◎ 村岡三郎 1950年代から一貫して鉄を素材 とし、威厳さえ感じさせる重厚な作品を制作。1997年には東京国立近代美術館および 京都国立近代美術館で大規模な個展が開催され、その評価を確実なものとしました。 鉄とあわせて酸素ボンベや塩 の塊、硫黄など身体や生命に深く関係のある素材を使用しますが、目の前に壁のよう に立ちはだかる作品には、アーティストがその制作に関わった時間や労働、エネルギ ーが込められています。村岡自身、美術作品が視覚のみに依存しすぎることで、逆に そこから広がるはずの想像力やイメージが展開されにくくなってしまう危険性を指摘 しています。
◎ マルティン ・ヴァルデ ヴァルデの作品には、奇妙なフ ァンタジーがあります。見る人が直接触れるタイプの作品は、ヴァルデの、観客との インタラクティブな関係に対する関心から来ていますが、彼の場合、強制されたり指 示されたりすることによる関係ではなく、例えば、小さくてふわふわした縫いぐるみ や、お菓子の缶に入っているエアーキャップを触らずにはいられないように、人が否 応なく惹き付けられてしまう仕掛けを、敢えてクリエイトするところに意味を見出し ています。 ゴム、綿、ロウ、シリコン、 ひもから、ティッシュペーパーや卵の殻まで、日常生活のなかではとりわけ珍しくも ない素材が、彼特有のファンタジックな視点を通過して“世の中にありそうで無い不 思議なもの”に生まれ変わり、その罠に観客は気づかないうちにはまることになるの です。 本展のためにも、この、奇妙 で不思議なものをいくつか仕掛ける予定。自身の感覚に身をゆだね、心を解放してヴ ァルデの作品を感じていただければと思います。