美術館での個展として、東京で初めてとなる本展では、先のヴェネチア・ビエンナーレに出品された新作《MEGA
DETH(メガデス)》が凱旋展示されるほか、パフォーマンス・ヴィデオ作品の新作《Counter Voice in Milk(カウンター・ヴォイス・イン・ミルク)》、コンピューター・グラフィックスを使った《Floating
Time(時の浮遊)》など、宮島達男の最近作をご紹介します。
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《MEGA DEATH》
L.E.D.、IC、電線、人感知センサー
500×3400×1.8cm(installation)
1999/Photo by UENO Norihiro |
◎ヴェネチア・ビエンナーレ出品:L.E.D.による最大級の作品《MEGA DEATH》
1999年の第48回ヴェネチア・ビエンナーレに出品されたL.E.D.の大作《MEGADEATH》。2,400個のガジェット(発光ダイオードによるデジタルカウンターのユニット)が、幅34メートル、高さ6メートルの壁面を埋め尽くします。20世紀の総括というテーマで制作された《MEGA
DEATH》は、「人為的な大量死」を意味します。宮島達男が一貫してテーマとしている「自然と人為」の対比において20世紀を振り返ってみるとき、生まれて死ぬという生命の自然なサイクル:Natural
Life Cycle を突如として遮断してしまう大量虐殺や戦争など、今世紀は、人間が人間によって大量に死に至らされた世紀であるという意味でのMEGA
DEATHなのです。
青い光を放つ2,400個のL.E.D.が、それぞれの生をまっとうせずに消えてしまう瞬間。視覚的な美しさとは対照的にその奥底からは、まだ生きることのできた生命の沈痛な叫びが聞こえてくるようでもあります。
《MEGA DEATH》は、その青い光の美しさと瞬時にして起こる暗闇の恐怖を、全身で体感するのに充分なだけの広大なスペースに設置され、見る人に深い感銘を呼ぶことでしょう。
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