◎東京オペラシティアートギャラリー企画展No.4
Prime
プライム:記憶された色と形

2000.5.27[土]― 7.20[木・祝]

堂本右美 松井紫朗  間島秀徳 近藤正勝 前田哲明  押江千衣子

 
prime_flyer
 
 
Primeってなに?
プライム(Prime)とは、「物事の根元」や、そのものが「最も輝きを放っている状態」を示す言葉。美術とは本来、目で見える「もの」を通 じてアーティスティックな表現をするものですが、そうした「もの」を視覚的に構成する「色」や「形」といった誰もが記憶の中にもつ普遍的な要素は、美術がコミュニケーションとして成り立つ上でも大きな役割を果 たしています。
 
 
シンプルでプライムな表現もやっぱり見てみたい。
時代とともに現代美術が対象とする表現の領域はますます広がってきている一方で、作品のテーマや内容についてはどんどん複雑・難解になっていく傾向にあります。また、色や形といった美術のプライムな要素が、個々の作品においてあまり省みられなくなってきているという傾向も見受けられます。

ところが最近、そうした複雑なコンセプトや奇抜な発想による現代美術から離れて、美術というものが本来持つプライムな状態にもう一度立ち返り、私たちが記憶の中に共有する色や形といった普遍的な要素をもとに、自然な感覚にしたがって現代美術のおもしろさに触れてみたいとする欲求が、美術における新しい潮流として意識され始めているようです。
 
 
Primeな6人のアーティストたち
この展覧会では、「絵画」や「彫刻」といった長年美術の流れの中で培わられてきた媒体を用いながら、新たな表現の可能性に取り組んできた6人の日本人アーティストたちの作品をご紹介します。彼らは、それぞれ全く異なる表現方法を用いながらも、常に「色」や「形」、「サイズ」や「プロポーション」といった造形的な問題に関心を向けつつ、同時代的な感性を作品の中に見事に映し出す作品を作り続けてきた作家たちです。
 
 
アーティスト紹介
◎堂本右美(1960年生)DOMOTO Yuumi
絵画:油彩5点(ギャラリー1)
パリに生まれる。多摩美術大学を経て、ニューヨークのクーパーユニオン・ファインアート卒業。画面 全体が大きなストロークで覆われたダイナミックな抽象絵画を描く。ヴィヴィッドでありながらも繊細な表情をもつ色彩 は、画面上にてストーリー性さえ感じさせるほどのドラマティックな展開を見せる。そのパワフルな表現と創造性において、堂本は現在最も注目を集める抽象画家の一人と言える。今回の展覧会には、東京オペラシティアートギャラリー収蔵「寺田コレクション」からの2点を含め、大画面 による作品5点を展示。

主な展覧会に佐賀町エキジビットスペースで90年に行われた個展をはじめ、「水戸アニュアル95絵画考─器と物差し」[Group展](水戸芸術館現代美術ギャラリー、1995)、「ART TODAY1998 ミメーシスわたしの〈かたち〉」[Group展](セゾン現代美術館、1998)などがある。

 
 
背中

《背中》
油彩、キャンバス
229.0×178.0cm
1998
photo by SAITO Arata

 
 

◎松井紫朗(1960年生) MATSUI Shiro
立体:インスタレーション(ギャラリー1) 奈良県生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。現在、同大学講師。1983年から日本およびドイツにて個展、グループ展多数。素朴で純粋な形態を持つ彼の作品は、常にどこかユーモラスな空気が漂い、見る者の緊張を解きほぐす。彼は常に内部と外部の関係や、表と裏といった、空間に関わる要素に関心を抱き、作品は空間の変容によって見る者をその中に取り込む痛烈な批評性を併せ持つ。90年代に入り、赤や黄、あるいは青といった原色で生成されたシリコンラバーによるフレキシブルな形態のインスタレーション的作品を手がけるようになる。今回の展覧会には、このシリコンラバーによる6メートルの高さの天井からつり下げられて床まで届く巨大なカーテンのような作品を展示。そのほか、ギャラリーの空間を意識したインスタレーション作品を見せる予定。

主な個展に大阪府立現代美術センター(1990)、ザールブリュッケン市立美術館(ザールブリュッケン、ドイツ、1994)、インターヴァル(ヴィッテン、ドイツ、2000)など。グループ展では「今日の造形」(岐阜県美術館、1987)、「80年代の日本美術展」(ウィーン近代美術館ほか、1990)、「'93次代を担う作家展」(京都府立文化芸術会館、1993)、「アート/生態系」(宇都宮美術館、1998)、「インサイド/アウトサイド-日本現代彫刻の8人-」(新潟県立近代美術館、1998)他多数。
 
 
Round Rectangle

《Round Rectangle》
キャンバス、シリコンラバー
330.0×約320×600.0cm
1998
photo by NARITA Hiromu

 
 

◎間島秀徳(1960年生) MAJIMA Hidenori
絵画:日本画(ギャラリー1) 茨城県に生まれる。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。日本画を専攻した間島は、日本画特有の顔料を用いるきわめて物質的な方法を通 して、作品の中に具象と抽象の関係、空間とイリュージョンの関係、所作と偶然の関係といった相反する要素を持ち込み、そのいずれにも酌みしないことでそうした絵画固有の問題を無効にしてしまっている。彼の作品は、水に浸された画面 に大理石の粉末を垂らし、筆を一切使わざす水の作用だけによって、具象、抽象いずれとも言える画面 をつくりあげていくものである。今回は、日本画にはあまり見られない円形のフレームを用いた作品6点を含む8点を展示する。

