物、それにまつわる物語などとの"出会い"を見せるものである。一方、現代音楽の作曲家である野村誠は、大学在学中にバンド「pou-fou」を結成し、1993年に島袋道浩と「路上バンド」を結成。近年は高齢者施設でのコラボレーションを通した作曲の可能性を模索している。1993年に初めて出会った島袋と野村は、以来、1995年の「Music Power to Kobe」(ヨーク、イギリス)共同プロデュースなど、各々独自の活動を進める傍らときおりさまざまなアイデアを共有してきた。
本展では、3年半ぶりに[タコとタヌキ─島袋野村芸術研究基金]と題する新規プロジェクトで共演する。



◎タコとタヌキ─島袋野村芸術研究基金 イベント情報

場所:出会い展会場内 「タコとタヌキ」スペース
料金:無料(ただし展覧会入場料が必要です。)


●イベント 01
「岡山直之の仕事」

このプロジェクトとしての最初のイベント「岡山直之の仕事」を開催します。
九州で木こりや造園業をしながら美術さっかをしているという岡山さん。自分が働いている山そのものを使ったプロジェクトなど、これまでの活動を紹介するほか、島袋+野村とのコラボレーションも飛び出すかもしれません。
乞うご期待!


日時:2001. 1.26[金]18:00 ─
1.27[土]14:00 ─

協力:アサヒビール株式会社



●イベント 08
「タコとタヌキ」スペース内「うなぎ」にて、「高木哲:あり得ないこと」開催中。


●イベント 09
「タコとタヌキ 中間報告会:たった今起こっていること」

1) このプロジェクト「タコとタヌキ」のこれまでの活動報告(「どんな人が来たか」「これまで起こったこと」などについて)を行います。
2) 高木哲と語る「高木哲の作品について」。
3) 島袋道浩が、3月から始まる北九州市美術館でのプロジェクトについて説明します。

日時:2001.2.25[日]14:00 ─


●イベント 10
「しょうぎ作曲体験会」

日時:2001.3.14[水]16:00─


●イベント 11
「タコとタヌキ 最終報告会」

日時:2001. 3.17[土]18:00 ─
3.18[日]14:00 ─


●イベント 12
鍵盤ハーモニカオーケストラ「Pーブロッ」公開リハーサル

日時:2001.3.18[日]16:00ごろから

※一度「出会い展」に入場された方は、受付でチケットを身分証をお見せください。何度でも入場いただけます。

初めての方も、リピーターの方も、お気軽に参加してみてください。




「タコとタヌキ─島袋野村芸術研究基金」
2001年1月─3月
東京オペラシティアートギャラリーでの展示風景
Photo by NAKANO Masataka



◎ジュン・ヤン Jun Yang
中国で生まれ欧州に育ったジュン・ヤンは、エキゾティシズムを超えた領域でその背景を活かし、日常生活のなかで誰もが容易にできそうな行為をユーモラスに実行している。街角にある証明写真ブースで三分間にサラリーマン姿からスーパーマンに変身する《SMatUM》を始め、飛行機内での見知らぬ人との会話や初めての人に出会った時の挨拶の仕方をピクトグラム化した《from.…》、会期中毎日、前日の新聞からニュース写真を一枚選び、ハサミとテープと新聞紙だけで同じ光景をステージ上で再現する《僕が見たとおり》、そのステージの写真を更に地元の新聞に連日掲載する《僕の舞台で》などがある。「出会い」展では、これまでの作品を東京バージョンとしてに新たに展開予定。


《from.../セイフティカード》
《from... J./どうやってやるの?》
2001
courtesy: artist + Raum Aktueller Kunst Martin Janda
photo by NAKANO Masataka



関連イベント
◎ その1=プレ・イヴェント『島袋道浩と野村誠:今考えていること』
日時:2000年12月10日[日]14:00 ─
場所:東京オペラシティ7F会議室


◎ その2=『刀根康尚 パフォーマンス』
日時:2001年1月21日[日]14:00 ─
場所:出会い展会場内
曲目:《Molecular Music》1982
   《Wounded Man'yo 2000》2000
料金:無料(ただし、企画展入場料が必要です)