主な展覧会に「現代絵画の一断面」[Group展](東京都美術館、1993)、「日本画家の青春」[Group展](郡山市美術館、1994)、「第14回山種美術館賞展」[Group展](山種美術館、1997)、「アート・オン・エレメント」[Group展](北海道立釧路芸術館、1998)などがある。
 
 
Untitled No.3
《Untitled No.3》
パネルに麻紙、水、墨、アクリル、膠、岩絵具
φ130.0cm
1996
photo by UCHIDA Yoshitaka

 
 

◎近藤正勝(1962年生) KONDO Masakatsu
絵画:アクリル(ギャラリー2) 名古屋に生まれる。チェルシー・カレッジ・オブ・アート(ロンドン)を経て、スレード・スクール・オブ・ファインアート(ロンドン)に学ぶ。以降ロンドン在住。90年代中頃より、雪に覆われた山の風景を多く手がける。これらの山のイメージは、実際の山の形とは若干異なり、その山の象徴的な形態を強調するべく、その部分を引き延ばしたり拡大したりして描かれている。そうした特殊な操作が加えられた画面 は、厳しい自然が持つ荘厳さを保ちながらも、実体としてのリアリティが消し去られた不思議な存在感が漂う。それはあたかもヴァーチャルな世界に浸食された現代社会を象徴するかのようでもある。今回の展示では、山シリーズの作品2点のほか、色彩 が強調された新たな傾向による森の風景画などの新作2点を展示する。

主な展覧会に「Young Contemporaries」[Group展](ホィットワース・アートギャラリー、イギリス、1993)、「East International」[Group展](ノーウィッチ・ギャラリー, イギリス、1996)、「John Moores Liverpool Exhibition 20」[Group展](ウォーカー・アート・ギャラリー, イギリス、1997)、「Mountain」[Group展](ウルバーハンプトン・アート・ギャラリー、イギリス、1999)などがある。

 
 
Mountain H
《Mountain H》
アクリル、キャンバス
206.0×255.0cm
1998
利平治コーポレーション蔵
photo by Koji Ogura Gallery

 
 

◎前田哲明(1961年生) MAEDA Noriaki
立体:彫刻(ギャラリー2) 東京に生まれる。東京芸術大学博士課程満期修了。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートに学んだ後、現在ロンドン在住。80年代終わりころから神話的モチーフを題材とした鉄の彫刻を発表。その巨大な量塊がもたらす圧倒的な存在感によって注目を集める。90年代に入り、次第に抽象的な形態へと移行するのと同時に、作品と空間との間のオープンな関わり合い方が重要な要素となってくる。最近ではその傾向が一層強まり、量 感を維持しながらも、金属のメッシュや、透明な素材などを用いて、環境との視覚的な協調関係が模索されている。今回は展覧会に合わせて制作された、樹脂と銅板による高さ3メートル、長さ9メートルにおよぶ巨大な壁状の作品を展示する。

主な展覧会に「ニュー目黒名〈画〉座」[Group展](目黒区立美術館、1993)、「インサイド/アウトサイド-日本現代彫刻の8人-」[Group展](新潟県立近代美術館、1998)、「NORIAKI MAEDA Sculture e Istallazioni」[個展](ラニフィチョ・ヴォーナ跡、イタリア、1998)、「Noriaki Maeda Sculpture and Installation」[個展](ヨークシャー・スカルプチュア・パーク、イギリス、1999)などがある。
 
 
Untitled 99-c
《Untitled 99-c》(参考作品)
アクリル、ステンレスメッシュ
300.0×210.0×90.0cm
1999
photo by Jonty Wilde

 
 

◎押江千衣子(1969年生) OSHIE Chikeko
絵画:油彩(ギャラリー2) 大阪に生まれる。京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。都市化が進む郊外の野山などで見かける「やまごぼう」などの植物を、オイルパステルを指で丹念にキャンバスにすりこませながら描いていく作品を制作。身近なものとして確かな存在感が感じられるそうした草花に向けられた彼女のまなざしは、季節の移り変わりとともに色や姿をかえていく自然のみずみずしい生命力を画面 の中に染み込ませていく。そうしたミクロコスモス的な営為を、オイルパステルのデリケートで鮮やかな色彩 を使って大きな画面に展開していく彼女の絵画は、内にこもることがなく常に晴れやかである。今回の展覧会では、新作2点を含む油彩8点を展示。

主な展覧会に「VOCA展'96 」[Group展](上野の森美術館、1996)、「心を癒す植物-アート・ボタニカル・ガーデン」[Group展](目黒区美術館、1996)、「フィリップモリス アートアワード1998 最終審査展」[Group展](東京国際フォーラム、1998)などがある。
 
 
草イキレ
《草イキレ》
油彩、オイルパステル、キャンバス
112.0×436.5cm(3枚組)
1998
photo by UCHIDA Yoshitaka


インフォメーション
期間:2000.5.27[土]― 7.20[木・祝]
開館時間:12:00 ― 20:00(金・土は21:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
 
入場料:一般\700(\600)、大学・高校生 \600(\500)、中学・小学生 \500(\400)
( )内は15名以上の団体料金、その他割引制度あり
収蔵品展003「ブラック&ホワイト─寺田コレクションにみる形と線」の入場料を含みます。
 
主催:(財)東京オペラシティ文化財団
協賛:日本生命/ NTT都市開発/小田急電鉄


お問い合わせ:東京オペラシティアートギャラリー Tel. 03-5353-0756