1935年生まれの刀根康尚(とね・やすなお)は、1960年に即興演奏集団〈グループ・音楽〉の結成に参画。作品がフルクサスによって欧米に紹介され、また1960年代の前衛美術の動向とも関わりながら、現代音楽や美術批評の分野で幅広く活躍してきました。1972年に渡米し、1986年にはCDプレーヤーを用いたパフォーマンスを開始。表面にセロテープを貼ったCDの演奏など、現代のデジタル文明と前衛的・実験的精神を融合させた活動を精力的に展開し続けています。
 今回は、芦屋市立美術博物館での『刀根康尚パフォーマンス&トーク』(2001年1月14日)および愛知芸術文化センターにおける『現代音楽家シリーズ6 刀根康尚講演会』(2001年1月18日)、『特集公演:音楽の実験 -アメリカと日本』(2001年1月19日)もあわせ、国内では初の本格的な演奏会となります。


◎ その3=『赤瀬川原平 講演会:なぜ偶然なのか?』
日時:2001年2月12日[月]14:00 ─
場所:出会い展会場内
料金:無料(ただし、企画展入場料が必要です)

美術家として、また作家として1960年代から幅広い活躍を続けている赤瀬川原平の作品には、日々身の回りで起こるさまざまな偶然を書き留めた『偶然日記』があります。「路上観察」や「ライカ同盟」などに見られる赤瀬川の写真には、普通にわれわれの周囲に存在しているさまざまな事象への新鮮な眼差しがあり、赤瀬川の目をとおして見る者は新たな視点を与えられます。これらの出会いの多くは偶然のものでありますが、偶然を偶然として感知し、意識するその視点こそが出会いの鍵を握っているのではないでしょうか。

赤瀬川氏の偶然に関する考察、お聞きのがしなく。


◎その4=『アーティスト・トーク』
参加アーティストが自作について語ります。

その1
日時:2001年1月13日[土]14:00 ─
・アン・ダームス
・渡辺英司
・島袋道浩

その2:
日時:2001年1月14日[日]14:00 ─
・プラメン・デジャノフ&スエトラナ・ヒガー
・野村誠
・ジュン・ヤン


※関連イヴェントはすべて終了いたしました。


関連情報
◎その1=「アン・ダームス展」都内3箇所で同時開催
会期中、下記のギャラリーでもアン・ダームス展が開催されます。

1. ギャラリーサイド2:1.12[金]─ 2.10[土]
*渋谷区千駄ヶ谷1-29-4 Tel.03-5771-5263

2. タカイシイギャラリー:1.13[土]─ 2.10[土]
*豊島区北大塚3-27-6 Tel.03-3915-7784

3. Point de Suspension:1.12[金]─ 2.10[土]
*渋谷区鴬谷町8-4 Tel.03-3770-1737


◎その2=「プラメン・デジャノフ&スウエトラナ・ヒガー展」 
会期中、下記のギャラリーでもプラメン・デジャノフ&スウエトラナ・ヒガー展が開
催されます。

小山登美夫ギャラリー:2001.1.9[火]─ 2.3[土]
*江東区佐賀1-8-13 Tel.03-3630-2205

◎その3=
「刀根康尚パフォーマンス&トーク」
芦屋市立美術博物館 Tel.0797-38-5432
2001.1.14[日]
*13:30 ─ パフォーマンス(刀根康尚、小杉武久、ヤマタカEYヨ )
*15:30 ─ トーク:刀根康尚、小杉武久
聞き手:藤本由紀夫、山本淳夫

「現代音楽家シリーズ6 刀根康尚講演会」 
2001.1.18[木]19:00 ─

「特集公演:音楽の実験─アメリカと日本」  
2001.1.19[金]19:00 ─
出演:和泉希洋志、小杉武久、高橋悠治、刀根康尚、ヤマタカEYヨ
愛知芸術文化センター Tel.052-971-5511


インフォメーション
期間:2001.1.12[金]─ 3.18[日]
開館時間:12:00 ― 20:00(金・土は21:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、全館休館日(2月11日)

入場料:一般 \900(\700)、大学・高校生 \700(\550)、中学・小学生 \500(\400)
( )内は15名以上の団体料金、その他割引制度あり
※チケットはパスポート制になっており、会期中何度でもご入場いただけます。
 再入場の際、受付でチケットと身分証明書をご提示ください。
収蔵品展006「人のかたち:寺田コレクションより」、project N 05「蛯名優子展」の入場料を含みます。

主催:(財)東京オペラシティ文化財団
協賛:日本生命/NTT都市開発/小田急電鉄/第一生命
協力:山大鉄商/相互物産/アサヒビール株式会社/AUSTRIAN AIRLINES
後援:ベルギー王国大使館・フランダース政府代表部


お問い合わせ:東京オペラシティアートギャラリー Tel. 03-5353-0756